一見野郎のこれは個人の感想です

こちらは私、一見野郎が周りに気を適当に使いつつアニメ・アニソン・読書等の雑談をするブログです。

うちのブログも鬼滅の刃ブームに便乗してみた

アニメのアの字の関係無い私の仕事先の自販機にも鬼滅缶が補充されました(挨拶)。

 

 

このように今や鬼滅の刃社会現象と言っても過言ではない大ヒット作品となりました。原作である漫画とアニメの大ヒットは言うまでもありませんが、様々な企業・団体がコラボレーションを行っているので関係商品は今や町中に溢れかえっておりどこに行っても炭治郎がいて紅蓮華が流れるという光景が広がっています。

この大ヒットについての分析は数多くの専門家が行っていますので私はする気がありません。んなものは日経エンタテインメントにでも任せておけばいいのです。

テレビ番組でも数多く特集が組まれゴールデンタイムの番組に声優が出演するまでになりました。まあ大体下野紘なのですが。何で善逸なんだよ!炭治郎じゃねーのかよ!とツッコミたくなりますが花江君はおはスタで忙しかったからね、仕方ないね。

そんな下野さんのテレビの扱いには色々意見があるのですが、鬼滅の刃の声優として紹介されている上に最も有名なキャラクターとなったのだから善逸の演技を披露したりするのは当然なのです。そこで声優とキャラは別と言うのは役者の足を引っ張る行為です。キャラクターを背負う声優への侮辱にすら値します。そもそも下野さんについては声優バラエティ番組の扱いの方がよっぽどアレです(個人的には好きですが)、音泉キングに比べれば遥かにしっかりした声優の仕事です(私は好きですが)。

一応言っておきますが私は下野さんのファンが特別痛いと言いたいのではありません。どこの声優にも痛い厄介はいます。以前佐倉綾音ミラクル9に出演した時に代表作がヒロアカとシンカリオンと紹介された際に「あの深夜アニメの方が有名なのにー!!」という声がありましたが、悲しくなる声です。アニメファン以外の視聴者も多くいる番組で声優を紹介する場合、知名度が比較的高い朝や夕方の全国区アニメの出演作が優先して紹介されるのは当然です。それに次いでかなり知名度が高い深夜アニメがギリギリ入ってくるか否かです。古谷徹さんがテレビに出る時アムロか安室の声優として紹介されるのが当たり前なのと同じなのです。

 

それと同じ事が言えるのがこの鬼滅の刃のTVアニメ版主題歌である「紅蓮華」と歌唱アーティストLiSAにも言えます。まーネットでは耳の肥えた皆様による紅蓮華飽きたLiSAは鬼滅ダケジャナイノニー論がまぁボロボロ出てきています。まあそういう人に限ってABとFateとSAOの話しかしてなかったりするんですが(大偏見)。

このよく見る「LiSAは鬼滅の刃で売れたのか論」については正確ではありませんが的外れな論理と言うわけでもありません。教習所の問題でよくある

Q「夜間の走行は対向車や歩行者に注意しなければならない、〇か×か」

A「×、常に注意して走行しなければならない」

みたいなものです。その意味について見ていきましょう。

まずCDの売り上げについてですがソロデビュー以前のGirls Dead Monster時代からThousand Enemies」「Little Braver」がどちらも6万枚前後のヒット曲となり、ソロデビューシングルのoath signが7万8千、紅蓮華以前最大のヒット曲であるcrossing fieldが8万8千、他にもRising Hope」「Catch the Moment」「ADAMAS」が何れも5万枚以上のヒット曲となっており、今まで出した全てのアニメタイアップシングルは2万枚以上の売り上げを記録しています。当然ながらタイアップ相手のアニメの多くがヒットしており、特に「Fate」と「ソードアート・オンライン」は長年シリーズとして続く作品そのものの人気に合わせるようにタイアップが続き、アニソンアーティストのLiSAを語るには外せない存在となっています。LiSAが人気アーティストとなれたのは本人の実力と努力もさるものですが、タイアップ作品に恵まれたからと言うのも否定の仕様が無い事実です。

ライブにおいてはデビューから3年で初の武道館ワンマンを開催し、4年で富士急コニファーフォレスト、5年で幕張メッセ国際展示場(イベントホールではない)、6年で横浜アリーナと年単位で声優ではないアニソンシンガーとしては最大規模の会場で単独公演を開催、2017年にはアニソンシンガー初のアリーナツアー&さいたまスーパーアリーナ単独公演を達成しました。

フェスへの出演においてもアニサマを初めとする各種アニソンフェスだけでなく2013年ごろからはCOUNTDOWN JAPAN」「 TREASURE05X」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL等のロックフェスにも多数出演、アニソンファン以外にも徐々に知名度を上げていきます。

またTV番組での取り上げられ方についてですが、鬼滅ブーム以前からミュージックステーション「MUSIC FAIR」、「うたコン」、「シブヤノオト」等の音楽番組へ複数回出演しています。ちなみにMステへは二か月差ではありますが水樹奈々より早く初出演しています*1。音楽特番でも「FNS歌謡祭」音楽の日CDTVの特番には複数回出演しています。

このようにLiSAは鬼滅ブーム以前からアニソン界隈だけでなくテレビ番組に何度も出演経験があり音楽ファンにも知名度のある人気アーティストでした。個人的にこの言い方は好きでは無いのですが「アニソンに留まらない活躍」をしていたのは確かです。

しかし「鬼滅の刃」と「紅蓮華」がLiSAの活躍規模をそれまでとは次元の違うものとしたのも確かです。「紅蓮華」のCDリリースは2019年7月3日。1年3か月以上前になります。そして67週目となった現在、2020年10月19日付オリコンウィークリーチャートでの「紅蓮華」は27位、推定1472枚売れています。2019年に発売したシングルではトップ50において唯一のランクインとなっており、未だに毎週1000枚以上売れています。アニメの放送開始から現在まで続く鬼滅ブームを牽引し牽引されているかのようなロングヒットですが、何と紅蓮華のCD累計売り上げの約半分が2019年、残り半分が2020年に入ってからなのです。

そんな「紅蓮華」のCD累計売上は今年10月に15万枚を突破し当然ながらLiSAのCDシングルとしては最大の売り上げとなりました。この15万という売り上げを他のアニメソングと比べてみましょう。

水樹奈々単独名義のCDシングルで最も売れたBRIGHT STREAMが10.2万枚

SOS団の「ハレ晴レユカイ」が12.8万枚

ラブライブ!シリーズ関係のCDシングルで最も売れたμ'sのMOMENT RINGが13.5万枚

「God knows…」等を収録した「​涼宮ハルヒの詰合が14.7万枚

放課後ティータイムGO! GO! MANIACが14.9万枚

 

これらの楽曲の売り上げを「紅蓮華」は超えた事になります、が上には上がいます。

・LiSAとは縁が深い「Angel Beats!」の主題歌であるLiaMy Soul,Your Beats!が15.7万枚

放課後ティータイム*2Cagayake!GIRLSが16.7万枚

T.M.Revolution×水樹奈々Preserved Rosesが17.8万枚

けいおん!関係で最も売れた放課後ティータイム*3「Don't say "lazy"」が19.1万枚

 

これらの楽曲の売り上げには劣るものの、この前後のCDが世に出た時代の多くが約10年前であり、その当時と比べてCDの売り上げそのものが大幅に落ちている事を考えると2019年に出た「紅蓮華」が肩を並べている事がいかに凄いかがわかります。

またそのCD売り上げが下がった原因は単に音楽不況であるというだけでなく、音楽の主戦場が配信と言う形になった事も挙げられます。そしてこの配信記録こそ「紅蓮華」の本領発揮となります。「紅蓮華」の配信が開始されたのはCD販売に先立つ4月22日。その日の配信チャートで38冠を達成しオリコンウィークリーの配信チャートでも1位を獲得しました。日本レコード協会でも配信ダウンロードが100万回を超えた事によりアニソンアーティストの曲としては3曲目のミリオン認定をされ*4ストリーミング配信の再生回数では邦楽全体で11曲目、現在でも14曲しかない1億回以上再生された曲であるプラチナ認定をされました。

 

それと共にLiSAの音楽番組出演もさらに増えました。アニソンシンガーとしては初となるNHK紅白歌合戦の出演は言うまでもありませんが「THE MUSIC DAY」や「テレ東音楽祭」等の初出演となる音楽特番の出演もありますし、「FNS歌謡祭」で初めて自分自身の持ち歌として歌唱したのが「紅蓮華」でした。またバラエティ要素も強い「明石家紅白!」や「嵐にしやがれ」へも出演しました。LiSAが明石家さんま櫻井翔トークする時代が来るとは殆ど予想する人はいなかったでしょう。

勿論FateやSAOや、他の作品も、その主題歌も素晴らしいものがたくさん揃っています。ただ鬼滅の刃と紅蓮華は別次元となりました。「残酷な天使のテーゼ」「CHA-LA HEAD-CHA-LA」「ムーンライト伝説」「ウィーアー!」等の一般人でもわかるアニソンの部類に近づいています。

多少乱暴ですがアニソン業界を日本の歴史、邦楽を世界史、楽曲を歴史上の人物に例えるならば、「oath sign」や「crossing field」、「Rising Hope」は武田信玄上杉謙信といった戦国武将に当たると思います。彼らの生涯は多くの日本人の心を打ち、数多くの文学作品やTVドラマの題材となりました。しかしながら世界の歴史という点では大きな影響を与えず、一部の熱心なファンのみが知る存在です。一方「紅蓮華」は徳川家康でしょうか。日本の戦乱を完全に終わらせ長期安定政権である江戸幕府を成立させた家康は世界的にも評価されている日本の人物の一人です。ついでにアンチも多いという所まで似ています()。

 

さてそんな中「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」が公開されました。多くの映画館で複数のスクリーンを使用し1日20回30回の放映がされており、大ヒット作品となることが予測されます。そしてこの映画主題歌であるLiSAの「炎」も10月14日に発売され同時発売のアルバム「LEO-NiNE」と共にデイリーチャート1位を記録しており、「紅蓮華」でも達成できなかったシングルウィークリーチャート1位の獲得は確実と思われます。そのヒットにより2年連続の紅白歌合戦の出演となる可能性も十分ありえるでしょう。

これほどのヒット作である「鬼滅の刃」は既に原作が完結していますが、アニメシリーズの続編制作は確実にされるでしょう。これほどのヒット作の展開を原作の集英社側もアニメのアニプレックスも終わらせるはずがありません。現在原作は22巻まで発売され、残りの話数から考えるとあと2巻ほどになるでしょう。そして「無限列車編」まで使用した原作話数を考えるとアニメ版はあと2期×2クール程度制作される可能性が高いです。しかもブームを終わらせないためにもかなり早い時期に始まるでしょう。我々が知らないだけで既に決定している可能性も高いです。そしてLiSAが主題歌を続投する可能性も高いです。ソニーの側も下手に他のアーティストを起用してイメージを崩す事よりもシリーズを通して継続起用する方がアニメ制作側も音楽制作側の利益となるからです。

今や現在の世の中は鬼滅ブーム真っただ中。街に出れば紅蓮華が流れる中鬼滅とコラボした自販機やチェーン店が見かけられ、店に入れば鬼滅とコラボした食品やグッズが並び、新聞を開けば鬼滅の広告、テレビを点ければ鬼滅の特集、他作品のCMにはDX日輪刀・・・まあここまで世の中に溢れれば鬱陶しいと思う人の一人二人出るのもわからんでもないです。

しかしコロナの影響で大打撃を受けている日本経済が何とかして回復しなければならない今、鬼滅ブームに乗っかって少しでも稼ぎたいと思うのは当然でしょう。人の道や法に反した所業に手を染めない限り、儲けるのが資本主義の正義です。文句を少数派よりも、にわかだろうと少しでも多くの人間の需要に応えるべきなのです。当然原作を大切にすることは前提ですが。

LiSAについても一緒です。今TVに出る時はだいたい鬼滅鬼滅鬼滅鬼滅紅蓮華紅蓮華紅蓮華紅蓮華、時々Catch the Momentという感じなので、古参ファンが不満を抱く気持ちもわかります。ですがアーティストの未来という意味では、少しでも多くのファンを増やすのが正義なのです。100人の、1000人の、10000人のニワカから1人でもファンを増やすのが正義です。大人気アーティストでも曲を買う中で熱心なファン層はその一部ですが、母数が増えればその層も増えます。ニワカに塩を巻く暇があるならば、沼に引きずり込んでやるべきなのです。

今やアニソン業界は日陰の存在ではなく、普通の音楽番組にもアニソンアーティストが出演しドームでアニソンライブが開催される事も珍しくなくなりました。一方そのアーティストの中心は完全に声優に移っており、特に現在のメインはアイマスラブライブ等の作品に移っています。そんな中アニソンシンガーとして気を吐く存在が今のLiSAです。延期にこそなりましたが今年のアリーナツアー、そして初となる西武ドーム単独公演はアニソンシンガーとしては最大クラスです。

もはや彼女はアニソン業界における特異点的存在と言えます。水木一郎ささきいさお堀江美都子影山ヒロノブ林原めぐみ水樹奈々といった偉大な記録と歴史を作り上げ今なお現役で活動するアニソンアーティストと同じです。既に彼女は声優以外のアニソンシンガー初となる紅白歌合戦出場と言う記録を成し遂げており、(延期とはなりましたが)西武ドーム単独公演、紅白歌合戦出演、(おそらく)オリコンシングルウィークリーチャート1位という流れは多少前後しますが水樹奈々と重なるところがあります。となるとその次は自身も夢見るアニソンシンガー初となる東京ドーム単独公演でしょう。それを可能とするだけど実力と結果の積み重ねがLiSAにはあります。

 

LiSAは以前「Angel Beats!」の作者と言え、「Girls Dead Monster」の楽曲を製作した「Key」のクリエイターである麻枝准に「君に十字架を背負わせたかもしれない」と言われたといいます。このインタビュー記事では「アニメの印象が離れず、ずっと重くのしかかってくるという意味だったんだなって。『紅蓮華』も十字架になる曲。」と語っています。LiSAだけでなく全てのアニソンアーティスト、というかアーティストにとって「〇〇の人」、という十字架は重くのしかかり、それに潰されてしまえば「一発屋」と呼ばれて終わってしまいます。声優にも「〇〇の役の人」、として有名となる事は自分のステップアップとなり知名度を上げる手段となる一方、その役の印象がずっと抜けずにイメージから脱却できなくなり自身の役を狭める事となりかねません。その「〇〇の人」として有名となる事を否定せず、本人を支えると共にそれだけではない魅力を周りに伝える事がファンの務めではないでしょうか。

鬼滅の刃」がLiSAの、アニソン業界の、アニメの、日本経済の、後色々なあれとかこれとかの未来を切り開く刃になるのか。それは我々にも選ぶことが出来るのではないでしょうか。

 

今回も読んでいただきありがとうございました。そろそろアニサマ15周年シリーズの次回記事となるかとおもいます。今後ともよろしくお願い致します。

 

 

・・・後ソニーはまたLiSAをアニサマのレギュラーとして出して!ANIMAXとか他のフェスにも!!(一番言いたかったこと)

*1:LiSAは2015年5月、水樹は7月

*2:発売当時は「桜高軽音部」名義

*3:発売当時は「桜高軽音部」名義

*4:初のミリオン認定となったのは高橋洋子の「残酷な天使のテーゼ」、2曲目はAKINO with bless4創聖のアクエリオン