一見野郎のこれは個人の感想です

こちらは私、一見野郎が周りに気を適当に使いつつアニメ・アニソン・読書等の雑談をするブログです。

アニメソングとアニソンアーティストの定義について

 前回の記事はちさんのブログを紹介したらその日のアクセス数が通常の3倍になったそうです()

いやいやこのブログにそこまでの影響力あるの?そこまでバズってないよこのブログ?3倍ってシャ〇かよ!横浜のガンダムは見に行ってないよ?

内容だってはちさんのブログの方がスッキリして内容もたっぷりよ?自分のブログみたいにだらだら薄く長くないよ!?全人類はちさんのブログを見て!!

 

・・・とはいえ私のブログにもそれなりの影響力があるなら、嬉しくなくはありません。今回の記事もよろしくお願い致します。今回の記事のテーマについては、まずタイトルをお読みください。

 

 「アニメソング」が音楽のジャンルとして扱われるようになってかなりの年月が経過し、今やアニメソングが一般の音楽番組に取り上げられアニメソング歌手が出演する事は珍しくなくなっています。今年の年末年始の音楽番組にはどこもLiSAが出演して「紅蓮華」や「炎」を歌っています。しかし「アニメソング」はポップスやロック、演歌と言った音楽ジャンルの分類とは大きく異なっている点があります。

影山ヒロノブが著書で『厳密には「アニソン」は音楽のジャンルとは言い切れないからです。』『一口に「アニソン」と言っても、土曜風もあればロック風もあるし、J-POP風、演歌風や、クラシック風まであるから。つまりアニソンは様々なジャンルの音楽をみんな飲み込んでしまっているのです。』*1と言っている通り、アニメソングはポップス、ロック、演歌、トランス、ラップetcetc・・・といった様々な音楽鵜のジャンルを内包する事が可能である、「映画の曲」や「CMソング」と同様の「音楽のジャンルを超えたジャンル」なのです。

 

それでは「アニメソング」を「アニメソング」としている定義は何なのか、これについて考えていきたいと思います。

「アニメソング」の定義とは、という問いには様々な答えがあると思いますが、ほぼすべてに共通する答えが「アニメの曲」という点だと思います。アニメに関係無い曲がアニメソングになるわけがありません。しかしアニメで使用された曲が全ての人にアニメソングとして受け入れられるかと言えばそうではないのです。この「アニメソングか否か」の論点はいくつかあります。

 

第一に歌っている歌手がアニメソング専門の歌手か否かという事です。その背景を知るためにはアニメソングの歴史を超簡略に振り替える必要があります。

1960年代にTVアニメの放送が始まり、70年代にはアニメソング専門の歌手、「アニソン歌手」の形が作られ始めました。このアニソン歌手の黎明期はアニメとアニソン歌手はほぼ一体と言っていい存在でしたが、それから時代が進み80年代末から90年代に入るとビーイングソニー、エイベックスといったそれまでアニメソングとの関わりが薄かった音楽制作会社のJ-POPやJ-ROCKアーティストがアニメ主題歌を担当する事が増えました。この中には少なからず作風と乖離した楽曲もあり、少なくないアニメソングファンや一部アニソン歌手からの反発を招く事となりました。一方それまでのアニソン歌手も90年代のアニメ・アニソンブームに合わせてJ-POP等一般音楽業界とは離れた独特の進化を遂げていった。声優アーティストの本格化もこの時期に始まりました。

00年代に入ると深夜アニメ放送の急激な増加、徐々に一般社会へ影響及ぼすほどのブームとなる作品の誕生、音楽CD市場そのものの縮小に対するアニメソング市場の相対的拡大等によりアニメソングの規模はさらに拡大していきました。前出のアニメソングとの関わりが薄かった音楽制作会社からも専門のアニメソング歌手やレーベルが誕生し、一般アーティストの楽曲もアニメの雰囲気に合っているものが増えていきました。

10年代に入るとアニメソングが音楽チャートの上位に入る事やアニソン歌手がゴールデンタイムの音楽番組出演する事、アニメソングのフェスイベントにJ-POPアーティストが出演する事は珍しく無くなり、アニメソング歌手とJ-POP歌手のコラボレーション楽曲も見られるようになりました。言わばアニメソングのJ-POP化、J-POPのアニソン化です。

このようにアニソンとJ-POPの壁は現在では低くなりましたが、依然としてアニソンファンの中には「大人の都合で作品を捻じ曲げた」一般アーティストのアニメタイアップ曲に拒否感を持つ者も少なくありません。一方でアニメソングの存在もそこまでわかっていない子供のころの思い出のアニメの主題歌として、一般アーティストのアニメタイアップ曲を受け入れている人も少なくありません。

ただこれについては極論個人の好みで片付けてしまっていいものです。「押し付けられたタイアップなんて俺は認めない!」と言ってもアニメ制作側がこのアニメの主題歌と言ってしまえばどんなに雰囲気をぶち壊しの曲であってもアニメの主題歌である事は動かしようが無いからです。

 

第二にアニメソング専門の歌手の楽曲はどこまでアニメソングであるかという事です。

70年代から時代を経るに従いアニメソング歌手という存在が確立されていくに伴いアニメソングの歌手がアニメの主題歌でない楽曲を世に出す事が起き始めました。アニメの主題歌ではないそれらの楽曲は初めこそアニメソングファンの間ですら人目に付きにくかったがアニメソングやその歌手そのもの人気が拡大し、アニメだけでなくアニメソング歌手そのもののファンが増えるにつれアニメの主題歌に負けないほどの人気を得るものが現れ始めました。

特に90年代から本格的に表れ始めた声優アーティストはアニメのキャラクターボイスを担当するというタレント性もあり声優そのもののファンが増えやすく、セールス的にもアニメ主題歌とそこまで差の無くアニソンフェスでもアニメの主題歌と一緒に歌われる楽曲も多い。この中には自分自身の冠番組をラジオで、まれにテレビで持つ事になった人気声優の番組の主題歌も含まれます。

これについても比較的わかりやすいです。アニメに使用されていなければアニメの主題歌であるわけではないのでアニメソング歌手であろうと声優アーティストであろうと世に出した曲が無条件でアニメソングになるわけではありません。アニメソング歌手なのに曲がアニメソングではないとはこれいかに、と思うかもしれないがアニメが無ければアニメソングではない。J-POP歌手のアニメ主題歌がアニメソングではないのにアニメソング歌手のアニメ主題歌ではない曲がアニメソングだ、なんてことはありえないのです。

しかし一つ問題となることがあります。アニメ本編では一切使用されないが公式で「イメージソング」として採用されている曲、「アニメのイメージソング」はアニメソングに入るのかという事です。最も有名な曲は映画「風の谷のナウシカ」のイメージソング、風の谷のナウシカです。wikipediaによるとこの曲は当初主題歌として使用される予定であったが、楽曲と作品本編が乖離しているとして宮崎駿高畑勲らスタッフが反対し予告やCM等本編以外で使用されたという事です。他には井口裕香の「Shining Star-☆-LOVE Letter*2やTRUEの「Story of Lucifer」*3、ただし本編でも挿入歌として使用された。といった楽曲があります。また作品のCMには使用されているが実際激中には使用されていない、いわゆるCMソングもあります。さらにはアニメ・ゲーム作品がパチンコ化した際にそのテーマソングとして元の作品の主題歌の歌手の新曲が使用されるといった事もあります。これらについての扱いは難しいが少なくともアニメ関係楽曲としてギリギリ「アニメソング」の括りに入れてもいいのではないかと思います。

 

第三にゲーム・特撮の主題歌をアニメソングの括りに入れていいかという事です。アニメソングの最初期のアニメと特撮の主題歌は、ほぼ一緒のものとして扱われていました。影山ヒロノブは『俺が電撃戦隊チェンジマンでこの世界に入った頃、アニメや特撮の主題歌は、全部まとめて「まんがの歌」と呼ばれていたと記憶しています。』と語っています。*4

代表的な日本のTV番組において主要な特撮作品であるスーパー戦隊シリーズ仮面ライダーシリーズ等の作品の楽曲は日本コロムビアが製作しており、担当した歌手も水木一郎ささきいさお堀江美都子といった黎明期のアニソン歌手でした。仮面ライダーシリーズの主題歌の制作担当エイベックスに移った後も戦隊シリーズの音楽制作担当は日本コロムビアであり、その主題歌を担当する歌手の多くはサイキックラバーや吉田仁美のようにアニメの主題歌を一緒に歌う人が多くいます。日本コロムビアの公式ホームページでは音楽ジャンルの分類は「アニメ・特撮」であり、アニメと一緒に扱われています。東映以外でも円谷プロダクションの代表的な特撮作品であるウルトラマンシリーズの主題歌は昭和の作品では日本コロムビアを中心とした児童合唱団やアニメソング歌手が担当しており、現在ではキングレコード宮野真守)やポニーキャニオンオーイシマサヨシ三森すずこ)、ランティス(スフィア、遠藤正明寺島拓篤等)といった様々なレーベルが担当しています。このように昔から現在までアニメソングと特撮ソングはほぼ一体となったものとして扱われています。

またゲームの主題歌*5についてはアニメ作品のゲーム化においてアニメの主題歌を担当していたアーティストがそのままゲームの主題歌を担当する事や、逆にゲーム作品がアニメ化した際にゲームの主題歌を担当していたアーティストがそのままアニメ版の主題歌を担当する事、また互いの主題歌がそのまま互いの挿入歌として使用される事などが多くあります。またアニメ化していない、しないゲーム作品でも主題歌をアニメソング歌手が担当する事が多く、ゲームの主題歌もアニメソングと極めて近い存在として扱われる傾向が強くなっています。これに合わせてJ-POP・J-ROCK系アーティストのゲーム主題歌もアニメタイアップ曲に準ずるものとして扱われる事が多くなっています。

そして近年ではソーシャルゲームの規模・人気の拡大により声優による作品ユニットがアニメ化の有無にかかわらず盛んに活動を行い、アニメ化していない作品ですら並のアニメソング歌手を上回る規模のイベントを開催しているほどです。こういったアイドルゲームがアニメ化した際に作品ユニットがそのまま主題歌を担当しており、こういった作品ユニットの活動は他のアニメ作品から誕生した作品ユニットとの違いはほぼありません。このようにゲーム作品とアニメ作品における音楽面での違いはほぼなくなりつつあり、こういった傾向から見るとゲーム・特撮ソングはアニメソングに準ずるものでありアニソンフェスや音楽イベントでも同等に扱われる事が当たり前となっています。

 

この3点を纏めると、「アニメソング」として扱われる楽曲の分類は以下のようになると思います。数字が少ない方が「アニメソング」として共有される事が多くなります。

 

 

1:アニメソング歌手によるアニメ主題歌(OP・ED)、挿入歌

2:J-POP、J-ROCK歌手によるアニメ主題歌(OP・ED)、挿入歌

~~~~~狭義の「アニメソング」の定義の壁~~~~~

3:ゲーム・特撮作品の主題歌、挿入歌

4:アニメ作品のイメージソング、CMソング、パチンコソング

~~~~~広義の「アニメソング」の定義の壁~~~~~

5:アニメソング歌手によるアニメ関係作品以外のタイアップソング(ドラマ主題歌、CMソング等)

6:J-POP、J-ROCK歌手によるアニメ関係作品以外のタイアップソング

 

アニソンフェスで「アニメタイアップソング」として扱われるのは1~4であり、「ノンタイアップソング」として扱われるのは5~6です。たとえタイアップがあってもアニメ関係以外のタイアップでは「ノンタイアップ」として扱われます。

ただし例外というものは何物にもあり、ドラマ主題歌であったものがアニソン歌手にカバーされてアニメの主題歌や挿入歌として使用された場合「アニメタイアップソング」として扱われるものもあります。例えばZONEの「secret base 〜君がくれたもの〜」やいきものがかりの「気まぐれロマンティック」は複数回アニメ・ゲーム作品でカバーされ使用されており、アニサマでも歌唱された事があります。

変わった例ではGRANRODEOの「シャニムニ」という曲があり、この曲はTVアニメ「NEEDLESS」の後期OPである美郷あきの「Scarlet Bomb!」をカバーした楽曲です。しかしタイトルが違う通りただ単にカバーされたわけではありません。作曲はどちらもGRANRODEOのメンバーである飯塚昌明(e-ZUKA)ですが「Scarlet Bomb!」の作詞は畑亜紀、「シャニムニ」の作詞は谷山紀章(KISHOW)であり、完全に違う歌詞となっています。さらに「Scarlet Bomb!」は前出の通りアニメの主題歌ですが「シャニムニ」はアニメ内で使用されたわけではありません。そのため「シャニムニ」はアニメソングのカバーでありながらアニメソングではない、同じメロディーの違う曲として扱われ、アニサマなどのアニソンフェスでも比較的多く歌われる楽曲でありながらノンタイアップ曲として扱われる事が多くあります。

 

では上の分類をいくつかのアーティストの例に合わせてみてみましょう。

まずは代表的な声優アーティストである水樹奈々の場合です。

 

1:アニメソング歌手によるアニメ主題歌(OP・ED)、挿入歌

ETERNAL BLAZE」:TVアニメ「魔法少女リリカルなのはA's」OP

METRO BAROQUE」:劇場版アニメ「劇場版 BLOOD-C The Last Dark」主題歌 

「Glorious Break」:TVアニメ「戦姫絶唱シンフォギアGX」挿入歌 

~~~~~狭義の「アニメソング」の定義の壁~~~~~

3:ゲーム・特撮作品の主題歌、挿入歌

Justice to Believe」:ゲーム「WILD ARMS the Vth Vanguard」OP

Silent Bible」:ゲーム「魔法少女リリカルなのはA's PORTABLE -THE BATTLE OF ACES-」OP

~~~~~広義の「アニメソング」の定義の壁~~~~~

5:アニメソング歌手によるアニメ関係作品以外のタイアップソング(ドラマ主題歌、CMソング等)

「New Sensation」:「カンコー学生服」CMソング

「Astrogation」:TV番組「音楽戦士 MUSIC FIGHTER」OP

「レイジーシンドローム」:ラジオ「水樹奈々のMの世界」ED

 

水樹奈々はアニメソング歌手(声優アーティスト)なので上の分類の2と6には当てはまらず、またイメージソングやCMのみの曲も歌っていません。そのため1、3、5のみが該当します。

1についてはそこまで問題は無いでしょう。代表的なTVアニメや映画のOP、ED、挿入歌です、3については単純にゲームの主題歌であるJustice to Believeとアニメのゲーム化である作品の主題歌のSilent Bibleを上げてみました。5に上げた3曲はそれぞれCMソング、TV番組の主題歌、自分のラジオの曲です。いずれもアニメとは関係ない曲ですが、いずれもファンの間で人気の高い楽曲でライブでも人気曲です。

 

次は声優ではないアニソン歌手であるユニット、JAM Projectの場合です。

 

1:アニメソング歌手によるアニメ主題歌(OP・ED)、挿入歌

「Break Out」:TVアニメ「スーパーロボット大戦OG -ディバイン・ウォーズ-」OP

「Vanguard」:TVアニメ「カードファイト!! ヴァンガード」OP

THE HERO!! 〜怒れる拳に火をつけろ〜」:TVアニメ「ワンパンマン」OP 

~~~~~狭義の「アニメソング」の定義の壁~~~~~

3:ゲーム・特撮作品の主題歌、挿入歌

「SKILL」:ゲーム「第2次スーパーロボット大戦α」OP

「VICTORY」:ゲーム「スーパーロボット大戦MX』OP主題歌」

牙狼 〜SAVIOR IN THE DARK〜」:特撮ドラマ「牙狼〈GARO〉」OP

「レスキューファイアー」:特撮ドラマ「トミカヒーロー レスキューファイアー」OP

4:アニメ作品のイメージソング、CMソング、パチンコソング

「弾劾の剣」:パチスロ「超重神グラヴィオ」テーマソング 

神激の勇者 〜KISHIN〜」:ぱちんこ「CRスーパーロボット大戦OG」専用曲

「Name is GARO〜光明の使者〜」:CR「牙狼〈GARO〉金色になれ」テーマソング 

~~~~~広義の「アニメソング」の定義の壁~~~~~

5:アニメソング歌手によるアニメ関係作品以外のタイアップソング(ドラマ主題歌、CMソング等)

「HERO」:特定のタイアップ無し

「AREA Z 〜Song for J-Riders〜」: 一般社団法人「全日本実業団自転車競技連盟(JBCF)Jプロツアー」公式ソング 

「ヒカリへのカウントダウン」:グッドスマイルカンパニー「創立10周年記念」ソング

 

JAM Projectもアニメソング歌手なので上の分類の2と6には当てはまりません。なので水樹と同じくそれ以外の1、3、4、5について見ていきます。

1のアニメ主題歌についてですが、JAMは様々なアニメ作品の主題歌を歌っています。下2つは比較的有名なものですが、一番上のようにスパロボのアニメ版でも主題歌を担当しています。ということでJAMと言えばスパロボスパロボと言えばJAM。3のようにJAMの代表曲の多くはスーパーロボット大戦の主題歌が多くあります。また牙狼シリーズやレスキューファイアーのような特撮作品の主題歌も多く担当しており、本当はかなりの数があるアニメ主題歌の印象が薄くなるほどです。4はアニメ系パチンコのテーマソングです。グラヴィオンスパロボ牙狼といった自身が主題歌を担当した作品のパチンコ版の主題歌をまた担当するという形のものです。他にもガメラ海猿など、それまで縁の無かった作品がパチンコ化する際に主題歌を担当していたりします。5については「HERO」*6のような完全にタイアップの無い曲や下2つのように普通のアニメソング歌手には来なさそうなタイアップがあります。

 

3つ目はJ-POPアーティストでありアニメ主題歌も多く歌うT.M.Revolutionの場合です。

 

2:J-POP、J-ROCK歌手によるアニメ主題歌(OP・ED)、挿入歌

HEART OF SWORD 〜夜明け前〜」:TVアニメ「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」ED

INVOKE」: TVアニメ「機動戦士ガンダムSEED」OP

「FLAGS」:劇場アニメ「劇場版 戦国BASARA -The Last Party-」 OP)

~~~~~狭義の「アニメソング」の定義の壁~~~~~

3:ゲーム・特撮作品の主題歌、挿入歌

「crosswise」:ゲーム「戦国BASARA」主題歌

「soul's crossing」:ゲーム「ソウルイーター モノトーン プリンセス」主題歌

RAIMEI」: 人形劇「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀」主題歌

4:アニメ作品のイメージソング、CMソング、パチンコソング

「Imaginary Ark」:アニメ「機動戦士ガンダム ガンプラ30周年公式テーマソング」

「LEVEL 4」:ゲーム「モータートゥーン・グランプリ」CMソング

~~~~~広義の「アニメソング」の定義の壁~~~~~

6:J-POP、J-ROCK歌手によるアニメ関係作品以外のタイアップソング

HIGH PRESSURE」:CM「ロッテ・Sweetieアイス」テーマソング

WHITE BREATH」:TV番組「ポップジャム」OP

HOT LIMIT」: CM「アサヒ飲料三ツ矢サイダー」テーマソング

 

TMRは一般アーティストですので1と5が該当しません。なので2,3,4,6について見ていきます。2はわかりやすく、TVと映画のアニメ主題歌の中でも代表的なものです。3についてもわかりやすくゲーム主題歌が多くあり、中でも戦国BASARAシリーズの主題歌が多くあります。変わったものでは人形劇「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀」の主題歌があり、子供向けではない人形劇という珍しい作品です。4はガンプラやゲームと言ったアニメ関係作品のCMソングです。ちなみに「LEVEL 4」はゲームの廉価BEST版として再発売した際のCMソングとして、しかも短いCM中のさらに少しだけ使用されたという事もあり原曲の知名度に対してCMソングとして使われた事が知られていない曲です。6については一般的にも知名度が高い曲を並べてみました。どれも数十万枚、そして「WHITE BREATH」はミリオンセラーでありアニサマでも歌われた曲です。この3曲は色々なゲームでカバーもされており、「HOT LIMIT」はTVアニメ「ReLIFE」の第2話限定EDとして採用されていますが、一応アニメ関係作品以外のタイアップソングとして表記します。

 

ここまで「アニメソング」の定義について考察してみたが、それより難しいものがあります。それは「アニメソング歌手」の定義です。現在ではこの表記が使われる事は一般のメディアは兎も角、アニメやアニメソングファンの間では少なく、「アニソンアーティスト」と表記される事が多いと思います。なのでここからはアニソンアーティストと表記します。それではアニソンアーティストの定義とは何なのでしょうか。

wikipediaに「アニメソング歌手」の項目はありませんが「かつてはアニメソングや特撮ソングを専門に歌う「アニメソング歌手」が表に出ることは少なかったが~」と表記されておりまたカテゴリとして「アニメソング歌手」の項目があります。この項目には歌手活動を行うのみのアーティスト、歌手としても活動する声優、アニメソングを多く歌う歌手による音楽ユニット、声優ユニット、一般アーティストとしての性質が強い歌手までいる。何せ三波春夫までいるのです。戦後日本で最も偉大な歌手の一人です。

一方でアニメソングを数多く歌っているJ-POP、J-ROCKアーティストは入っておらず、「アニメソング歌手」の定義からこういったアーティストは外されています。ではアニメソング歌手の定義は何なのか。それについていくつかの個人的な論点を上げてみます。

 

1:アニメの主題歌を歌えばアニメソング歌手というわけではない

昔から今までアニメの主題歌は一般アーティストも多く担当してきました。国民的歌手の多くもアニメの主題歌を担当した事があります。しかし当然ながらそのすべてがアニソン歌手、アニソンアーティストと言うわけではありません。こち亀の主題歌を担当した事があるというだけで嵐をアニソン歌手と呼ぶ人はいないだろうし、新劇エヴァの主題歌を担当しているからということで宇多田ヒカルをアニソン歌手と呼ぶ人もいないでしょう。

 

2:声優アーティストが全てアニソン歌手であるわけではない

ここ10年ほどで一気に数が増えた声優アーティストですが、その全てがアニメの主題歌を担当しているわけではありません。降幡愛や西田望見のようにアニメタイアップが無い声優アーティスト、内田彩や山崎エリィのように歌手デビュー後数年間アニメタイアップが無い場合もあります。

 

3:アニソンレーベルに所属するアーティストだけがアニソン歌手であるわけではない

現在多くのアニソンアーティストがアニメソング専門のレコード会社か、レコード会社内のアニメソングレーベルに所属しています。しかし全てのアニソン歌手がそのどちらかに所属しているわけではありません。これにはいくつか該当する例があり、まずは先ほどの2のようにアニメタイアップが無い声優アーティストのように「そもそもアニメソング歌手と呼べないアーティストがアニメソング会社・レーベルに所属している」場合、次に「所属しているレコード会社・レーベルがアニメソング会社・レーベルではない」場合です。これには一番わかりやすいのはソニー系列レーベル所属のアニソンアーティストです。

ソニー系列のアニメソングレーベルは現在一番大きなものはLiSAや藍井エイルTrysailらが所属しているSACRA MUSICですが、このレーベルが設立されたのは2017年です。それ以前のソニー系列のアニソンレーベルはアニメ制作会社が主体となっているアニプレックスと声優事務所が主体となっているミュージックレインの2つでした。アニプレックスには当時LiSAやTrysailが、ミュージックレインはスフィアやTrysailのソロメンバーがアーティストとして所属しており、ミューレは現在でも大きな変化がありませんが、アニプレックスに所属していたアーティストの殆どはSACRAや他レコード会社へ移籍したか活動そのものをしていません。ここで問題なのが「アニプレックス以外のソニー系列レーベルからSACRA MUSICに移籍してきたアーティスト」の事です。例えば藍井エイル(活動休止前)や春奈るなSMEレコーズに、綾野ましろアリオラジャパンに、EGOISTはソニー・ミュージックレコーズに所属していました。これらのレーベルは一般アーティストも多く所属しているレーベルですが、そこに所属していたからと言ってアニソンアーティストではない、というわけではないでしょう。またAimerや瀧川ありさ(両者ともSMEレコーズ)のように現在でもSACRA以外のレーベルで活動するアニメソング歌手(両者ともwikipediaのカテゴリでは「アニメソング歌手」とされている)もいます。

またポニーキャニオンはアニメを担当するアニメクリエイティヴ本部と一般アーティストを担当するミュージッククリエイティヴ本部に分かれてはいるがアニメソング専門のレーベルとして独立しているわけではなく、一般アーティストとの区別ははっきりとされていません。

 

4:最初からアニメソング歌手として世に出たアニメソング歌手は意外と少ない

現在こそアニソン歌手としてメジャーデビューしたアーティストは多くいますが、黎明期からアニメソングを歌う事を前提としていたアニメソング歌手は決して多くありません。例えば水木一郎は歌謡曲出身者でありささきいさおは俳優・歌手として活動していく中で声優業へ進出、そこからアニメソングを歌うようになりました。影山ヒロノブはロックバンド「LAZY」出身であり奥井雅美高橋洋子はポップス歌手のバックコーラス担当からの出身でした。水樹奈々が演歌歌手志望者であった事は有名な話です。現在でもロック歌手志望だったLiSAやJ-POP歌手として活動後改めてアニソン歌手としてデビューしたTRUE、現在でも本名名義やバンド「Sound Schedule」のメンバーとしてのポップス業界での活動と並行してアニソン歌手として活動しているオーイシマサヨシ等アニメソング業界外からの出身者は昔だけでは無く、現在でも一定数を占めています。

 

ここまでくると「アニメソング歌手」の明確な定義は存在せず、「自らアニメソング歌手と名乗っている歌手」や「一般アーティスト以外のアニメソングを歌っている歌手」程度の定義し出来なくなります。私たちアニソンファンから見ればこの人はアニメソング歌手だというのはすぐわかりますが、はっきりとした定義を打ち出すことは意外と難しいです。

なので自分としてはアニメソング歌手の定義は「一般アーティスト以外でアニメ及びそれに準ずる作品の主題歌・挿入歌を担当する歌手」としか言いようがありません。

 

そんなアニメソング歌手(アニソンアーティスト)にもそれぞれの立ち位置においていくつかの種類に分類できますが、その中で一番大きな違いはアニソンシンガーか声優アーティストかであると思います。いかに個人的な分類を上げていきますが、名称については自分が工だろうと思ったものを当てはめています。ツッコミはご自由にお願いします。

 

1-1:アニソンシンガー

アニメソング専門の歌手の中で、声優と兼任していない人の事です。ただしこれは「声優を専門としていない歌手」の事であり、影山ヒロノブやLiSA、鈴木このみのように声優としてアニメ作品にゲスト出演した事がある(鈴木このみは主演作品もある)人も含めます。

例:水木一郎影山ヒロノブ、TRUE、LiSA、May'n、KOTOKO黒崎真音オーイシマサヨシ鈴木このみ亜咲花大原ゆい子、etcetc・・・

 

1-2:アニソンシンガー系ユニット

複数人で形成されるアニメソング専門の音楽ユニットの中でも、構成メンバーに声優アーティストがいないもののことです。全メンバーがボーカルやコーラス担当であり楽器演奏の担当メンバーがいないユニットやバンド形式のユニット等がありますが、まとめてアニソンユニットとして纏められる場合が多いです(アニソンバンドとして区別される場合もあります)。

例:JAM Project、fhána、angelaAKINO with bless4OxTKalafinaClariSProject.RALI PROJECTZwei、岸田教団&THE明星ロケッツ、etcetc・・・

 

2-1:声優アーティスト(ソロ)

その名の通り、ソロのアニメソング歌手活動をしている声優の事です。上記の通りアニメ主題歌を担当した事が無い声優アーティストもあり、その場合はアニメソング歌手として数える事は難しいのですがアニソンフェスに出演する場合もあります。

例:水樹奈々林原めぐみ宮野真守茅原実里大橋彩香鈴村健一三森すずこ坂本真綾早見沙織南條愛乃楠木ともり内田彩田村ゆかり、etcetc・・・

 

2-2:声優ユニット

声優のみで構成された音楽ユニットの中で、作品の存在を前提としないユニットです。現在は作品の存在を前提としたユニットが殆どを占めており、今まで継続して活動しているユニットは数えるほどしかありません。

例:スフィア、TrysailAice5ゆいかおりi☆Rispetit miladySweet ARMSA応P、etcetc・・・

 

2-3:声優系音楽ユニット

声優とアニソンシンガーやミュージシャン両社で構成されている音楽ユニットの中で、作品の存在を前提としていないユニットです。

例:GRANRODEOOLDCODEXSCREEN modePENGUIN RESEARCHfripSide、etcetc・・・

 

2-4:作品ユニット

アニメ・ゲーム作品の存在とタイアップを大前提とした声優ユニットの事です。ほとんどの場合その作品専属のユニットですが、いくつか他作品とのタイアップを行ったり、作品終了後も活動を続ける場合もあります。

例:μ's、SOS団アイドルマスター 765プロオールスターズ、ST☆RISHPoppin’Party放課後ティータイム、Wake Up, Girls!ミルキィホームズけものフレンズ七森中☆ごらく部、etcetc・・・

 

アニソンアーティストは大きく2分類、さらに細かく6分類出来ます。ただし単純に分類できないアーティストもいくつかいます。

 

例1:栗林みな実

栗林みな実は数多くのアニメソングを歌唱するアニソンアーティストであると共に「君が望む永遠」「舞-乙HiME」「School Days」等のアニメやゲーム作品に声優として出演しているため、声優アーティストの要素が強くあります。しかし現在では現在では歌手活動と比較して声優としての活動がほとんど見られない為声優アーティストよりもアニソンシンガーとして扱われる事が多くあり、自分も過去の記事でアニソンシンガーとして扱いました。一方で彼女の経歴としての声優としての活動は外せないものであり、声優アーティストとして扱っても問題無いと思われます。

 

例2:FLOW

FLOWは1998年に結成し2003年にメジャーデビューしたロックバンドです。2004年にアニメ「NARUTO -ナルト-」のOP「GO!!!」で初のアニメタイアップを担当してから数多くのアニメタイアップを担当し、アニソンフェスへの多数の出演やGRANRODEOとのコラボシングルをリリース、アニメタイアップソングのみのライブを開催する等、数多くのアニメ関係活動を行ってきました。ただしソニー系列の一般レーベルであるキューンミュージックへ所属する「アニメタイアップが多くアニメファンからも人気の高い一般アーティスト」であってアニソン歌手として扱われる事はありませんでした。しかし2020年8月にソニー系列のアニソンレーベルであるSACRA MUSICへ移籍した事によりアニメソング歌手と捉えても問題が無くなりました。元々FLOWがジャンルに捕われない活動を続けてきたこともありこれとしたジャンル付けは難しいのですが、アニメソング歌手「でもある」と言っても問題無い立ち位置となりました。

 

例3:TWO-MIX

新機動戦記ガンダムW」「名探偵コナン」等のタイアップを担当し多くの大ヒット曲を生んだ音楽ユニット「TWO-MIX」は声優である高山みなみと音楽家・演奏の担当者である永野椎菜の2人による音楽ユニットであり、ここだけ見ると声優系音楽ユニットとして扱っても問題無く見えます。

しかし活動当初はメンバーを公表しておらず高山がボーカルと担当している事はレコード会社すら知らないという状況であり、こういった中で数十万枚のヒット曲を複数世に出したという点で他の声優ユニットとは大きく異なります。現在の視点から見れば問題無く声優系音楽ユニットとして扱ってもいいのですが当時の状況を考えると難しくあります。

  

このように今回は「アニメソング」と「アニソンアーティスト」の定義を考えてみましたが、まあなかなか難しい問題です。アニサマ等のアニソンフェスの度にこれはアニソンか否かという問題が出るのがよくわかります()

しかしこの曖昧さ、よく言えば冗長性がアニメソングをここまで長く大きくしてきたとも言えます。その過程で作風に合わないアニメソングが多く作られたり、商業性との対立が起きたりと言った問題が多く生まれましたが、それらの問題を乗り越え飲み込み、ある時は無視していく事でアニメソング業界は成長していきました。この多様性無くして、現在のアニメソングの盛り上がりはありえなかったと言っても過言では無いでしょう。

 

今回の記事はここまでですが、まとまりのない内容になってしまいました。自分にもっと知識や語彙力や時間があればいいのですが・・・反省。

今年もあと2日と数時間です。皆さんお体にお気をつけて新年を迎えてください。自分は何とかもう1つの記事を今年最後の記事とするために頑張って執筆します。それでは次回もよろしくお願い致します。

*1:影山ヒロノブ「ゴールをぶっ壊せ」(P58~59)

*2:劇場アニメ「劇場版 とある魔術の禁書目録 -エンデュミオンの奇蹟-」のイメージソング。

*3:アニメ「コメット・ルシファー」のイメージソング。

*4:影山ヒロノブ「ゴールをぶっ壊せ」(P64)

*5:ゲームの作中BGMである「ゲームミュージック」とは基本的に異なります

*6:「THE HERO !! ~怒れる拳に火をつけろ~」ではない