※この企画の記事内では個人名は敬称略で記載しております、ご了承ください。
Animelo Summer Live(以下アニサマ)は昨年までで15年目、合計34日間の公演を行ってきた。それまでの歴史の中で公演の体系そのものも大きな変化を遂げてきました。
毎年変わる出演者や人数は別として、最大の変化は公演日の変化であり、また会場の変化も大きい。15年の変化を簡単にまとめると以下のようになります。
開催年月日 |
会場 |
日数 |
分類 |
2005年7月10日(日) |
国立代々木競技場第一体育館 |
1DAY |
ver1 |
2006年7月8日(土) |
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2007年7月7日(土) |
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2008年8月30~31日(土日) |
さいたまスーパーアリーナアリーナモード |
2DAY |
ver2 |
2009年8月22~23日(土日) |
さいたまスーパーアリーナスタジアムモード |
ver2.1 |
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2010年8月28~29日(土日) |
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2011年8月27~28日(土日) |
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2012年8月25~26日(土日) |
ver2.5 |
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2013年8月23~25日(金土日) |
3DAY |
ver3 |
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2014年8月29~31日(金土日) |
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2015年8月28~30日(金土日) |
ver3.5 |
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2016年8月26~28日(金土日) |
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2017年8月25~27日(金土日) |
ver3.6 |
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2018年8月24~26日(金土日) |
ver3.7 |
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2019年8月30~31日、9月1日(金土日) |
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2020年8月28~30日(金土日) |
まず表の「分類」については自分が勝手に考えたものであり、公式用語ではないのに注意してください。この分類の最大基準は日数であり、ver〇の数字は日数に応じて、さらに出演者の変化に応じて〇の後の.~という形式で数字が繰り上がっていくようにしました。詳細は次回のver2以降の記事で説明していきたいと思います。今回は公演が1DAYのみであった2005~07年、ver1と分類した時代について語っていきます。
- 0:アニサマ誕生までのおはなし
- 1:Animelo Summer Live 2005 -THE BRIDGE-
- 2:Animelo Summer Live 2006 -OUTRIDE-
- 3:Animelo Summer Live 2007 Generation-A
- 4:まとめ
- 5:あとがきという名の愚痴
0:アニサマ誕生までのおはなし
アニサマ誕生のきっかけは、当時株式会社ドワンゴがアニメソング専門の着うた配信サイトであり、現在も存続している「アニメロミックス」が自身のプロモーションと各レーベルから楽曲の使用許可を頂くためのイベントと言うものでした。言ってしまえばアニサマは最初から商業目的のイベントの面を持っていたのです(当然ではありますが)。しかし一方で、当時独自のレーベルを持っていたわけでも所属声優がいたわけでも無いドワンゴだからこそ出来た企画であるという面も持っていました。
当時ドワンゴの取締役であり現在もアニサマのエグゼクティブプロデューサーである太田豊紀と、当時アニメロミックス部署のプロデューサーであり、現在に至るまで(正確には05~06年及び13年以降)アニサマのゼネラルプロデューサーを担当している齋藤光二がこのイベントの出演アーティストについての出演依頼についての相談を受けたのが、当時すでに数々のアニメ主題歌を担当し、所属していたキングレコードから独立してのアーティスト活動を始めたばかりであった、また「アニメロミックス」のCM曲を担当していた「奥井雅美」でした。
奥井とドワンゴを引き合わせたのがかつてキングレコードで奥井のプロデューサーを務めており音楽性の違いから決裂していた矢吹俊郎でした。*1
太田は以前ドワンゴの着メロサービスが開始し始めた時、たまたま配信楽曲を何にするかオリコンを読みながら選んでいた所、たまたまランクインしていた「水樹奈々」(当時まだデビューしてから1年ほどであった)の名に興味を持ち、その曲を聴いて衝撃を受けました。太田は文化放送を通じて水樹の音楽プロデューサーであった矢吹と接触を持ち、これがきっかけとなり水樹がアニメロミックスのCM曲を担当する等の縁を持つ事となります。
奥井を中心として集まった面々としては奥井がメンバーとして参加しているアニソンシンガーユニット「JAM Project」のメンバーであり、アニソンシンガーとしても大先輩であった「影山ヒロノブ」、JAM Projectが所属する株式会社(当時)ランティスの社長であり影山とは共にバンド「LAZY」のメンバー時代以来の付き合いであった井上俊次、水樹奈々のプロデューサーである三島章夫といった面々がいました。ランティスとキングレコード、この奥井が関係していたアニソンレーベル会社であった2社が長らくアニサマの主要レーベルとして君臨する事となります。*2
また会場は当初パシフィコ横浜を予定していたが、矢吹が「最初から代々木でやろうよ」と進言した事により国立代々木競技場第一体育館で行う事となりました。
このころの大規模アニメイベントは2004年5月にブロッコリーが横浜アリーナで開催した「BROCCOLI THE LIVE IV in 横浜アリーナ」等があったがレーベルの垣根を超えたこの規模のライブは中々無く、時代を遡ると1999年12月に日本武道館で開催された「20世紀アニメ紅白歌合戦」ほどのものであり大きな冒険だったのです。
※この項目のソースとしては以下の2つのサイトの太田氏のインタビューを元としています
アニメ業界ウォッチング第4回:「ドワンゴ」執行役員 太田豊紀がアニメビジネスを語る!
それでは、本編を見ていきましょう。
1:Animelo Summer Live 2005 -THE BRIDGE-
会場:国立代々木競技場第一体育館
出演者数:14組
歌唱曲数:38曲+アンコール2曲(公式セットリスト換算)
主な初出演者
・水樹奈々
・奥井雅美
・米倉千尋
・石田燿子
その他特筆すべき出演者
※この年放送されたアニサマに関係するアニメ(2004年~2005年夏)
・蒼穹のファフナー(04年夏~秋)
・ふたりはプリキュア(04年冬~05年冬)
・神無月の巫女(04年秋)
・舞-HiME(04年秋~05年冬)
・魔法少女リリカルなのは(04年秋)
・ローゼンメイデン(04年秋)
・機動戦士ガンダムSEED DESTINY (04年秋~05年夏)
・魔法先生ネギま!(05年冬~春)
・創聖のアクエリオン(05年春~夏)
・極上生徒会(05年春~夏)
・バジリスク 〜甲賀忍法帖〜(05年春~夏)
・フルメタル・パニック! The Second Raid(05年夏)
※その他アニサマに関係する作品
特撮ドラマ「特捜戦隊デカレンジャー」(04年冬~05年冬)
※その他特筆事項
・アニサマ唯一の映像化されていない公演。映像自体は残っており現在でもテレビ番組等で流れる事がある。
そんな記念すべきアニサマ初回ですが、自分から言える事はほぼ無いです。
だって映像が市販されていないんだもの!()
しかしながらいくつか着目する点はあります、見ていきましょう。
・初回のテーマ「-THE BRIDGE-」を表す多彩な出演者とレーベル
記念すべき最初のアニサマのテーマは「-THE BRIDGE-」。レーベルの壁を越えた懸け橋となる存在となろう、という決意が秘められたものでした。
それを象徴するのがその出演者とレーベルです。今と比べれば数少ないものでしたが、当時としては革命的でした。
まだビクターもエイベックスもワーナーも日本コロムビアもソニーもありませんでした。ちなみにジェネオンは現・NBCです。
・OPコラボとトップバッター、トリの様式美
このライブでの1曲目は水樹奈々と奥井雅美のコラボである「TRANSMIGRATION」でした。作詞:奥井雅美、作曲:矢吹俊郎であるこの曲は後にアニサマ2014の大トリの曲として歌われる事になりますが、それはまた別の話。そしてこの曲から奥井がトップバッター、そして水樹がトリを務める事となります。
OPがアーティストのコラボから始まり、その片方のアーティストがそのままトップバッターを務めるという形式や、トリを担当するアーティストがOPコラボも担当するという形式は今も続いています。これを両方とも担当するアーティストは今でこそ少ないですが、アニサマの今まで続く様式美が作られた事は間違いないでしょう。
また石田燿子と奥井雅美の「残酷な天使のテーゼ」(「新世紀エヴァンゲリオン」OP)や栗林みな実と下川みくにの「KUJIKENAIKAEA!」(「スレイヤーズ!」ED)といったコラボレーションステージも最初からあり、現在まで続くアニサマの目玉となっています。
・アニサマのツートップ、水樹奈々・JAM Project
奥井・影山を含むメンバーからなる「JAM Project」(当時は松本梨香もメンバーでした)と出演者中唯一の武道館単独経験者である「水樹奈々」。この2組はまさにアニサマの看板と言っていい存在です。共に2000年から活動を開始したこの2組がそれぞれの持ち曲やコラボに参加した曲は合わせて16曲。ここれから2011年まで、アニサマは水樹・JAM 時代と言ってもいい時代に入ります。アニサマを象徴する曲の一つである「SKILL」が初めて歌われたのもこの年でした。ちなみにこの年の「SKILL」はJAMの出番の最初に歌われました。最後に「SKILL」を歌うのは来年以降からになります。
なお当時、「ETERNAL BLAZE」や「GONG」はリリース前です。
・アニサマ初期を支えたベテランアニソンシンガー
初期のアニサマを支えたのはベテランアニソンシンガーでした。前出の奥井や影山はもちろん、「乙女のポリシー」で知られる「石田燿子」、「嵐のように輝いて」で知られる「米倉千尋」といった90年代から活躍しアニソン業界を支えてきたアーティストが出演、この年だけでなく00年代のアニサマの土台を作り上げました。
そしてこの年から2014年まで、10年連続で出演し、15年を除き19年まで全てのアニサマに出演したのが「栗林みな実」です。2001年にアダルトゲーム「君が望む永遠」の主題歌とヒロインの声優を担当し、さらに「クロノクルセイド」や「舞-HiME」の主題歌を担当し人気を挙げていきました。その後も毎年出演を進め、後にはテーマソングの製作担当をするなど現在ではアニサマの重鎮的な位置にいます。
また彼女の楽曲の多くの作曲・編曲担当でありバンドメンバーでもある「飯塚昌明」は後にGRANRODEOのギター担当としてもアニサマ出演を続け、2019年に途切れるまで14年連続でアニサマに出演、「ミスターアニサマ」と呼ばれるようになりました。
・後のOLDCODEXである
この年最初の、そして個人名義では最後の出演となったのが「鈴木達央」。今や数多くの人気アニメに出演しOLDCODEXのボーカルTa_2として活躍する鈴木ですが、当時はまだアーティストとしても、声優としても新人であり、最後は感極まり号泣する所を長らく影山ヒロノブにネタにされています。そんな鈴木は8年後にOLDCODEXとしてアニサマ2013に二度目の初出演を果たし、18年には14年越しにトリを務める事となります。
・唯一の非アニソンアーティスト
出演者の中で異彩を放つのが「愛内里菜」。この中ではアニソンシンガーでも声優アーティストでもない唯一の存在です。出番はJAMの後、水樹の前というトリ前の立ち位置でした。愛内自身はこの年と翌年の身の出演でしたが、その後もほぼ毎年アニソンアーティスト以外の出演者は毎年出演しており、ある意味先駆者と言えます。
・忘れてはいけない「アニサマバンド」
アニサマの特徴として、多くのアーティストが生バンドでの演奏をバックに歌唱する点があります。今でこそ全曲生バンドのリスアニ!LIVEや同じく多くの曲が生バンドであるANIMAX MUSIX等でも当たり前となっていますが、これもまた画期的なものでした。水樹奈々の「cherry boys」のように自前のバンドを連れてくるアーティストもいますが、そうでない出演者はこのイベントのために結成されたアニサマバンドの演奏をバックに歌唱します。
特にギターの松尾洋一、ベースの村上聖の二人は07~08年を除き全ての年のアニサマバンドを担当しています。
・テーマソング「ONENESS」
この年のアニサマのテーマソングとして作られた楽曲が「ONENESS」です。この楽曲は後に2014年の10年目にリメイクされ、同年のアニサマそのもののテーマにもなりました。15年目の2019年にはその年のテーマソングとして再アレンジされました。
またトリのアーティストの歌唱後全員が集合しテーマソングを歌った後、アンコールとして再登場、RADIOアニメロミックスのテーマソングであった「ACCESS!」を歌い、続いてもう一度「ONENESS」を歌うという形式はこの後2010年まで続いていくようになり、初期アニサマの様式美となっていきます。
2:Animelo Summer Live 2006 -OUTRIDE-
会場:日本武道館
出演者数:15組
歌唱曲数:39曲+アンコール2曲
主な初出演者
・石川智晶
その他特筆すべき出演者
・平野綾、茅原実里、後藤邑子(涼宮ハルヒの憂鬱より):平野綾と茅原実里が初出演
※この年放送されたアニサマに関係するアニメ(2005年秋~2006年夏)
・魔法少女リリカルなのはA's(05年秋)
・灼眼のシャナ(05年秋~06年春)
・舞-乙HiME (05年秋~06年春)
・うたわれるもの (06年春~夏)
・IGPX -Immortal Grand Prix- (05年秋~06年春)
・涼宮ハルヒの憂鬱(06年春)
・.hack//Roots(06年春~夏)
・おとぎ銃士 赤ずきん(06年夏~07年冬)
※その他アニサマに関係する作品
・ゲーム「第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ」(05年7月発売)
・アーケードゲーム「THE IDOLM@STER」(05年7月)
※その他特筆事項
・会場が日本武道館に移動となる
・アニサマ初の映像化
この年からアニサマは初めて映像化されて、販売されるようになりました。そのため自分も映像を見て確認しながら記事を書くことが出来ます。
・・・ですがこの手元にあるDVD(当時はBDはそこまで普及していない)ですが、なぜか特殊な収録体系になっています。何故かDVDが「Ⅰ」と「Ⅱ」の二つに分かれており(円盤二枚組なのでなく、本当に二つに分かれて別々に販売されました)OPでの出演者登場からのOPコラボの奥井雅美と栗林みな実の「MASK」、最後のテーマソングとアンコール、メイキングのみ共通で後は出演者が分かれて収録されています。特に前半と後半で分かれているというわけでもありません。ちなみに「Ⅰ」の発売・販売元はキングレコードで水樹奈々のライブパートはこちらに、「Ⅱ」の発売・販売元はビクターでビクター所属アーティストはこちらに収録されています。・・・大人の事情って奴だね!
・ビクター・エイベックスの初参戦
この年のアニサマのOP演出は、某格闘技での登場コールで知られるレニー・ハートがその登場コールそのままの巻き舌で呼び込み、一組一組登場し全員集合するというものでした。現在のANIMAX MUSIXをイメージしてみてください。だいたいああいう感じです。
そんなアニサマの出演者ですが、この年からビクターエンタテインメントとエイベックスからのアーティストが初出演しました。ビクターからは「ALI PROJECT」、「石川智晶」、「savage genius」、エイベックスからは「嘉陽愛子」が出演。特にALIPROJECTと石川智晶は2010年代のアニサマに至るまで出演を続けている。ALIPROJECTは真紅のドレスに鞭という独特の装いで「聖少女領域」等二曲を、トリ前を任せられた石川智晶は「See-Saw」としての大ヒット曲である「あんなに一緒だったのに」等二曲を披露した。この二社の参加によって、アニサマはますます多彩化していく事になります。
ちなみに当時アニソンレーベルとしてのフライングドッグはまだ未設立でした。
・幻のSOS団
そんなDVDですが、1曲のみ収録されていない曲があります。スペシャルゲストである平野綾、茅原実里、後藤邑子による「ハレ晴レユカイ」です。この曲とアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」についての説明はもう必要するまでもありませんが、深夜アニメ、そして日本のテレビアニメ、当時のネット文化に多大な影響を与えたこの作品と声優がアニサマに参戦するという事で大きな話題となりました・・・
が、この「ハレ晴レユカイ」のみDVDには収録されていません。3人はOPの出演者集合にもEDにもいるのに、テーマソングを歌っているのにです。・・・大人の事情って奴だね!(二度目)
この3人をアニサマで見るためにはそれから11年の歳月を必要とするのですが、それはまた別の話。
・その年の話題の作品の主題歌披露の本格化
前年とこの年のアニサマの選曲を見ると、少し変化が見られます。2006年のアニサマは昨年と比較してこの年のアニメの選曲が多くなりました。先ほどの「ハレ晴れユカイ」を筆頭に石田燿子の「紅の静寂」(「灼眼のシャナ」後期ED)、水樹奈々の「ETERNAL BLAZE」(「魔法少女リリカルなのはA's」OP)、栗林みな実の「Crystal Energy」(「舞-乙HiME」後期OP)、ALIPROJECTの「亡國覚醒カタルシス」(「.hack//Roots」ED等です。
アニメ以外でもJAM Projectの「GONG」(ゲーム「第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ」主題歌)や「牙狼〜SAVIOR IN THE DARK〜」(特撮ドラマ「GARO-牙狼-」OP)といった前回のアニサマ以降に出た楽曲が多くなりました。
・テーマソング「OUTRIDE」
この年のテーマソングは作詞:奥井雅美、作曲:影山ヒロノブの「OUTRIDE」。「先駆者」を意味するこの曲は2007~09年、そして2014初日にも歌われ、最も多くの年で歌われたアニサマのテーマソングです。またこの年のアンコールは昨年のテーマソング「ONENESS」を歌った後最後に「OUTRIDE」を歌うという形式で、この後2010年までの様式美となりました。
3:Animelo Summer Live 2007 Generation-A
会場:日本武道館
出演者数:16組+シークレット1組
歌唱曲数:39曲+アンコール2曲
主な初出演者
・m.o.v.e:motsuが初登場
・茅原実里
その他特筆すべき出演者
・矢部野彦麿(でんちゅう)&琴姫(MOMOEIKA):スペシャルゲストとして出演
・高橋洋子:シークレットゲストとして出演、初のシークレットゲスト
※この年放送されたアニサマに関係するアニメ(2006年秋~2007年夏)
・スーパーロボット大戦OG -ディバイン・ウォーズ- (06年秋~07年冬)
・武装錬金 (06年秋~07年冬)
・コードギアス 反逆のルルーシュ(06年秋~07年冬)
・瀬戸の花嫁 (07年春~夏)
・天元突破グレンラガン (07年春~夏)
・魔法少女リリカルなのはStrikerS(07年春~夏)
・ぼくらの (07年春~夏)
・らき☆すた(07年春~夏)
・さよなら絶望先生(07年夏)
※その他アニサマに関係する作品
ゲーム「ワイルドアームズ ザ フィフスヴァンガード」(06年12月発売)
TVゲーム「THE IDOLM@STER」(07年1月発売)
特撮ドラマ「仮面ライダー電王」(07年冬~08年冬)
※その他特筆事項
・総合プロデューサーがドワンゴの瀬田蔵人氏に交代(~10年)
・アニサマ初のセンターステージ&スクリーン登場
この年のOPコラボは奥井雅美と水樹奈々の「輪舞-revolution」。人気アーティスト同士の王道コラボというのは例年通りですが、今年は一つ違う所がありました。登場か所がメインステージから伸びた花道の向こう側のセンターステージだった事です。
今でこそアニサマや他のアニソンフェスでも当たり前となったセンターステージですが、この年が初登場でした。この後も毎年センターステージと花道は作られ、アリーナ前方以外の観客も楽しめるようなっただけでなく、メインステージの転換を効率的に行える等さまざまに活用されるようになります。
またステージにはスクリーンが2つ登場。ライブを様々な演出で盛り上げてくれました。しかしアニメ映像を流すといった事はまだ無く、今から見るとまだまだ過渡期であった事を感じさせます。
・アニサマ初のシークレットゲスト
同じくこの年アニサマ初の試みとなったのがシークレットゲストの登場です。現在では当たり前のように存在しているシークレットゲストですが、初となるこの年では大きな話題となりました。アニサマ初のシークレットゲストは「高橋洋子」。もはや言うまでもない日本を代表するアニソン「魂のルフラン」(「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生」主題歌)と「残酷な天使のテーゼ」(「新世紀エヴァンゲリオン」OP)をメドレーとして披露するという贅沢な構成でした。
こうしたアーティストのシークレットゲストは2010年辺りに完全に定着化し、今やアニサマの大きな目玉企画となっていきました。
・多彩な初出演者
3年目になったアニサマはこれまでにも増して出演者が多彩になっていきます。アニメだけでなくタイアップのネットラジオも大ヒットした「うたわれるもの」の主題歌を歌う「Suara」は「夢想歌」「キミガタメ」を披露。この後も数年に一度アニサマに出演していきます。
また「サイキックラバー」はアニメソングである「XTC」(「ウィッチブレイド」OP)だけでなく売り上げ10万枚を超える大ヒット曲である特撮ソング「特捜戦隊デカレンジャー」(「特捜戦隊デカレンジャー」OP)を披露し、アニサマ初の戦隊作品主題歌披露となりました・・・がこの曲のみDVDには未収録となっています。この曲が再び歌われ、映像化されるのは6年の歳月を必要としますが、それはまた別の話・・・
OPコラボ&1番手を担当した奥井雅美に続いたのは「桃井はるこ」。1990年代末から「アキバ系」としてアニメ文化を発信してきた彼女が3年目にして参戦し、同年のヒットアニメにしてヒロインを演じた「瀬戸の花嫁」OP「Romantic summer」や自身の代表曲「WONDER MOMO-i」を熱唱(余談ですが、去年東京ドームで聴けるとは思いませんでした・・・)。
そしてさらに続く3番手はソロとしての初出演となる「茅原実里」。後にアニサマ大トリを務め今や重鎮的立ち位置となる彼女ですがこのころはアニメの主題歌はまだありませんでした(この日歌った「純白サンクチュアリィ」はアニメ「キディ・グレイド2(後にキディ・ガーランドとしてTVアニメ化)」の パイロットDVD テーマソングという立ち位置で正確にはノンタイでは無いのですが)。彼女自身のアニメ主題歌は翌年(アニサマでは2年後)の世に出る「Paradise Lost」を待つ事となります。
そして昨年茅原と同じく涼宮ハルヒの憂鬱からの出演だった「平野綾」もソロとして出演。同作のOPであった「冒険でしょでしょ?」を「〜パンクでしょversion〜」として披露しました(また余談ですが、これも去年ランティス祭りで聴けるとは・・・)。平野もまた、2009年まで3年連続で出演する事となります。ちなみにこの日の平野のサポートメンバーにおり最後のあいさつで呼ばれた「黒須さん」は当時から、そして現在に至るまで数多くのアニソンを手掛けてきた黒須克彦です。意外な人が出演しているのもアニサマの面白い所。
この年の初出演は女性声優が多く、これからの、そして今に続く女性声優アニソンアーティストの時代を予感しているようです。
そしてこの出演者の中で外せないのが何と言っても「m.o.v.e」です。OPの出演者コールでは今ほどの巻き舌では無いが()motsuがコールで出演者を呼び、開幕を盛り上げました。
本編では「Systematic Fantasy」と「Gamble Rumble」の2曲を披露。アニソン関係の場に出るのが初めてだったm.o.v.eは流石に緊張した面持ちであったがそこは流石に当時10年間活動していただけあり見事なパフォーマンスを魅せました。特にmotsuはラップだけでなく今でも有名なモモ上げ運動やエビ反りでのラップ等を披露し喝采を浴びました。
m.o.v.eはその後2009年まで3年連続でアニサマに出演しましたが残念ながら2013年に解散してしまいます。しかしmotsuは2010年以降も2018年を除く全ての年のアニサマに出演し、田村ゆかりとのコラボ楽曲やALTIMAの結成等アニサマだけに留まらずアニソン業界そのものに大きな旋風を巻き起こしていく存在となります。そういった意味でも、この年のアニサマにm.o.v.eが出演したのはアニソンの歴史を変えたと言っても過言ではありません。
この年スペシャルゲストとして出演したのが「矢部野彦麿(でんちゅう)&琴姫(MOMOEIKA)」です。
・・・うん、若い人は「誰?」と思うでしょう。この人達は当時サービスが本格開始していたニコニコ動画において初期の人気コンテンツだった楽曲「レッツゴー!陰陽師」を歌う人たち(本職では無いのでアーティストと呼んでいいのか・・・w)です。
ニコニコ動画とアニサマ、この両方を運営するドワンゴだからこそ可能であった出演であり、当時最新のネットでバズった(という言葉は当時存在しませんが)最新のブームを取り入れ、反映させていく・・・という流れはその後も続くこととなり、ニコニコ動画で人気となり、ブームが巻き起こったアニメやゲームの曲を歌うアーティストがアニサマに出演する、という事が続くようになります。
・・・さて改めてこの記事を書くにあたり動画を見返してみたのですが、本当に懐かしいですねこれ。もう13年も前?・・・あっ(死)
・テーマソング「Generation-A」
この年のテーマソングは奥井雅美作詞・作曲による「Generation-A」。この「A」には様々な意味があり、「Anime」、「Anisong」、「Akihabara」、新たな1からのスタートと言う意味でアルファベットの始まりである「A」、新人アーティストとかけて一番若い文字である「A」、アニソン界をけん引するトップアーティストにかけての「Ace」などの意味を内包しています。
また現在では使われなくなりましたが、メジャーなアニソンからマイナーでアングラ要素迄ある「アキバ系ソング」まで幅広くアニメ・ゲームに関わる楽曲を表す言葉として「A-POP」という言葉があり、こういった様々な意味を持った楽曲となりました。
またこの曲には水樹奈々のパートで「ラッキーセブンのこの場所で」といったりALIPROJECTのパートで「お宝のアリカかも」といった出演者に因んだ遊び心が含まれていたり、motsuのラップパートがあったりと新たな要素が含まれています。
この曲は2008年と2010年、そして2014年にも歌われました。水樹奈々の出演日だった場合は同じパートを担当していたり、14年にはμ'sがラスサビの「女神よ愛して!」を歌うなど遊び心は変わっていません。
・2007年の映像化
この年のDVDは昨年と違い1巻3枚組になりました。去年は一体何だったのか()
映像を見ると今では明らかにレギュレーション違反の1メートルぐらいあるであろうペンライトを持っていたり、どう見ても君複数持ちだよね?という人も沢山・・・おおらかな時代(最大限オブラートで包んだ言い方)でしたね(
4:まとめ
自分がアニサマver1と勝手に名付けたこの3年間は、今までのアニサマとは大きく異なるものです。ですがレーベルやメーカー、芸歴やアニソン歌手、声優アーティスト、果てはJ-POPまで立ち位置を超えた多彩な出演者。コラボやシークレットゲスト、テーマソングといった楽曲・出演者面にスクリーンやセンターステージと言った演出。いずれも今のアニサマに繋がる土台であり、無くてはならないものでした。
この3年間で得たものを糧にして、アニサマは2008年から大きな変化へ「挑戦」していく事となります。
目次代わりの記事→Animelo Summer Live15年史勝手に分析 0
次回の記事→1-2:アニサマ2008~2012の概要
次シリーズ初回の記事→2-1:アニサマ出演者音楽レーベルについてその1(ランティス)
次の次のシリーズ初回の記事→3-1:アニサマ主要パート担当アーティスト一覧と分析
5:あとがきという名の愚痴
この記事を書くにあたりネットや文献から色々引っ張り出しているのですが、まあ大変ですねw
毎年色々書いている人はこんな苦労を積み重ねていると思うと頭が下がります。
2006年と2007年の円盤も見返したのですが、何せDVDですので画質が悪く(こればかりはどうしようもない)、時折時事ネタが入ると時代を感じさせます(2006年のワールドカップとか)。
次回の記事も円盤は全部見返して執筆する予定なのですが、今回だけで4時間×2年=8時間だったのが次回から5時間×2日×5年=50時間、さらに次々回は5時間×3日×7年=105時間円盤を見返すことに・・・
次回以降、別の項目からの更新になるかもしれませんが、よろしくお願いします。
*1:後に奥井と矢吹は和解し、アニサマ2014やKING SUPER LIVE 2015で共演している。
*2:ランティスは2009年3月までCD等製品の販売・流通をキングレコードに委託しており、キングレコードとの関係が深かった(4月からランティスを子会社化したバンダイナムコグループのバンダイビジュアルが担当、2018年4月1日の合併まで続いた)。