一見野郎のこれは個人の感想です

こちらは私、一見野郎が周りに気を適当に使いつつアニメ・アニソン・読書等の雑談をするブログです。

Animelo Summer Live15年史勝手に分析 1-3:アニサマ2013~2016の概要

                     Animelo Summer Live15年史勝手に分析

                    1-3アニサマ2013~2016の概要

 

※この企画の記事内では個人名は敬称略で記載しております、ご了承ください。

 

 

Animelo Summer Live は2013年に9年目へ入る事となります。昨年の2012年に変化を迎えたアニサマですが、この2013年に2008年以来最大の変化を迎える事となります。このシリーズの1-1では「ver3」と呼びましたが、この年の変化が現在に至るまでのアニサマのフォーマットとなっています。今回の記事では2013年から現在に至るまでの約半分の時期に当たる2016年までの4年間について見ていきます。

 

 

 

1:Animelo Summer Live 2013 -FLAG NINE-

 

会場:さいたまスーパーアリーナ(スタジアムモード)

出演者数:57組+シークレット3組

歌唱曲数

DAY1:42曲+テーマソング1曲

DAY2:41曲+テーマソング1曲

DAY3:42曲+テーマソング1曲

主な初出演者

アイドルマスターシンデレラガールズ

ZAQ

・FLOW

アイドルマスターミリオンスターズ

上坂すみれ

OLDCODEX鈴木達央が8年ぶりに出演

中島愛

i☆Ris

petit milady

小倉唯:ソロとしては初出演

その他特筆すべき出演者

nano.RIPE:メンバーの一人、青山直樹は生前最初で最後の出演となった

後ろから這いより隊G:松来末祐は生前最後の出演となった

・LiSA、藍井エイル春奈るな中川翔子:いずれも初の正式出演

富永TOMMY弘明:以後3年間続くジョジョシリーズアーティストの始まり

水樹奈々:2年ぶりの出演

※この年放送されたアニサマに関係するアニメ(2012年秋~2013年夏)

となりの怪物くん(12年秋)

中二病でも恋がしたい!(12年秋)

ジョジョの奇妙な冒険 (12年秋~12年冬)

・ガールズ&パンツァー (12年秋~12年冬)

ヨルムンガンド PERFECT ORDER(12年秋)

・ROBOTICS;NOTES (12年秋~12年冬)

俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる (13年冬)

ラブライブ!【1期】(13年冬)

うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE2000% (13年春)

はたらく魔王さま!(13年春)

波打際のむろみさん (13年春)

翠星のガルガンティア (13年春)

這いよれ! ニャル子さんW (13年春)

革命機ヴァルヴレイヴ【1期】 (13年春)

とある科学の超電磁砲S (13年春~13年夏)

変態王子と笑わない猫。(13年春)

Free! (13年夏)

ローゼンメイデン【第3作】(13年夏) 

戦姫絶唱シンフォギアG (13年夏)

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! (13年夏)

ふたりはミルキィホームズ(13年夏)

※その他アニサマに関係する作品

・アニメ映画「劇場版 とある魔術の禁書目録 -エンデュミオンの奇蹟-」(13年2月)

ソーシャルゲームアイドルマスター ミリオンライブ!」(13年2月)

・アニメ映画「ドラゴンボールZ 神と神」(13年3月)

・アニメ映画「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編] 叛逆の物語」(13年10月)

※その他特筆事項

・この年から3日間開催

ソニー系列レーベルに所属するアーティストの正式出演が始まる

 

・日程が3日間に拡大

9回目のアニサマの副題は「FLAG NINE」。「人が集い、導くための目印であり、新たな展開を示す合図〈フラグ〉」として旗をモチーフとしたテーマが選ばれました。そしてそれを表すようにこの年のアニサマは2008年以来の大きな変化を迎えます。

その最大の変化は3日間開催となる事です。これまでの土日に加え、初日として金曜日の開催が発表されました。当然ながら会場は昨年に引き続きさいたまスーパーアリーナ(スタジアムモード)です。

そしてこの3日開催という事は当然ながら開催日が1日増える事により、多くの事が1.5倍となる事を意味します。出演者数は昨年の40組から1.5倍の60組に、観客動員数も昨年の5万4千人から1.5倍の約8万1千人に拡大しました。

アニソンライブの規模自体が拡大し武道館やアリーナクラスの会場で単独公演を開催するアーティストが珍しくなくなり「リスアニ!LIVE」や「ANIMAX MUSIX」等他のアニソンフェスも盛り上がる中、アニサマはさらに規模を拡大する中で世界最大のアニソンフェスの地位を確固たるものとしました。

ちなみにこの年のアニサマは頭の出演者ラインナップの際に「ベン・トー」「てーきゅう」シリーズや「化物語」4話OP映像を手掛けた板垣伸監督によるオリジナルアニメが流れるという演出があり、3日間通じて見る事で1つのストーリーが完成するというものでした。

 

・数多くの初出演アーティスト

そんなアニサマ2013の出演アーティスト60組の内初出演アーティストは27組になります。出演者全体に占める割合こそ過半数を割って昨年を下回るものの、単純な初出演者数としては過去最大です。これまで出演を待望されながらも出演者数の限界から叶わなかったアーティストが多くいた中1日分枠が丸々拡大された事により、一気に出演が叶う事となりました。

初出演で目立つのは話題のアニメの主題歌を担当する事によりブレイクしたアーティストです。初日には2012年秋にヒットした「中二病でも恋がしたい!」OP「Sparkling Daydream」を歌うZAQや「ガールズ&パンツァー」OP「DreamRiser」を歌うChouCho、「花咲くいろは」や「人類は衰退しました」の主題歌を担当するnano.RIPEといったランティスのアーティストや「キン肉マン」や「トリコ」等の主題歌を担当する大ベテランアーティスト串田アキラが初出演しました。

2日には自身も出演した「波打際のむろみさん」OP「七つの海よりキミの海」でアーティストデビューした上坂すみれアニサマ初回以来の出演となる鈴木達央がボーカルを務め、この夏に放送され大好評を得た「Free!」OP「Rage on」が大ヒットしたOLDCODEX、「マクロスF」で声優・アーティストデビューしそれ以外にも「たまゆら」「琴浦さん」等の多くの作品で主題歌を担当する中島愛といったアーティストが初出演。また「ヤッターマン」や「タイムボカン」等の「タイムボカン」シリーズといった数々のアニメの主題歌を作り、歌ってきた大ベテランアニソン歌手である山本正之は「七森中☆ごらく部」や「アフィリア・サーガ」とコラボする等世代を超えたステージを作りました。

3日目には「プリティーリズム」シリーズ等の主題歌を担当する声優アイドルユニットi☆Risやソロでは初出演となる小倉唯、「けいおん!」等で声優として人気を高め「進撃の巨人」ED「美しき残酷な世界」でデビューした日笠陽子や「ジョジョの奇妙な冒険 Part1 ファントムブラッド」OP「ジョジョ~その血の運命」でアニソンアーティストデビューした富永TOMMY弘明やシークレットとして出演し「ジョジョの奇妙な冒険 Part2 戦闘潮流」OP「BLOODY STREAM」を披露した「Coda」、既に大人気声優である悠木碧とソロアーティストとしても初出演した「竹達彩奈」の二人の声優によるユニットpetit miladyといった様々なジャンルのアーティストが初出演となりました。

こういったアーティストの多くはこれ以後のアニサマにもほぼ毎年出演して新しい時代のアニサマを盛り上げていき、今では中堅的立ち位置となっていきます。例えばZAQはこれ以後2019年まで毎年出演し後に2017年のテーマソングを担当しOLDCODEXは2018年にトリを担当するなどアニサマにおいて重要な役割を担う事となります。ちなみにZAQは曲間にアニサマへの想いをオリジナルラップ「MASANIANISAMA」を披露し、これは翌年も似たような形で披露されます。また小倉唯上坂すみれはソロだけでなく様々なユニットとしても毎年出演し、「ジョジョ」シリーズやベテラン枠のアーティストもここから数年連続で出演する事となり、この年から始まり現在に至るまで続くアニサマの定番が多く生まれる事となります。

 

・出演規模が拡大する作品系・アイドル系ユニット

これらと同じく初出演となったアーティストでありながら、これまでの流れを引き継ぐ作品ユニットがアイドルマスターシンデレラガールズアイドルマスターミリオンスターズ」です。これまでも数度出演した「アイドルマスター」の派生作品として誕生した「シンデレラガールズ」と「ミリオンライブ!」から初出演となったこの2ユニットは単独ライブすら未経験ながら「お願い!シンデレラ」や「Thank You!」等の曲を披露。堂々としたステージを魅せ今までのアイマスとはまた別の存在であるシンデレラと今までのアイマスの後継者的存在のミリオンと言う新たなる存在を大いに知らしめ、翌2014年のソロライブやアイマス合同ライブ等から始まる更なるアイマスブームの高まりを予言するようなステージとなりました。またソーシャルゲーム作品からの作品ユニット出演としても先駆け的存在であり、これ以後アニメだけでない作品ユニットはアニサマに続々出演してく事となります。

そして昨年初出演をし、この年アニメ1期が放送され大ヒットした「μ's」も「from ラブライブ!」がユニット名から無くなり説明不要の存在となりました。「僕らは今のなかで」と「START:DASH!!」の2曲を披露しましたが、2回目の出演で2曲という他のアーティストならば妥当な曲数ですら物足りない、昨年とは比較にならない盛り上がりとなりました。紅白出演や東京ドームなど数々の伝説を成し遂げ、2010年代を代表するアイドルアニメシリーズへと成長していくラブライブアニサマにおける二歩目をμ'sが歩んだ瞬間でした。

他にもこの年2期が放送され引き続き大ヒットした「うたの☆プリンスさまっ♪」から、新たに鳥海浩輔を加え7人となった大人気作品ユニットST☆RISHが昨年より連続出演。「マジLOVE2000%」「マジLOVE1000% -RAINBOW STAR ver.-」の2曲を披露し男女全てを巻き込む盛り上がりを見せ、初出演以来連続となるミルキィホームズ七森中☆ごらく部も新シリーズや他作品の主題歌にまで進出する等新しいライブで盛り上げる等、以前から起こっていたアニサマにおける作品ユニットのブームをさらに盛り上げる事となります。

 

ソニー系列アーティストの正式出演開始

この年日数の拡大と並ぶ大きな変化となったのは、これまで特別出演と言う形であり、映像ソフトへの収録だったソニー系アーティストの出演が全面解禁となった事です。これまでも2009年の中川翔子や2011年のKalafinaT.M.Revolution、2012年のLiSA、藍井エイル春奈るなといったアーティストが特別出演していましたがいずれも映像収録される事はありませんでした。

しかしこの年からソニー系列は特別出演が廃止され正式出演となり、それに伴いソニー系列の出演者数も6組と一気に増加し、「LiSA」、「藍井エイル」、「春奈るな」、「中川翔子」、「earthmind」、「FLOW」が出演し、後の2組は初出演となりました。

初日に出演した2009年以来の出演となる中川は前回出演時にも歌唱した「空色デイズ」やシークレットゲストのNoBとのコラボで「ペガサス幻想」を披露し初出演となる「earthmind」は「ビビッドレッド・オペレーション」OP「ENERGY」を歌唱。

2日には2012年に出演した3人が揃い、春奈るなは「ソードアート・オンライン」ED「Overfly」や「〈物語〉シリーズ セカンドシーズン」ED「アイヲウタエ」と言った大人気アニメの主題歌を歌唱。藍井エイルも「ソードアート・オンライン」OP「INNOCENCE」や「機動戦士ガンダムAGE」OP「AURORA」等の人気曲を歌い、「LiSA」はソロ名義では2度目の出演にしていきなりトリ前に抜擢され「crossing field」等の自分自身の曲に加え「Girls Dead Monster」として初出演した際の「Crow Song」を披露しました。

そしてこの中でも大きな話題を呼んだのは「FLOW」です。既に「リスアニ!LIVE」には出演経験があり、中止となった2012年のアニサマ上海にも出演が予定されていましたが今回アニサマ本編にもついに出演となり、初出演ながら前半のトリという重要な立ち位置を任されヒット曲である「交響詩篇エウレカセブン」OP「DAYS」、アニサマでもお馴染みである「CHA-LA HEAD-CHA-LA」のカバー、そして代表曲である「NARUTO -ナルト-」OP「GO!!!」の3曲を披露。会場中を一つにまとめ上げるように盛り上げ、アニメソングとJ-POPの壁を越えたステージを披露しました。

 

・復帰出演・常連アーティストの奮戦

これら新人・若手アーティストに負けずとこれまで長年アニサマを盛り上げてきた大人気アーティストも3日間大活躍しました。初日ではALI PROJECTが代表曲にして実はアニサマでは初披露となる「禁じられた遊び」等「ローゼンメイデン」シリーズの主題歌3曲を纏めトリ前に位置する「May'n」は新曲に加えマクロスFの人気曲「射手座☆午後九時 Don't be late」で場を盛り上げます。初日のトリは昨年の大トリを担当した茅原実里。ヒットアニメ「翠星のガルガンティア」OP「この世界は僕らを待っていた」や初披露となる同名アニメの主題歌「境界の彼方」等の曲を披露し、「TERMINATED」で格好良く最後を飾ります。

2日目には「Zwai」とのOPコラボ「バリバリ最強No.1」を披露したangelaが2010年以来の出演。後半トップを担当し「僕じゃない」「KINGS」等の新曲に加え初のアニタイである「明日へのbrilliant road」や代表曲「Shangri-La」等5曲を贅沢に詰め込んだメドレーで場を大いに盛り上げます。そんなOPコラボの後の1番手を担当したfripSideオリコンウィークリー1位を獲得した「とある科学の超電磁砲S」OP「sister's noise」やシークレットゲストのmotsuを迎えての「超電磁砲」メドレーを披露、もはや完全にアニサマのレギュラーとして定着したラップと共に「ALTIMA」を彷彿とさせるステージを作り上げます。久しぶりの出演となったサイキックラバーが「Vanguard Fight」「侍戦隊シンケンジャー」と言った代表曲やT-Pistonz+KMC」とのコラボで「特捜戦隊デカレンジャー」を歌唱する等新旧の曲を織り交ぜて場を盛り上げれば、アニサマ唯一の初回からの出演者である栗林みな実は前半トリを担当し「STRAIGHT JET」「ZERO!!」といった人気曲で前半を見事に締めます。そんな2日目のトリを担当したのは栗林の盟友であるGRANRODEOアニサマ5組目のトリ担当者であり男性アーティストとしてはJAM PROJECT以来2組目となるトリを担当する事となったロデオは「偏愛の輪舞曲」「DARK SHAME」の新曲2曲に大ヒット曲「Can Do」、そしてデビュー曲の「Go For It!」の4曲を繰り出しロックなステージで場を爆発させます。最後にはさいたまスーパーアリーナ単独公演を発表し、アニソンアーティストとしての実力を見せつけました。

3日目は復帰出演となった水樹奈々ST☆RISHとしても出演する宮野真守が互いの代表曲である「オルフェ」「SCARLET KNIGHT」のメドレーから始まります。この日の一番の盛り上がりは終盤戦。宮野真守は「うたプリ」2期OP「カノン」や「ウルトラマン列伝」OP「ULTRA FLY」で熱さとクールさが道教するダンサブルなステージを披露し、続いて2010年以来の出演となる「スフィア」が「GENESIS ARIA」「Pride on Everyday」といった熱さや明るさを感じさせるアニメ主題歌に加え自身のアンセムである「LET・ME・DO!!」でアニメ主題歌だけでない魅力を見せます。続くトリ前の田村ゆかりは「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」のキャラソン「めてお☆いんぱくと」を歌い会場を沸かせ、続いて「W:Wonder tale」「Fantastic future」と最新アニタイを続けて歌い会場をゆかり王国一色に染め上げます。そして大トリはやはり水樹奈々。「愛の星」「BRAVE PHOENIX」と大ヒット作の主題歌・挿入歌を歌い上げ、最後は自身の新たなる代表作「戦姫絶唱シンフォギア」シリーズのOP「Vitalization」「Synchrogazer」の2曲で会場のボルテージを再協調に湧かせ貫禄を見せつけました。

 

・テーマソング「The Galaxy Express 999」

この年のテーマソングは「The Galaxy Express 999」。これは劇場アニメ「銀河鉄道999 (The Galaxy Express 999)」の主題歌であるゴダイゴの「銀河鉄道999」をカバーしたものです。アニサマのテーマソングとしては初めて、既存の楽曲をカバーアレンジしたものです。新たにアニサマが大きくなった今回のテーマソングにおいて、あえて誰もが知っているアニソンの名曲が選ばれたという事です。

編曲にはBOØWYGLAYJUDY AND MARYエレファントカシマシ等々数々のアーティストのプロデュースを手掛けてきた佐久間正英が参加※以前もこちらの記事で名前が出ています。、名曲の良さを生かしつつ時代に合わせた様々なアレンジが加えられました。なお佐久間は翌年2014年1月16日に胃癌で死去し、これが最晩年の仕事となりました。

www.nicovideo.jp

 

2:Animelo Summer Live 2014 -ONENESS-

 

会場:さいたまスーパーアリーナ(スタジアムモード)

出演者数:53組

歌唱曲数

DAY1:39曲+テーマソング2曲

DAY2:39曲+テーマソング2曲

DAY3:38曲+テーマソング2曲

主な初出演者

Wake Up, Girls!

・fhána

三森すずこ:ソロとしては初出演

その他特筆すべき出演者

和田光司:生前最初で最後の出演となった

JAM Project:卒業宣言後初の出演

T.M.RevolutionKalafina:初の正式出演

藍井エイル:活動休止前最後の出演

奥井雅美:シークレットゲスト、ソロとしては4年ぶりの出演

艦隊これくしょん -艦これ-東山奈央が初出演、以後ほぼ毎年出演

プリキュアマーレインボー!

アイドルマスターシンデレラガールズ大橋彩香が初出演、以後6年連続出演

田村ゆかりキングレコード所属時では最後の出演

※この年放送されたアニサマに関係するアニメ(2013年秋~2014年夏)

境界の彼方 (13年秋)

アウトブレイク・カンパニー(13年秋)

キルラキル (13年秋)

・ゴールデンタイム (13年秋)

黒子のバスケ【2期】(13年秋)

ダイヤのA (13年秋)

革命機ヴァルヴレイヴ(第2期) (13年秋)

ハピネスチャージプリキュア!(14年冬~15年冬)

ウィッチクラフトワークス (14年冬)

うーさーのその日暮らし 覚醒編 (14年冬)

鬼灯の冷徹 (14年冬)

Wake Up, Girls! (14年冬)

ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース(14年春)

魔法科高校の劣等生 (14年春~14年夏)

ラブライブ!【2期】(14年春)

ノーゲーム・ノーライフ (14年春)

シドニアの騎士 (14年春)

Free! -Eternal Summer-(14年夏)

ソードアート・オンラインII (14年夏~14年秋)

アルドノア・ゼロ【1期】(14年夏)

月刊少女野崎くん(14年夏)

※その他アニサマに関係する作品

・アニメ映画「Wake Up, Girls! 七人のアイドル」

・アニメ映画「THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!」(14年1月)

ソーシャルゲームアイドルマスター SideM」(14年2月)

・特撮ドラマ「烈車戦隊トッキュウジャー」(14年冬~15年冬)

・アニメ映画「劇場版 K MISSING KINGS」(14年7月)

※その他特筆事項

・「Animelo Summer Live」10周年(10回目)

・過去のテーマソング歌唱が今回のみ復活

キングレコードランティス以外のレーベルから初のトリが出る

 

・10回目の「Animelo Summer Live」と「ONENESS」

2014年にAnimelo Summer Liveは10回目を迎える事となりました。10年という歳月は小学生だった子供がが高校1年に入学するのと同じ時間であり、その間にアニソン業界もその規模を急激に拡大してきました。今やアニサマ初期の会場であった代々木第一体育館日本武道館でアニソン歌手の単独ライブやフェスが開催されるのは当たり前になり、さいたまスーパーアリーナでも珍しくなくなりました。そして日本だけでなく海外でもアニソンフェスやアニソン歌手の単独公演は数多く開催され、アニメソングはすっかり世界中で通用する日本の文化となりました。

この年のアニサマ記者会見が行われたのは2005年に最初の記者会見と同じ渋谷のセルリアンタワー東急ホテル、そして発表されたこの年のタイトルは「Animelo Summer Live 2014 -ONENESS-」。サブタイトルの「ONENESS」は初回開催であった「Animelo Summer Live 2005 -THE BRIDGE-」のテーマソングと同じ言葉であり、10回目の開催となるこの年に「アニメ、アニソンを通じて全てを一つに」と言う意味を込められた言葉でした。この意味を振り返り、改めて大きくなったアニソンの世界の力を一つにし、そして10回目以降の未来へ繋げるためにこのテーマが採用されました。

 

・10周年を記念した様々な企画

通過点とはいえ10回目という記念すべきこの年、いくつかの企画も開催されました。まずはセブンイレブンで開催されたテーマソング投票です。セブンイレブンwi-fiスポットからアニサマの2005年から13年までの9つのテーマソングの人気投票が出来るというこの企画では、上位に選ばれた3曲がアンコールのテーマソング枠で歌唱される事となります。

投票結果は

1位:RE:BRIDGE〜Return to oneself〜(09)

2位:ONENESS(05)

3位:The Galaxy Express 999(13)

4位:Generation-A(07)

5位:OUTRIDE(06)

6位:INFINITY 〜1000年の夢〜(12)

7位:Yells 〜It's a beautiful life〜(08)

8位:evolution 〜for beloved one〜(10)

9位:rainbow(11)

であり、この年のテーマソングとしてリメイクされたONENESSと昨年使用されたばかりの999を除く上位から、初日に「OUTRIDE」、2日目に「RE:BRIDGE〜Return to oneself〜」、3日目に「Generation-A」がアニサマ本編のテーマソング枠で歌われる事となりました。

また10回目を記念して「ぴあ」とコラボして作られたムック本がアニサマぴあ2014」です。2014年のアニサマを控えて出演アーティスト紹介、過去9回のアニサマの解説、JAM Project栗林みな実GRANRODEOら出演アーティストのインタビュー、アイマスメンバーや上坂すみれ三澤紗千香の対談、テーマソングのレコーディングレポート、「AnimeJapan2014」で開催された三大アニソンフェスプロデューサー座談会のレポート等々、今までのアニサマとこれからについてが数多く書かれた一冊となりました。現在では入手困難な一冊ですが、もし可能ならば是非手元に置くことをお勧めします。実際この企画を書く際にも何度も読み返しています。

また企画というわけではないのですが、この年から開設されたのがアニメロミックスが始めたアニソンライブ見放題サイト「animeloLIVE」です。月額1100円で過去のアニサマ映像を含むライブ映像が見放題であり、アニサマや他アニソンライブの最速先行や生配信。アニサマ運営が製作するアニソン番組「アニソンCLUB!」の観覧受付、会員限定番組や各種生放送の企画もあるサイトだったのです・・・が、いくつかの問題がありました。

アニサマの最速先行はanimeloLIVEであり、アリーナ前方等の良席はここでしか当たらない。

・後に会員を継続する事で当選確率をアップするランク制度が導入される。

・翌年からのライブ映像ソフト初回盤に付属する最速申し込み券の導入により、上記のランクが上であるほど良席になるという制度が導入される。そのため3日間良席で参加するためにはチケット代そのものとは別にソフト代8800円×3+月額1100円×12月=38400円が必要となる。

・しかもanimeloLIVE会員の低ランクで最速申し込み券でチケット申し込みをするとステージが見にくいアリーナ後方になるに関わらず、会員にならず最速申し込み券で申し込むと全法を含むスタンド席が当選するため低ランクだとメリットが無い。

・サービス開始から時期が進むにつれ上記の企画がだんだんと減っていく。

・・・等々の問題を抱える不評なサイトとなり、他のライブ配信をしてくれる各種サイトの方がサービスが上となっていく中、2017年にこの年のアニサマ最速先行を最後の仕事として閉鎖となりました。

 

アニサマに帰ってきた伝説のアーティスト達

上記の記者会見では第一弾出演者の発表もされました。その中で大きな注目を集めたのはJAM Projectの出演です。2011年を最後に卒業宣言をしたJAMが再び出演となったことは大きな話題となりました。JAMが出演しなかった2年間の間にアニサマは3日間に拡大し、共演した事の無いアーティストも多数に上ります。そんなJAMは初日の出演となりましたが、インタビューで「俺達は常に挑戦者であって、ラスボスみたいになってちゃいけない((アニサマぴあ2014、P23、影山ヒロノブ))」「俺としては「帰ってきた懐メロ」ではない自分でいたいな。*1」と語った通りにトリではなく自身初となるトップバッターとして出演しました。しかも1曲目は長年締めの曲として歌われた定番曲「SKILL」。最後に力を振り絞って皆で行うジャンプも最初からやるという意表を突いた選曲に会場のボルテージは最初から最高潮となりました。その後も「Wings of the legend」「Breakthrough」といった新曲や「Rocks」「レスキューファイヤー」といった定番曲をメドレーなどで披露。10回目のアニサマの初手をベテランの凄みと新しさが飾りました。

そんな初日、茅原実里fripSide等数多くのアニソンアーティストの後、トリを務めたのは2011年のシークレット出演以来2回目、正式出演となるのは初めてとなるT.M.Revolutionです。TMRは4月の第三弾出演者として出演が発表され、11年のシクレ出演で大きな話題となったアーティストがアニサマに帰ってくるという事でこちらも大きな話題となり、本人も「伝説再び!」とツイートするほどでした。

TMRは1曲目でミリオンヒット曲「WHITE BREATH」を披露し、続け自信を代表するアニソン「INVOKE」「ignited」を2曲連続で歌唱、観客とシャウトのコールアンドレスポンスをする等会場を自身一色にまとめ上げます。MCではトリへ選んでくれたことの感謝と音楽に垣根なんてない、だからこそJ-POPのアーティストである自分がアニサマのトリをやっているんだ、そしてかつてアニメに媚びを売っていると言われたことに対して好きだからやっているんだと叫び自分とアニメの始まりの歌であるるろうに剣心ED「HEART OF SWORD 〜夜明け前〜」を熱唱。

TMRアニサマのトリを担当したのはキングレコードランティス以外のアーティストとしては初の事であると共にJ-POPアーティストがトリを担当するという意味でも初であり、10年目のアニサマ初日はアニソンに、音楽に垣根が無いという事の証明とアニサマの新たな歴史の始まりと共に終わりました。

続く2日目に同じく初の正式出演となったのがKalafinaです。TMRと同じく2011年に初出演となりましたが当時は特別出演となり映像化もされなかったKalafinaがついに正式出演となりました。Kalafinaは2日目後半のさらに中盤で出演。この年出されたベストアルバムのタイトルのようなペンライトの赤と青の光の中で「to the beginning」「君の銀の庭」「heavenly blue」と自身の代表作の楽曲を次々と披露。力強さと美しさが共存するステージを魅せました。

 

・ますます花開くアイドル作品ユニット

2014年は現在まで続くアイドルアニメブームが本格化した年でもあり、アニサマにもアイドルアニメ初のユニットが多く出演しました。

初日には女児向けゲーム・アニメ作品である「アイカツ!」からSTAR☆ANIS」が初出演、「アイドル活動!」「ダイヤモンドハッピー」「SHINING LINE*」といった楽曲でアニサマアイカツ一色に染め上げます。同じく初出演となったのはこの年からアニメプロジェクトが始動したWake Up, Girls!。音声トラブルに遭いながらも挫ける事無く「7 Girls War」「タチアガレ!」の2曲を披露。後の2018年まで続くステージの始まりとなりました。

2日目には劇場版アニメ「輝きの向こう側へ!」が放映され初の合同ライブ「M@STERS OF IDOL WORLD!!(MOIW)」をここさいたまスーパーアリーナで開催した「THE IDOLM@STER」からアイドルマスター」「アイドルマスターシンデレラガールズ」「アイドルマスターミリオンスターズ」が出演。当時の総合ディレクターであった石原章弘がMOIWについて「これは完全にアイマスアニサマというコンセプトでした」と語りアニサマのテーマソングを取り入れ独自のテーマソングを作ったと語るようにアニサマに大きな影響を受けてきたアイマス。石原Dが「個人的な今年のアニサマの裏テーマは、2月のSSAのアンコール的なステージ」と語るようにこの年のアイマスは3ユニットの代表曲である「READY!!」「お願い!シンデレラ」「Thank You!」を披露し最後は合同ユニットTHE IDOLM@STER THREE STARS!!!」として劇場版の主題歌「M@STERPIECE」で締め、アニソン業界に君臨するアイドルコンテンツとしてのステージを魅せました。

そして3日目にはアニメ2期が放送され飛ぶ鳥を落とす勢いであった「μ's」が登場。1曲目から単独ライブですら未歌唱であったアニメ2期OP「それは僕たちの奇跡」を初披露。ラブライバー以外の観客をも巻き込む衝撃と歓喜の叫びを起こさせます。続くはμ'sの代表曲である「Snow halation」が真夏のSSAを白一色に染め上げ、再び熱いオレンジの光で埋め尽くします。そして最後の「No brand girls」でコールが響き渡る中この年最大クラスの熱狂となるステージを終えました。

 

・初出演、そして伝説となったアーティスト

上記のSTAR☆ANISやWUGのように初出演アーティストはこの年も多くいました。この年は他のユニットで出演経験のある人物が改めてソロアーティストとして出演する、という事が多く見られました。fripSideとμ'sでも出演しこの年累計最多歌唱となった南條愛乃、同じくμ'sやこの年は出ていないミルキィホームズで5年連続出演となった三森すずこ、初日にpetit miladyとしても出演し3日目にソロで出演した悠木碧といった面々です。逆に声優アーティストとして出演した野水いおりsweet ARMSのメンバーとして初出演する等逆のパターンもあります。

男性アーティストではソロとProject.Rの二つで初出演となった「谷本貴義」、昨年に引き続いてのJOJO主題歌担当アーティストである「橋本仁」、バク宙を披露した事でも話題となった小野賢章といった面々がいます。

この年からレギュラー出演となったのは「fhána」です。声優アーティストの初出演が目立つ中「divine intervention」「いつかの、いくつかのきみとのせかい」の2曲を披露しました。その後もfhánaは連続出演し、2019年にはテーマソング担当の大役を担う事となります。また変わり種としてはこの年10周年を迎えるプリキュアシリーズの担当歌手5人からなるこの日限定のユニットプリキュアマーレインボー!」です。歴代11作の主題歌全てをフルやメドレーで披露し子供から大人まで楽しめるステージを繰り広げました。

ここ数年のベテラン枠となったのが芸歴45年にしてアニサマに初出演となった堀江美都子です。元祖アニソン歌手ともいえる彼女は「キャンディキャンディ」「ひみつのアッコちゃん」「花の子ルンルン」「サザエさん」と名作少女漫画アニメの主題歌を次々と披露し、ももいろクローバーZとの「ハクション大魔王」主題歌「アクビ娘」を異色なコラボで披露しました。

そしてこの年忘れてはいけない出演者が和田光司です。「デジモナドベンチャー」の主題歌「Butter-Fly」で知られる和田は二度の癌闘病による活動休止を乗り越えこの年のアニサマに初出演しました。歌唱曲こそ「Butter-Fly」1曲であり、闘病の影響で以前と声量が変わってはいましたが、一人でステージに立つ姿はかつてと変わらないものでした。和田をサポートするような3万人の観客と1人の合唱は今なお長く語り継がれており、アニサマ史上最高の1曲に選ぶ人も少なくありません。

そしてこのステージが和田のアニサマにおける最初で最後の出演となりました。和田はこの1年8ヶ月後、三度目の癌闘病の末この世を去りました。享年42歳、あまりにも早すぎる一生でした。しかし現在でも和田とその歌は多くのアニメファンに愛され、テレビ番組で和田の事が紹介される際にはこのアニサマの映像が多く使用されています。和田光司の遺した「無限大の夢」は、今なお多くのアニソン歌手とアニソンを愛する人達の手によって続き、大きくなっています。

現在もこのステージはアニサマのYoutube公式チャンネルにアップされており、現在580万回以上再生されています。初めて知ったという方も、ぜひ一度見てはいかがでしょうか。

 

・次世代のトリを担うアニソンアーティストの活躍

アニサマ2019までにトリを担当したアーティストは14組いますが、アニサマ2014にはその内当時プロジェクト始動前であったAqoursと未出演だったスフィアを除く12組が出演していました。当然当時トリを担当していなかったアーティストが半数ですが、彼らは多くがこの年に重要な立場を担当するか人気曲を歌唱しており、アニソン界の中核を担う存在としての力を高めていました。

初日の終盤で登場したのが3回目の出演となった藍井エイルです。自身の新たなヒット曲「シリウス」「IGNITE」に加え黒崎真音とのコラボで玉置成実の「Believe」をカバーし、新時代のアニソン歌手の勢いを感じさせました。惜しむらくは後にも記しますが翌年、翌々年の出演休止と活動休止により次の出演が2018年になった事です。もしこの休みが無ければ、アニサマの歴史はまた違うものとなったでしょう。

同じく初日のトリ前を担当したのがfripSideです。これまで前半を担当する事が多かったfsですがこの年は一気にトリ前を担当。新曲「black bullet」や「sister's noise」「only my railgun」といった代表曲に加え某KKEも3日に先駆けフライング披露、横浜アリーナ単独公演を発表する等ベテランの多い初日の出演者の中では中堅ながら重要なトリ前のポジションを務めました。

2日目のトリ前を担当したのがangelaです。前半のトリを栗林みな実との「儚くも永久のカナシ」のコラボで締めた後、トリ前で再び登場。最新曲「Different colors」に自身のアンセムである「Shangri-La」、そして新たなる代表曲となった「シドニア」で2日目のラストスパートを大いに盛り上げました。またMCの定番となっているKATSUの「ジーク・ジオン!」やメンバー紹介を「シドニア」の間奏中での披露や、最後の挨拶では「アンジェラマスターミリオンスターズ」を名乗るなどその後のアニサマや他フェス、単独でも持ちネタにする新たな話術もこのアニサマがきっかけとなりました。

昨年出演2年目にしてトリ前という大出世を果たしたLiSAはこの年3日目の前半トリを担当しましたが、この時イヤモニがほぼ聴こえない状態となったハプニングが発生。しかしそのパフォーマンスはそんな事情を全く感じさせないものでした。1曲目から新たなる自身の代表曲「Rising Hope」でいきなり会場のテンションをぶち上げ、LiSAのアニソンには珍しいタイプの「夕景イエスタデイ」、そして定番曲の「crossing field」で最終日の前半を見事に締めました。

3日目のμ'sの後という限りなく高いハードルに挑んだのがOLDCODEXです。ラブライブとは真逆な荒々しいロックでステージの色をガラっと変えたオルドコは「WALK」から始まり、この時2期が絶賛放送中だった「Free!」の「Dried Up Youthful Fame」「Rage on」で終盤に向かうアニサマをさらに盛り上げました。

 

アニサマ創成期から現在へ繋ぐベテランのステージ

この年10回目となるアニサマSSAに舞台が移ったころ、いやさらにその前から活躍するアーティストのステージも忘れてはなりません。

初日のトップバッターであるJAMに続いて登場したのはこの年デビュー10周年を迎えた茅原実里。1曲目に「FOOL THE WORLD」、「境界の彼方」を挟んで「向かい風に打たれながら」で締めるという前のJAMと後のZAQに同じ作品のタイアップ繋がりのセットリストで繋げるという、これまでの2年連続のトリでのステージとはまた異なる序盤の盛り上げ役をしっかりと務めました。

2日目FLOWとの「GO!!!」を披露したのはGRANRODEO。既に発表されていた「FLOW×GRANRODEO」の公式コラボ企画を先駆けるようなOPコラボで一気に場をぶち上げ、続くFLOWの「COLORS」「愛愛愛に撃たれてバイバイバイ」の2曲から始まるアニサマ2日目の熱さを作り上げます。そして昨年に続き2日目のトリとして再び登場。最新曲「変幻自在のマジカルスター」の曲そのままのスターぶりを見せつけ、ノンタイながら人気のある「シャニムニ」、初出演を思い出させる「慟哭ノ雨」、そして水着チアガールを従えての華やかなステージでの「Can Do」で見事に中日を締めくくりました。そしてロデオの盟友であるこの時唯一のアニサマ10年連続出演アーティストである栗林みな実は新曲「moving soul」、この年リリースから10周年となった「Shining☆Days」、そして前出のコラボで前半のトリを飾っています。

そして3日目。この日は水樹奈々と初日にも出演し、前日の新潟のフェスからとんぼ返りしたT.M.Revolutionがシークレットとして再登場、昨年は叶わなかった「Preserved Roses」「革命デュアリズム」の2曲をOPコラボとして歌い、最終日を最初からクライマックスにします。

続くソロでの1番手で登場したのがMay'nです。ヒューマンビートボクサーのDaichiと共に登場しソロデビュー曲「キミシニタモウコトナカレ」で一気に流れを変え、バラード曲「Re:REMEMBER」とポップなラブソング「今日に恋心」でいつもの熱いロックなステージとは別なMay'nの魅力を魅せました。

宮野真守田村ゆかりは共演作「うーさーのその日暮らし」の主題歌「ラブリーギミー」を披露し、終盤では宮野、田村、水樹とキングレコードのアーティストがバトンを渡す事となります。宮野は「NEW ORDER」「カノン」の2曲でクールかつダンサブルなステージを披露、田村はもはやおなじみのmotsuシクレと共に「You&me」、「Fantastic future」「秘密の扉から会いにきて」と3曲を歌います。

そして大トリを務めるのは水樹奈々。今までのアニサマの出演映像と共に登場し、「恋の抑止力-type EXCITER-」「METRO BAROQUE」「BRIGHT STREAM」と大ヒット曲を次々と披露。アニサマ10年目の大トリに相応しい熱いステージを作り出します。そして最後に水樹が呼び込んだのがシークレット出演の奥井雅美、そして矢吹俊郎。このシリーズの最初でも書いたように、この二人がいなければアニメロサマーライブは存在しなかったであろう二人です。そしてアニサマ10年目の最後に選ばれた曲は2005年、アニサマ初回の一番初めの曲として水樹と奥井のコラボレーションで歌われた、奥井雅美作詞、矢吹俊郎作曲の「TRANSMIGRATION」でした。2005年、1万人の会場で1日だけのライブとして始まったアニサマは10年後に1日に3万人が入る会場となり、日数も3倍となりました。最初は叶わなかったレーベルも参加し、10年前はアニサマに憧れていた人達がアーティストとしてステージに立つまでになりました。それでもアニサマの大切なものは最初から何も変わっていない、そんな事を感じさせる最後の曲と共に、10年目のアニサマは幕を閉じました。

 

・テーマソング「ONENESS」

この年のテーマソングは「ONENESS」。この年と同じテーマ、そしてアニサマの初回である2005年と同じテーマソングです。この曲が10年の時を経て、数多くのドラマや映画、そしてアニメの音楽を担当してきた服部隆之の手によってシンフォニックアレンジを加えられ、アニサマ10年目の記念すべきテーマソングとして再び登場しました。

また歌唱アーティストもアニサマテーマソング史上最多となる39組が担当。また名義上はこの年参加する3つのアイドルマスターのグループが一つにまとめられていたり、三森すずこ南條愛乃fripSideとしても出演)がμ'sとして出演していたりと、参加アーティストとしてはいなくても別名義のアーティストやユニットとして歌唱参加しているアーティストも多くおり、これらを計算すると出演アーティスト53組中49組が歌唱に関係している事になります。文字通りアーティストがONENESS、一つになって作り上げた曲でした。

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3:Animelo Summer Live 2015 -THE GATE-

 

会場:さいたまスーパーアリーナ(スタジアムモード)

出演者数:56組+シークレット4組(+出演中止1組)

歌唱曲数

DAY1:43曲+テーマソング1曲

DAY2:43曲+テーマソング1曲

DAY3:45曲+テーマソング1曲

主な初出演者

オーイシマサヨシ

Tom-H@ck :シークレットゲスト、OxTとして出演であるが歌唱アーティストではない

蒼井翔太

内田真礼

大橋彩香:ソロとしては初出演

TrySail

その他特筆すべき出演者

アイドルマスターμ’s:DAY1でのOPコラボが話題に、μ’sは現状最後の出演

メロキュア

川田まみ:引退前最後の出演となった

Kalafina:解散前最後の出演となった

※この年放送されたアニサマに関係するアニメ(2014年秋~2015年夏)

ガンダム Gのレコンギスタ(14年秋~15年冬)

Fate/stay night [Unlimited Blade Works]【1期・2期】(14年秋・15年春)

甘城ブリリアントパーク(14年秋)

トリニティセブン (14年秋)

俺、ツインテールになります。(14年秋)

探偵歌劇 ミルキィホームズ TD (15年冬)

艦隊これくしょん -艦これ-(15年冬)

冴えない彼女の育てかた(15年冬)

蒼穹のファフナー EXODUS 【1期】(15年冬)

アイドルマスター シンデレラガールズ【1期・2期】(15年冬・15年夏)

ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース エジプト編(15年冬~15年春)

黒子のバスケ【3期】(15年冬)

長門有希ちゃんの消失(15年春)

電波教師 (15年春~15年夏)

うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEレボリューションズ(15年春)

響け! ユーフォニアム (15年春)

シドニアの騎士 第九惑星戦役 (15年春)

Charlotte (15年夏)

オーバーロード (15年夏)

がっこうぐらし! (15年夏)

※その他アニサマに関係する作品

・特撮ドラマ「仮面ライダードライブ」(14年秋~15年夏)

・メディアミックスプロジェクト「BanG Dream!」(15年2月)

ラブライブ!新企画「ラブライブ!サンシャイン!!」(15年2月)

・アニメ映画「劇場版 境界の彼方 -I’LL BE HERE-【過去篇・未来篇】」(15年3月・4月)

・アニメ映画「ドラゴンボールZ 復活の「F」」(15年4月)

※その他特筆事項

水樹奈々田村ゆかり栗林みな実らベテラン勢の多くが出演せず

アイドルマスターラブライブの二大アイドル作品のコラボが実現

藍井エイルが急病により出演休止

 

・ベテラン勢の未出演と新時代の「GATE」

Animelo Summer Live 2015のテーマは「GATE」。アニメーションの世界への入り口であるオープニングと出口であるエンディングを務めるアニメソングという「扉」であり「門」。そして10年目から新しい時代への「GATE」となるこの年のアニサマの第一歩として名付けられたテーマです。

この年アニサマは新しい時代へと歩むこととなりますが、それはアニサマの内からだけではなく外からによるものもありました。それはこの年の出演者の変化に大きく表れています。既にアニサマからの卒業を宣言しており昨年特例的に出演したJAM Projectは当然ながら、13,14年と連続出演していた水樹奈々も出演せず、さらに水樹と共に「御三家」と呼ばれていた田村ゆかり堀江由衣の出演もありません。そして10年間毎年出演していた栗林みな実の出演も無く、要所を務めていたMay'nも同時期の武道館ライブを優先し出演せず・・・とこれまでのアニサマの中心を構成していた大人気アーティストが少なからず出演をしないという非常事態でした。

特にキングレコードは同年6月に「KING SUPER LIVE 2015」をアニサマと同じくさいたまスーパーアリーナスタジアムモードで開催、この年のアニサマに出演しない御三家だけでなく伝説的声優アーティストである林原めぐみや近年のアニサマでは見られないベテランからこの年のアニサマにも出演した若手まで多くのキングレコード所属アーティストが出演、大成功させました。もちろんキングレコードアニサマから撤退したわけでは無く宮野真守angelaといった人気アーティストを出演させてはいますが、アニサマ創設以来の二大レーベルの片方であるキングレコードの主力アーティストであり13、14年はトリとトリ前を担当していた水樹・田村の不在は日本最大のアニソンフェスであるアニサマインパクトを弱めるには十分なものでした。この年からアニサマは大きな変化を余儀なくされ、様々な意味での変化の「扉」を開ける事となりました。

 

アニサマ10周年にステージに立った初出演者

その変化の一つが初出演アーティストの増大です。この年のアニサマ初出演アーティストはシークレットを含めて29組。13年の25組を超え過去最多であり、実現しなかったアーティストを含めて合計60組のアーティストが出演予定だったことを考えると約半数が初出演という事となりました。

初日にはかつてRO-KYU-BU!として出演しソロでは初出演となる井口裕香、本格派ロックバンドであるBACK-ON、ミュージカル女優としても活躍する昆夏美といった面々が初出演となりました。人気芸能人である神田沙也加がボーカルと務めるTRUSTRICKは持ち歌「FLYING FAFNIR」だけでなく黒崎真音とのコラボで「逆光のフリューゲル」を披露、翌年の公式コラボへとつながります。

その中でも後のアニサマへ大きな影響を及ぼしたアーティストがオーイシマサヨシです。昨年はアニサマの裏、すぐ横のショッピングモールで無料ライブを開いていたオーイシはその知名度を高めた「君じゃなきゃダメみたい」を披露、アニメソングはこの1曲しかありませんでしたがシークレットゲストのTom-H@ckと共に音楽ユニット「OxT」として鈴木このみの「Absolute Soul」を「-THE GATE LIVE ver-」としてサポートギターを担当し盛り上げました。その後オーイシはOxT、さらにソロアーティストしても何らかの方して毎年アニサマに出演、テーマソング制作を担当するまでになります。

2日目には「魔法科高校の劣等生」や「ガンダム Gのレコンギスタ」といった話題作の主題歌を担当したGARNiDELiA田村ゆかりの楽曲を数多く制作した太田雅友プロデュースの音楽ユニット「SCREEN mode」、異色のバイオリンパフォーマンスを魅せた「分島花音」といった初出演者がいました。この時まだアニタイを持っていなかった蒼井翔太も初出演し、翌年からアニメ主題歌と共にレギュラー出演していく事となります。

3日目はこの年の初出演者でもレギュラー化したアーティストが一番多くいました。2日目にアイドルマスターシンデレラガールズとしても出演した大橋彩香内田真礼、去年は朝倉もものみがアイドルマスターミリオンスターズとして出演していたTrysailといった声優アーティストはその後も人気を高め、アニサマでも重要な位置を任せられるようになります。他にも「ジョジョの奇妙な冒険」の主題歌担当アーティスト3人による「JO☆STARS〜TOMMY,Coda,JIN〜」、「きんいろモザイク」のRhodanthe*、「仮面ライダードライブ」の「Mitsuru Matsuoka EARNEST DRIVE」といった作品初のユニットも多く出演しました。

 

・初日を大いに盛り上げた伝説のコラボ

さてこのアニサマ2015でいい意味で最も大きな話題となったのが、文字通りアニサマ2015最初の曲である初日のOPコラボでした。それこそアイドルマスター×「μ's」による「READY!!」と「僕らは今のなかで」のメドレーです。

既に時代はアイドルコンテンツの大ブームが起こっている中、現在のアイドルコンテンツブームの火付け役でありこの年10周年を迎え、7月には西武ドームでのコンテンツ合同ライブ「M@STERS OF IDOL WORLD!! 2015」を大成功させた「THE IDOLM@STER」、そして6月に放映された「ラブライブ!The School Idol Movie」が大ヒット上映中、CDも次々と記録的セールスをたたき出している「ラブライブ!」という二大アイドルコンテンツの夢のコラボが実現しました。さらにこのOPコラボに続いて「キラメキラリ」「GO MY WAY!!」と「Wonderful Rush」「No brand girls」というアイマスラブライブのそれぞれの代表曲のコラボメドレーに突入し、ここまでの展開を予想していなかったファンを大いに驚かせました。

これまでもこの二大コンテンツはアニサマ2013やランティス祭り2014等のアニソンフェスでコンテンツ単位の共演はありながらも本格的なコラボレーションは実現しておらず、二組とも第一弾出演アーティストとして発表されていたこの年のアニサマこそコラボがあるのではという声がありましたが、予測は出来ても実現した衝撃と歓喜はその予測以上のものとなりました。

もちろん二組ともそれぞれの出番でも活躍、アイドルマスターは前半のトリを担当し代表曲「自分REST@RT」「M@STERPIECE」の2曲を披露し、μ'sはトリ前として「それは僕たちの奇跡」「ユメノトビラ」「KiRa-KiRa Sensation」の3曲で大いに盛り上げました。ただしこの年のμ'sは南條愛乃が膝の不調のため挨拶のみの参加となり9人全員での参加とはならず、また劇場版の楽曲は披露していませんでした。そして翌年の東京ドーム単独ライブをもって事実上の活動中止となっているため*2、現時点ではアニサマ最後の出演となっています。

2日目にはアイドルマスターの一員として出演した今井麻美とμ'sの一員として出演した内田彩Pileがソロアーティストして出演し、それぞれの持ち歌に加えTVアニメ「みなみけ」の主題歌「経験値上昇中☆」をコラボしました。この日は南條愛乃がソロアーティストとして「きみを探しに」を歌唱し、またfripSideとしてもシークレット出演、「Luminize」「black bullet」といった曲に加えOPコラボとしてスフィアとの「ハッピー☆マテリアル」を披露。他にも三森すずこ徳井青空ミルキィホームズとして出演しています。

3日目には新田恵海がソロアーティストして出演、「探求Dreaming」等の持ち歌に加え、新田と大橋彩香がMCを務めるアニメソング番組「アニソンCLUB!-i」*3の主題歌である、MC二人のユニット「つん♡へご」の「ラブ+I・N・G」を披露する等、とかくこの年のアニサマアイマスラブライブ関係者が多く出演していました。

 

アニサマの新たなる代表アーティストと去っていった人達

最初に上げたようにアニサマの常連アーティストがいないという事は、その立場に新しいアーティストが入る事となります。つまり新たなトリを務めるアーティストが誕生し、さらにそのアーティストが今までいた立ち位置にさらに新しいアーティストが入る、所謂世代交代です。

初日のトリを担当したのが「LiSA」です。2010年にGirls Dead Monsterのメンバーとして初出演し2012年にソロとして初出演、13年には2度目にしていきなりトリ前、14年は前半トリと出演数回で重要なポジションを任されていた彼女がついにアニサマのトリを担当する事となりました。ポップな「Rally Go Round」、落ち着いた楽曲である「No More Time Machine」、感動的なバラードである「シルシ」、そして既に代表曲となった「Rising Hope」と様々なタイプの曲を披露し新たな時代のアニソン界のエースここにあり、と言わんばかりに大役を果たしました。

けやきひろばの路上ライブからさいたまスーパーアリーナのステージに立つ夢を叶えたangelaアニサマ出演5回目にしてついにトリを担当する事となりました。新曲「イグジスト」やデビュー曲「明日へのbrilliant road」、新たなるアンセムである「シドニア」等新旧様々な曲を織り込み、MCでは「私達、アンジェラマスターシンデレラガールズでーす!」「本当のことを言います、私達fripSideでーす!」と定番となった名乗りを上げ振り付け講座では「お願い!シンデレラ」のサビを歌い爆笑と喝采を誘う一幕もありました。そして最後は「騎士行進曲」を2万8千人の観客と共に大合唱し叩き上げのアニソン歌手の実力を見せつけました。

他にもデビュー3年目にして既にアニサマの主要メンバーになった鈴木このみは上記のOxTとのコラボや持ち曲だけでなく春奈るなとの「コネクト」のコラボを披露し初日後半の盛り上げに貢献し、「スフィア」は上記のfripSideとのコラボに加え2日目前半トリを担当、「情熱CONTINUE」「vivid brilliant door!」等の曲で若さと経験が合わさったステージを作り上げました。そんなスフィアをベテランアイドルと呼んだ宮野真守は終盤に登場し、「シャイン」BREAK IT!」と言った楽曲と圧倒的な歌唱力にダンサブルなステージが合わさり、男女を問わず魅了しました。

3日目ではアニサマではこの年最古参の出演者となった茅原実里が前半のトリとなり「ありがとう、だいすき」や「会いたかった空」といった楽曲で美しいステージを作り上げ、出演3回目にしてアニサマのレギュラーとなっているZAQは「Philosophy of Dear World 」「Seven Doors」といった自身の持ち曲に加え「fhána」とのコラボやシークレット出演した「motsu」との「OVERDRIVER」を大幅にアレンジしたリミックス版ラップバトルを披露し最後は組体操のパフォーマンスで退場しました。

こういった新しいトリや定番アーティストの活躍の中、この年のアニサマ出演が最後となったアーティストもいます。上記の「μ's」1日目に出演した「Ray」、2日目に出演したカスタマイZもそうですが、有名アーティストとしては川田まみKalafinaがいます。

この年2012年以来の出演となりメジャーデビュー10周年を記念し前回出演時の楽曲を含めたメドレーや新曲「Garden」と言った楽曲を披露して2日目終盤の火付け役となりました。来年以降の出演も期待されましたが翌2016年の「リスアニ!Live」で引退を発表、5月のラストライブで舞台を去り3度目のアニサマ出演は叶う事はありませんでした。また他アーティストからはこの日出演予定だった藍井エイルとのコラボも予定されていた事が示唆されていましたが、これも幻となりました。

またKalafinaは3日目のトリ前となり「believe」「ring your bell」「One Light」の3曲を歌唱し唯一無二のハーモニーと、美しさだけではない熱さでアニサマのラストスパートを彩りました。Kalafinaはその後もアーティスト活動を続けていましたが翌年以降のアニサマに出演することは無く、2018年に事実上の活動休止、19年3月には公式に解散が発表されました。2組とも数多くの人気曲がまたアニサマで歌われる事無く表舞台を去る事となった事は、アニソンファンにとって非常に悔やまれるものでした。

 

・10周年のアニサマが浮き上がらせた課題

2015年でアニサマは10周年・11回目を迎え、既に世界最大のアニソンフェスの座は揺ぎ無い物となっていました。しかしそれ故の問題もいくつか浮かび上がってきました。

まずは以前からあった、出演者数と格差の問題です。上記のようにこの年の出演者は3日間合計で61組、内初出演者は28組に昇り、半分近くの出演者が初出演となります。この初出演者数の増大と入れ替わるように大人気アーティストが出演しなくなったため(当然新人が出る為ベテランが出なくなったというわけではなく、因果関係的にはベテランが出なくなったため新人が出演できるようになった、という方が正しいのですが)、「大人気アーティストが集まる世界最大のアニソンフェス」が好きなアニサマファンからの不満は大きなものでした。

次に出演者数が60組を超える一方、フェスの時間とセットリストの楽曲数を併せて増やせるわけでは無いので(この年の曲数自体は例年のアニサマより多い物でしたが、それでも数曲の差でしかないものでした)1組当たりの歌唱曲数は自然に少なくなります。その結果この年は10組以上のアーティストがソロで1曲しか歌っていない事となりました。ただしこの中にはアニメソングを1曲しか歌っていないアーティストやコラボに参加しており2曲以上歌っているアーティスト、同じ日か別の日かを問わず別名義で出演しており、それを含めれば歌唱曲数上位にランクインするアーティストも多いのですが、中には綾野ましろAKINO from bless4」といった複数のアニタイを持っていながら1曲しか歌えなかったアーティストもいる一方で2曲以上歌唱したアーティストの中にはノンタイアップ曲を歌ったアーティストもいる事やアニメタイアップ曲を持っていないにもかかわらず出演したアーティストもおり、アニメソングの祭典でありながらアニメソングが大切にされていないという批判も多くありました(ただしアニサマでは初めての事ではない)。

他にもシークレット出演者についての問題もあります。初日はTVアニメ「艦隊これくしょん -艦これ- 」のED「吹雪」が大ヒットした西沢幸奏、2日目はTVアニメ「プラスティック・メモリーズ」OP「Ring of Fortune」を歌う「佐々木恵梨」がシークレット出演しました。両名ともアニメ主題歌を歌う立派なアニソンアーティストではありますが、ここ数年のシークレット出演者がアニソン界のベテラン・大御所クラスのアーティストやJ-POP等一般アーティストからのゲストが多かった事を見ると、どうにも規模が小さくなったという印象が拭えないものとなりました。また2日目のもう1組のシクレであるfripSideはそれまで不通に出演していたアーティストであり、3日目のつん♡へごは元々2人ともソロとして出演しているため、シークレットにする意味自体が無いものでした。

こういったどことなく浮ついたこの年のアニサマを象徴してしまう事になったのが、大トリになったGRANRODEOでした。言うまでもなく2008年から毎年出演しているロデオは2013、14とトリを二度担当し、ついにこの年大トリを担当する事となりました。色々と問題がある年のアニサマですが、ロデオがしっかりと締めてくれれば全て良しとなる・・・と思っていた人も多かったはずです。しかしこの年のロデオは4曲中2曲がノンタイ、それも1曲は10分近く、もう1曲では露出度の高い女性ダンサーが多数登場するといったアニメ・アニソンファンの期待に応えたとは言い難いものとなってしまいました。MCではアニメやアニソン、アニサマのトリを担当する事に対する熱い思いを語っていましたが、それに相応しい大トリになったとは言い難く、どうにも締まらない、この年のアニサマを象徴してしまうステージとなってしまいました。

問題と言うわけではありませんが、上記でも書いたように2日目に出演予定していた藍井エイルが当日に体調不良のため出演中止となりました。隊長の問題は誰の責任と言うものでもありませんが、その後数年間尾を引く事となります。

 

・テーマソング「ハジマレ, THE GATE!!」

この年のテーマソングは「ハジマレ, THE GATE!!」、2012年の「INFINITY 〜1000年の夢〜」以来となるオリジナルのテーマソングです。作詞は「涼宮ハルヒの憂鬱」「らき☆すた」「ラブライブ!」等々数多くの作品でアニソンを作り上げた「畑亜紀」、作曲・編曲はJ-POPからアニソン迄幅広く活躍する「渡辺和紀」が担当し、2012年までのJAM Project関係者が参加した楽曲、13年と14年のカバー曲となった楽曲から続きアニソンとアニサマの新しい時代の到来を象徴する楽曲となりました。この年からアニサマのテーマソングは毎年完全に異なる作詞・作曲メンバーとなります。

アーティストはangelaGRANRODEOといったベテラン出演者からI☆RisZAQ鈴木このみといった比較的若手メンバー、井口裕香内田真礼TRUSTRICKといった初出演アーティスト、シークレット出演者である西沢幸奏まで幅広く18組が参加しています。

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4:Animelo Summer Live 2016 刻-TOKI-

会場:さいたまスーパーアリーナ(スタジアムモード)

出演者数:61組+シークレット4組(+出演休止1組)

歌唱曲数

DAY1:44曲+テーマソング1曲

DAY2:43曲+テーマソング1曲

DAY3:43曲+テーマソング1曲

主な初出演者

・TRUE

早見沙織

Poppin’Party from BanG Dream!

その他特筆すべき出演者

デーモン閣下

春奈るな藍井エイルの出演休止による代打出演

松本梨香:シークレットとして9年ぶりの出演、ソロとしては初出演

OxT:歌唱アーティストとしては初出演

高垣彩陽:ソロアーティストとしては初出演

戸松遥:ソロアーティストとしては初出演

西沢幸奏:正式出演としては初となる

沼倉愛美:デビュー前の出演であり、ソロとしては最初で最後の出演となった

・Minami(栗林みな実):改名後初の出演、18年まではこの名義

ゆいかおり:活動休止前最後の出演

※この年放送されたアニサマに関係するアニメ(2015年秋~2016年夏)

ランス・アンド・マスクス(15年秋)

蒼穹のファフナー EXODUS【2期】 (15年秋)

学戦都市アスタリスク【1期・2期】(15年秋・16年春)

うたわれるもの 偽りの仮面(15年秋)

コメット・ルシファー (15年秋)

コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜 /THE LAST SONG (15年秋・16年春)

ワンパンマン【1期】(15年秋)

おそ松さん【1期】 (15年秋~16年冬)

プリンス・オブ・ストライド オルタナティブ (16年冬)

無彩限のファントム・ワールド (16年冬)

アクティヴレイド -機動強襲室第八係-/2nd(16年冬/16年夏)

うしおととら【2期】(16年春)

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない (16年春~16年秋)

Re:ゼロから始める異世界生活 (16年春~16年夏)

文豪ストレイドッグス【1期】 (16年春)

ハイスクール・フリート (16年春)

ラブライブ! サンシャイン!!【1期】(16年夏)

テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス【1期】(16年夏)

・レガリア -The Three Sacred Stars- (16年夏)

クオリディア・コード(16年夏)

ダンガンロンパ3 -The End of 希望ヶ峰学園-(16年夏)

※その他アニサマに関係する作品

・アニメ映画「Wake Up, Girls! 青春の影/Beyond the Bottom」(15年9月/12月)

・アニメ映画「KING OF PRISM by PrettyRhythm」(16年1月)

・アニメ映画「アクセル・ワールド INFINITE∞BURST」(16年7月)

・ゲーム「テイルズ オブ ベルセリア」(16年8月)

※その他特筆事項

日本コロムビアからの初のトリ担当アーティストが出る

・初の作品ユニットがトリを担当

藍井エイルが二度目の病欠

・Gばら撒き事件が発生

 

アニサマの最も新しい「刻」を象徴する初出演者

Animelo Summer Live 2016のテーマは初の漢字となる「刻-TOKI-」。アニメとアニメソングの長い歴史の中、過去から現在、未来まで「刻」を超えて様々な作品と歌の集まるアニサマに相応しいテーマが選ばれました。そんなアニサマ2016には「刻」を超えて様々な年代・ジャンルから過去最高となる65組のアーティストが出演しました。

初日の初出演アーティストはフレッシュな声優アーティストが目立ちました。相坂優歌村川梨衣はそれぞれと自分のアニメ主題歌に加え「INSIDE IDENTITY」をコラボし、田所あずさは自身初のアニメ主題歌「純粋Always」やi☆Risと2012年以来に歌われた「ブルーウォーター」のコラボを披露しました。「every♥ing!」アニタイである「カラフルストーリー」に加え「ゆめいろ学院校歌」をトロッに乗りながら歌う等、とにかく若さが目立ちました。

2日目は様々なジャンルのアーティストが初出演しました。大ヒットしたアニメ「おそ松さん」の主題歌を歌うA応Pはトップバッターを飾り「はなまるぴっぴはよいこだけ」「全力バタンキュー」の2曲で会場を盛り上げ、「MICHI」は「Checkmate!?」を一曲入魂で披露。歌唱アーティストとしては初出演となるOxTは後半の起爆剤として登場し「Clattanoia」「STRIDER'S HIGH」の2曲でラストスパートを盛り上げていきます。

2日目の初出演者の中で桁外れの歌唱力を魅せたのが早見沙織高垣彩陽です。二人共既に大人気声優かつ高垣はスフィアのメンバーとして何回も出演しており、その実力に違わないステージを繰り広げてくれました。早見は前半に出演し自身初のアニメ主題歌「優しい希望」等2曲を披露、高垣は後半に出演し声優・アーティストとしての代表シリーズである「戦姫絶唱シンフォギア」の第三作「GX」のED「Rebirth-day」を熱唱、さらに早見と「fhána」の佐藤純一と三名で「新世紀エヴァンゲリオン劇場版」の挿入歌「Komm, süsser Tod〜甘き死よ、来たれ」をコラボ。この三人だけしか出来ないステージを作り上げました。

3日目ではソロデビュー発表と共にアニサマ出演が決定した沼倉愛美がデビュー曲となる「魔法少女育成計画」OP「叫べ」を文字通り初披露し、三森すずこと「ワンピース」OP「Believe」をコラボ、アニサマの声優アーティスト史上最速の出演を果たしました。続く「ナノ」は国内のアニソンフェス初出演であり、「蒼き鋼のアルペジオ」シリーズの主題歌を披露。他にも正式出演では初登場となる西沢幸奏やソロとしては初出演となる飯田里穂等様々なジャンルのアーティストが初出演となりました。そして3日目にシークレット出演した鮎川麻弥はこの年出演したアニソン歌手としては一番のベテラン。この年のテーマに相応しく「機動戦士Zガンダム」主題歌「Ζ・刻をこえて」を一曲入魂で熱唱しました。

そんな初出演アーティストの中でも現在までアニサマと深く関わる事となるのが「TRUE」です。本名の唐沢美帆で既に一度歌手デビューし、その後作詞家として多くのアニソンを生み出し、2014年にアニソン歌手として再デビュー、そしてついにアニサマのステージに立ちました。まずは前半にブレイクのきっかけとなった「響け!ユーフォニアム」OP「DREAM SOLISTER」を披露し1曲退場・・・と思いきや後半の盛り上げパートで再出演し「Divine Spell」を熱唱するという異色の出演を果たします。その後4回連続出演を果たしアニサマテーマソング制作にも関わる、今となってはアニサマになくてはならない実力派アーティストとアニサマの始まりの「刻」となりました。

また年々増えている作品ユニットはこの年も活躍しています。2016年のアニサマは丁度放送中だった「ラブライブ! サンシャイン!!」の「Aqours」が出演しない事で2012年以来ラブライブ!シリーズからの出演者が無くアイドルマスターシリーズからもアイドルマスターシンデレラガールズのみの出演でしたが、他の作品からの初出演ユニットが次々と出ました。3日目に出演した「美男高校地球防衛部LOVE!」の地球防衛部、2日目に出演した「SHOW BY ROCK!!」からのプラズマジカ等です。同じく2日目の「響け!ユーフォニアム」から生まれた北宇治カルテットはTRUEから引き続いての出番でED曲「トゥッティ!」を熱唱し、声優・作家の浅野真澄*4原作作品「それが声優!」から誕生したイヤホンズは同作のOPEDに曲中の早口言葉等声優としての武器をフル活用、さらに後述のコラボまで披露しました。

そんなこの年初出演の作品ユニットの中でも現在に至るまで最も有名になったのはPoppin’Party*5です。メディアミックス作品「BanG Dream!」からの出演となったPoppin’Partyはキャラクターを演じる声優がそのままリアルバンドとして楽器演奏もするというコンセプトの作品ユニットであり、アニサマでも「Yes! BanG_Dream!」「STAR BEAT!〜ホシノコドウ〜」を歌唱&演奏。アニサマでも初である声優がリアルで演奏しながら歌うというステージは大きな話題を呼び、現在まで続くバンドリ旋風のアニサマにおける大きな一歩となりました。

 

・「刻」を超え帰ってきたアーティスト

この年の出演アーティストは「刻」というテーマに相応しく昨年の出演が無く、2年ぶりの出演となるアーティストや数年ぶり、中には3日間になってから初のアーティストもいます。

アニサマには4度目の出演ながら、意外な事に個人名義では初出演となったのが初日のシークレットゲストである松本梨香です。JAM Projectのメンバーとして初回から3年連続で出演していましたがSSA初となる2008年のアニサマ以前にJAMメンバーとしての活動を休止してから9年ぶりの出演となった松本はその前の出番だったi☆RisAKINO with bless4のbless4をコーラスに従えて出演、ベテラン声優アーティストのサプライズ出演に会場から衝撃と歓喜の叫びが上がりました。そして松本は自身の声優として、アーティストとしての代表作である「ポケットモンスター」の主題歌メドレーを披露。「めざせポケモンバスター」をから始まり「OK!」「タイプ・ワイルド」「ライバル」といった大ヒット主題歌を立て続きに歌唱し、この年の「Pokémon GO」ブームもあり大盛況となりました。

そんな初日の前半トリを務めた「May'n」は2014年から2年ぶりの出演となりました。昨年デビュー10周年を迎えながらも自身のライブや体調不良などで出演が叶わなかった分も取り戻すように「Belief」「ヤマイダレdarlin'」といった新曲に加え自身の代表作である「マクロスF」のメドレーを披露、今まで歌われてきた数多くの人気曲に加えアニサマ初披露となる「ライオン」のソロverで締めくくるという去年の未出演分を埋めて余りある舞台となりました。

同じく初日の後半戦に出演し2009年以来、7年ぶりの出演となったSuaraは自身の代表作である「うたわれるもの」シリーズから「不安定な神様」と「キミガタメ」の2曲を歌唱。ポップで明るいOPと壮大かつ感動的なEDという二つの曲でSSAを一つにしました。

2日目に出演したLiaは2010年以来6年ぶりの出演となりました。過去2回の出演でも歌唱し自身のアンセムである「鳥の詩」に最新のアニタイである「Charlotte」OPの「Bravely You」の2曲を歌い、そして後半のfhánaのパートで再び登場し「CLANNAD 〜AFTER STORY〜」OPであり、この年のテーマに合致する曲、「時を刻む唄」をコラボしました。fhánaは結成のきっかけはメンバー皆がCLANNADを好きだったから、というエピソードもあり、fhánaにとっては感慨深いコラボとなりました。

声優ユニットイヤホンズ」の出番の中で2日目のシークレットゲストとして出演した石田燿子アニサマが初めてSSAで開催された2008年以来、8年ぶりの出演となりました。石田がイヤホンズと共に歌ったのは自身の代表曲であり、イヤホンズもカバーした事がある「乙女のポリシー」。さらにこの日は同曲の作曲者である永井ルイもシークレットミュージシャンとして出演、作曲家自身の演奏をバックに歌うという豪華なコラボが実現しました。

石田とイヤホンズの次、前半トリとして2年ぶりに出演したのが「FLOW」です。既に多くのアニメソングを歌い一般アーティストながらアニソンフェスの常連となっていたFLOWは10年以上続くアニサマの歴史の中でもトリ以外では数えるほどしかいない4曲枠として出演。「Steppin' out」「BURN」「風ノ唄」と新しいアニタイを次々と披露。持ち前のパワーで観客全員を巻き込み、最後は代表曲「GO!!!」を熱唱、ステージを縦横無尽に飛び回り観客全員のウェーブで文字通りSSAに大波を起こし、トリと言われても遜色無い圧巻のパフォーマンスで前半戦を締めくくりました。

3日目、この日も前半のトリを担当したのはアニサマのステージに返り咲いたアーティストでした。「Minami」と名を改めた栗林みな実です。*6アニサマ解禁出演こそ去年の未出演で途切れて名義も変わりましたが、その歌唱力もオーラも変わらず新名義後初となる楽曲「Patria」とこのテーマに応えるようなチョイスとなった「時すでに始まりを刻む」の2曲を歌い、変わらないミス・アニサマの存在感を見せつけました。

3日のトリ前を担当したALI PROJECTは2013年以来、3年ぶりの出演。元々ALI PROJECT自体新規アニメタイアップが無い年は出演しない方針を取っており、リリースの谷間の時期であった数年間出演はありませんでしたが、この年は久々のアニタイとなった「落第騎士の英雄譚」ED「波羅蜜恋華」や同日に出演していた「petit milady」と共に楽曲提供した「聖剣使いの禁呪詠唱」OP「緋ノ糸輪廻ノGEMINI」をコラボ、さらに初出演以来となる「亡國覚醒カタルシス」を披露しアニサマ3日間の終盤の盛り上げ役を見事に勤め上げました。

 

・本格化する一般アーティストのアニサマ出演

既にアニサマにアニソン業界外からアニメ主題歌を歌う一般アーティストが出演する事は珍しくなくなっていましたが、この年は3日間とも一般アーティストからの出演があり、さらに全員がOPコラボを担当するという驚きのセトリとなりました。

初日に出演したのは10万54歳(当時)で歴代出演者最高年齢となるデーモン閣下です。ヘヴィメタルバンド「聖飢魔Ⅱ」のボーカルとして、ソロアーティストとして30年以上活動している悪魔がまさかのアニサマに登場、当然ながら発表された時には大きな話題となりました。そして本編ではGRANRODEOと共に北斗の拳風の装備を着用し「愛をとりもどせ!」のOPコラボでこの年のアニサマの幕を開け、ソロでは後半戦のトップバッターとして登場、「テラフォーマーズ リベンジ」OP「PLANET / THE HELL」でアニサマを魔界にするかの如く禍々しい(誉め言葉)ステージを作り上げました。惜しむらくはソロでの出番が1曲のみだった事でしょうか。

2日目のトップバッターを担当したのはB.B.クィーンズです。A応Pと共に「B.B.クィーンズ with B応P」として登場し1stアルバムと同名曲「WE ARE B.B.クィーンズ」から始まり、アニソン初となるオリコン年間1位やレコード大賞など数々の記録を打ち立てた大ヒット曲「おどるポンポコリン」をメドレーでコラボ。文字通り「刻」を感じさせるコラボとなりました。

3日目には大槻ケンヂ率いるロックバンド筋肉少女帯が登場。大槻ケンヂは2009年に「大槻ケンヂと絶望少女隊」以来の2回目の出演ですが筋肉少女帯としては初出演であり、まずはトップバッターとしてangelaとの「混ぜるな危険」の持ち歌コラボで最終日の火ぶたを切り、MCでは2009年のアニサマに出演した時見た光景をいつか「筋少」のバンドメンバーにも見せたいと思っていたがその夢が叶ったと語った後09年と同じく「写メ撮っていいですかー!」と写真を撮るパフォーマンスを再び披露。そして「週替わりの奇跡の神話」で3日目の先手の役目を終えました。

 

・豪華メンバーである一方多くの課題を残した初日

この年の初日はある意味アニサマ史上最も評価の分かれる日と言えます。この日はまず開催1週間近くになった8月18日に藍井エイルが体調不良のため当面の活動休止を発表、2年連続のアニサマの出演中止と言う事態になってしまいます。その後エイルは10月14日に11月の武道館公演を最後に無期限活動休止となり、再び舞台に立つまでは2年近い時間がかかる事となります。この代打として出演したのがレーベルメイトである「春奈るな」であり、急な代打ながら代表曲「Ripple Effect」の二曲を披露、見事にピンチヒッターを務めました。

このエイルの出演休止を差し引いても、この日の出演者は昨年やらかしたとはいえ3回トリを担当したGRANRODEOを初めAKINO with bless4ALTIMAZAQといったアニソンシンガー、アイドルマスターシンデレラガールズi☆Ris、every♥ing!といった声優・作品ユニット、相坂優歌村川梨衣田所あずさといった声優アーティスト、デーモン閣下

TRUSTRICK玉置成実といった一般系アーティスト(TRUSTRICK は少し違いますが)、そして2010年のシークレット以来の出演となるKOTOKOにシークレット出演となった松本梨香、と様々なアニソン歌手のジャンルを網羅しており素晴らしいライブになると思われていました。

確かにこの日は前出の松本梨香やMay'n、Suaraといったアーティストや新曲に加え代表曲「創世のアクエリオン」をゴスペル風アレンジである「Genesis of Aquarion」から始まるverとして披露したAKINO with bless4*7、ギタリスト山本陽介の「コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜」ED「The Beginning」からの「コンレボ」主題歌2曲に続き自らピアノを弾きながらの「hopeness」の名人芸を見せたZAQ、新曲2つに加えALTIMAのメンバーとして出演していた黒崎真音とのコラボ曲「DEAD OR LIE」を熱唱したTRUSTRICK等光るステージが多くありました。

一方でいくつかの出演者にとってはアンバランスなセットリストとなったのも事実です。まずはOPコラボ後引き続いて登場した昨年の大トリであるGRANRODEOです。昨年やらかしたとはいえアニサマを代表するアーティストの一人であるロデオがまさかのトップバッターとして登場。この年のアニサマ記者会見では「今年は全曲アニソンでいきたいと思っていますし」とコメントしていましたが実際に歌ったのはコラボを除いて2曲のみであり、新曲「TRASH CANDY」は兎も角として2曲目は「アウトサイダー」。一応特撮タイアップであるため広義のアニタイには属し2011年にも歌った事のある曲ですが、未披露のアニタイや人気曲を差し置いての選曲には批判の声も多く、さらにKISHOWが楽しそうにしていなかったという客からの感想も多くあり、この2年間はアニサマファンにおけるGRANRODEOの評価を難しいものにさせました。

また上記のデーモン閣下玉置成実KOTOKOといった知名度の高い出演者がコラボを除けば1曲のみ、含めても2曲という大きな曲数の差が生まれ、この点は大きく批判されました。特にKOTOKOは2010年にシークレットでトリ前に出演して3曲歌唱しており、同様の条件で2011年にシクレ出演したT.M.Revoltionが次回出演時に4曲でトリを担当した事を考えれば、明らかに不遇な扱いと言えます。

さらにその後トリ前として登場したALTIMAは「KOTOKO×ALTIMA」としてのコラボ曲「PLASMIC FIRE」を披露した後なんとこの日を持っての活動休止を発表ALTIMAは昨年のANIMAX MUSIX 2015でも「第1期ALTIMA解体」と銘打った後このコラボを発表した事もありまたかと思っている客も多かったようですが今度は本当に活動休止という事でそのまま曲が始まり、混乱する中曲がスタート。最後はこの日の出演者の多くが登場して共に「CYBER CYBER」を踊るという演出でALTIMAの活動はひとまず幕を降ろしたのでした・・・としたかったのでしょうが、予期せぬ発表の中で混乱する中まるでトリのような演出のステージをしたためわけのわからない雰囲気のままトリであるシンデレラガールズにバトンタッチするという、しっくりしない構成となってしまいました。

デレマスのトリについては後述しますが、こういったアンバランスなセットリストはこの日のアニサマの評価が人によって大きく変わる大きな原因となっています。

 

三者三様となったトリ

先ほども言った通りにこの年のアニサマ初日のトリとなったのはアイドルマスターシンデレラガールズです。アイマスとしてはこの年の「リスアニ!LiVE」でアイマスシリーズ3作品(当時)の合同ユニットである「THE IDOLM@STER THREE STARS!!!」として、またシンデレラガールズとしてもグッドスマイルカンパニーのフィギュアである「ねんどろいど」シリーズの10周年ライブである「Nendoroid 10th Anniversary Live」でトリを飾ったことはありますが、アニサマとしてはアイドルマスターシリーズは勿論の事、作品発のユニットとしても初のトリとなります。

シンデレラの12時を指す時計というまさに「刻」と言うテーマに合致するユニットであるデレマスのトリはアニメ最終話の挿入歌だった「M@GIC☆」から始まり出演アイドルの個性を生かしたソロ・ユニットメドレー、さらにこちらもアニメ挿入歌である「GOIN'!!!」、そして最後にデレマスを代表するテーマソングである「お願い!シンデレラ」でアニサマ初の作品ユニットとしてのトリを務めました。

このシンデレラガールズのトリは初の作品ユニットからのトリであると共にアニサマにおける主要三大レーベルであるキングレコードランティス(現バンダイナムコアーツ)、ソニー以外では初となるレーベルとしてのトリであり(シンデレラガールズの所属レコード会社は日本コロムビア)、数年前からの作品ユニットの飛躍を象徴するアニソン業界の現状を反映したトリと言えます。一方で一つの作品ユニットがトリとなる事は一組のアーティストが様々な作品の曲を歌う今までのトリとは異なる事でどうしてもファン層が狭まるというどうしようもない問題点を抱えており、この日の構成の問題点と併せて賛否両論のトリとなりました。

なお有名な都市伝説で「アニサマ2016初日は藍井エイルがトリの予定だったが出演中止となったためシンデレラガールズがトリになった」というものがありますが、これについては作曲家の渡部チェル(「めざせポケモンマスター」「Butter-Fly」を初めとして数多くのアニメ・ゲーム・特撮・アイドルなどに楽曲を提供している作曲・編曲家。アイドルマスターシリーズにも数多くの楽曲を提供している。)がこんなツイートをしています

このツイート内に出てくる楽曲「生存本能ヴァルキュリア」はデレマスのゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」発の楽曲ですが、この曲の初出は同ゲーム内で16年4月に開催されたイベントであり、当然ながら楽曲制作はその数か月前になります。ツイート内の「ヴァルキュリアの録り中にアニサマ初日のトリって聞いてワクワクしてたんだけど~」というのは16年の冬ごろになります。当然この時期は藍井エイルの出演中止決定とは全く関係無い時期であるため、上記の都市伝説は完全なデマと言う事になります。

昨年に引き続いてトリを担当したのは「LiSA」。今やトップクラスの人気を誇るアニソンシンガーとなった彼女が登場すると共に会場は叫びに包まれますが、さらにスクリーンの「LiSA」の文字が「Girls Dead Monster」に変化しシークレットゲストとしてLiSAと同じくガルデモのメンバーであった「marina」が登場し二人で「Crow Song」を歌い始めるとそれ以上の驚きと歓喜の叫びが上がります。ソロとしては2010年のガルデモとしても2013年のLiSAソロとしても披露されましたがアニサマで、二人で歌われるのは初となります*8

そして最新曲「Brave Freak Out」とソロアーティストしてのデビュー曲「oath sign」を歌い、今と過去という刻を感じさせるステージを作り上げます。そんなLiSAが締めの曲に選んだのは「シルシ」。「crossing field」や「Rising Hope」等の大ヒットアッパー曲が多くある中で、あえてのバラード締めという変化球を投げてきます。アニサマとしてもバラード曲での締めは初となり(一応アッパー曲ではないという括りでは「HEART OF SWORD 〜夜明け前〜」が該当する)、単に盛り上がるだけではない静かな、しかして客を冷めさせないステージを作り上げます。特にラスサビ前ではアニサマでは非常に珍しい「無音」の時間が生まれ、文字通り観客の想いを一つにさせました。パワーだけではないトリとして成功した事はLiSAのアーティストとしての実力をさらに上げ、さらにこの年上記のヒット曲を1年封印した事は翌年の彼女の伝説的なステージに繋がる事となります。

そして3日目、アニサマ2016最後の「刻」を飾るのは昨年に引き続いて二度目、大トリは初となるangelaです。昨年とは違い新曲が1つしか無い分ハードルが上がっているangelaですが、その新曲「DEAD OR ALIVE」から始まります。そして続いては2013年に続いての切り札となる人気曲メドレーを披露。ペンライトで会場を赤と青の真っ二つにする色分けやトリ前のALI PROJECTのMCを「私はみんなと一体になるのが好きなんです!」とネタにした(宝野アリカは自分のMCで「私はあまりみんなと一つになるのが好きでは無いので‥・」とジョークで話していた)手振り練習からの「KINGS」、コミカルな「蒼い春」から場内からすすり泣く声も聴こえた感動的なバラードである「Peace of mind」、そしてファフナーで繋ぐ大ヒット曲「Shangri-La」と人気曲を惜しみなく畳みかけ、メドレー最後の曲である「騎士行進曲」では間奏中にangelaの長年に渡る目標であった日本武道館単独公演を発表しアニサマ最終日のボルテージを最高潮に引き上げます。

そして最後の曲は既にangelaの新たなアンセムとして定着した「シドニア」。お馴染みのKATSUの「ジーク・ジオン!」コールをatsukoが持っていくというコミカルな一幕もありながら、ありとあらゆるアニソンジャンルを網羅するangelaの実力を見せつけ、納得の大トリとなりました。

 

・悪名高きG事件

この年のアニサマではアニサマ史上に残る大事件が起きました。3日目の開演中に客席でゴキブリが撒かれるという信じがたい事件が発生しました。長らく公式のお知らせなどでは触れられずに当日の観客などの情報のみで知られていましたが、約半年後の2017年のアニサマ発表会直前となった3月23日、公式でライブ中にゴキブリが撒かれる事件が発生しており、容疑者が威力業務妨害で逮捕されたと発表がありました

近年アニサマ会場では度々問題が起きており、この年はとうとう逮捕者まで出す事態にまでなったことにより翌年以降のアニサマ警備体制は強化される事となります。

 

・テーマソング「PASSION RIDERS」

この年のテーマソングは「PASSION RIDERS」。作詞は昨年から引き続いて畑亜紀が、そして作曲・編曲は畑も所属する音楽プロデュースチームQ-MHzが担当しました。

Q-MHzは2015年にアニメソング業界のクリエイター達によって結成されたユニットであり、メンバーは畑に加え「ハレ晴レユカイ」や堀江由衣の「Days」、アイマスの「The world is all one !!」等のヒット曲を生み出した「田代智一」、藍井エイルやスフィア、中川翔子等数々のアニソン歌手に楽曲を提供すると共に多くのアニソン歌手のバンドにベーシストとして参加し、この年は春奈るなのアシストでアニサマ本編にも出演した「黒須克彦」、大人気バンド「UNISON SQUARE GARDEN」のベーシストにして「Rising Hope」「ギミー!レボリューション」「Q&A リサイタル!」等数々の大ヒット曲を生み出した「田淵智也」の4人であり、いずれもアニソン界に燦燦と輝くスーパークリエイターです。

歌唱メンバーはGRANRODEO黒崎真音鈴木このみ等お馴染みのレギュラーメンバー蒼井翔太大橋彩香SCREEN modeといった若手、相坂優歌、every♥ing!、早見沙織といった初出演まで幅広く、12組のアーティストが参加しています。なお藍井エイルは前出のように出演中止となったため、アニサマでは初のテーマソングに参加しているが実際のライブでは歌唱していないアーティストになりました。

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5:まとめ

今回はアニサマが2013年に3日間開催になってから2019年までの内約半分に当たる2016年までの4年間の公演について見ていきました。

2013年にアニサマは現在まで続く金土日の3日間開催という形態になり、日数が1日笛田文出演者もこれまでから約1.5倍に急増し多くのアニソンアーティストにアニサマ出演の道が開かれました。そしてこれまでのアニサマを支えてきたアーティストに加えてアニサマをこれまで観客として見てきた世代を含む新世代アーティストが多く参加し始め、アニソンの時代の変化に合わせて声優アーティストや作品ユニットの出演数も急増、さらにアニソン業界外からの一般アーティストの出演も定着していきました。またこの年からソニー系列のレーベルのアーティストが正式に出演できるようになり、最後の全アーティスト集まってのテーマソングや映像収録などが解禁される事で大きなレーベルの壁が崩れさらにアニソン界は一つにまとまっていきました。

一方でこれまでアニサマの目玉であった人気アーティストが出演をしなくなる、出演アーティストが多すぎて曲数の需要に対応できない、他のアニソンフェスやレーベルフェスの大型化によってアニサマの地位が揺るがされる等の問題も起き始めていきます。こういった問題は現在においても完全に解決されたわけではなく、もはやアニサマの永遠の課題になりつつあります。

世界最大のアニソンフェスとしての成長と完成するとと共にそれに伴う問題を抱えたまま、13年目、2017年に突入していきます。

6:あとがき

という事で2013年から16年までのアニサマの記事になります。このシリーズの前回は2020年5月と言う事で、1年4ヶ月ほどの時間がかかった事になります。

何故この章だけここまで間が空いたかと言うと、この記事を書くためにはそれまでのアニサマを見返す必要があり、そのためには4年×3日×5時間=60時間ほどの時間が必要となったためです。そして第4章はこのシリーズを書き上げた後にスタートする予定なので、残りの3年分の円盤を見返す必要があります。もう少しだけ時間がかかるんじゃぁ。

なので次回の記事を書きあげるまで時間がかかりますので、その間に無事(かどうかは兎も角)3日間開催されたアニサマ2021について1,2回ほど記事を書きたいと思います。

今回も読んでいただいてありがとうございました。次回もよろしくお願いします。

 

目次代わりの記事→Animelo Summer Live15年史勝手に分析 0

このシリーズ最初の記事→1-1:アニサマ15年と2005~07の概要

前回の記事→1-2:アニサマ2008~2012の概要

次回の記事→1-4:アニサマ2016~2019の概要

次シリーズ初回の記事→2-1:アニサマ出演者音楽レーベルについてその1(ランティス)

次の次のシリーズ初回の記事→3-1:アニサマ主要パート担当アーティスト一覧と分析

*1:アニサマぴあ2014、P24、遠藤正明

*2:東京ドームライブはタイトルに「Final」が入っておりその後大規模な活動を行っていない一方で公式ではμ'sの「解散」「活動休止」を公言していない。

*3:この番組の製作は2014年の項で名前を上げた「animeloLIVE」が担当しており、番組出演者もアニサマ関係者が多かった。

*4:作家の時の名義はひらがなの「あさのますみ

*5:出演当時の名義は「Poppin’Party from BanG Dream!

*6:2019年8月3日に名義を「栗林みな実」に戻した。

*7:なおこの年メンバーの一人であるAIKIはこの時期武者修行としてボランティア活動に専念するため活動休止中であったため出演していない

*8:そもそも「Crow Song」はmarinaが原曲の担当アーティストであり、「Angel Beats!」本編でも使用されたのはmarinaが歌うverのみの曲。