一見野郎のこれは個人の感想です

こちらは私、一見野郎が周りに気を適当に使いつつアニメ・アニソン・読書等の雑談をするブログです。

アニサマ2022在宅感想(ネガティブ編)

前回までのあらすじ

 

【注意】今回の記事はタイトル通り、ネガティブかつ攻撃的な内容が多く含まれています。そういったものが好きではない方はぜひセルフゾーニングをしてください。

 

時の流れは速いもので、「Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-」が幕を閉じてからもう1ヶ月以上が過ぎました。

この間私の近辺では本当に色々な事がありましたが、それはまた別の機会で語る事とします。

今回は前回の記事に引き続いて、現地に一切赴いていない今年のアニサマについて語りたいと思います。なお冒頭と記事のタイトルに書いてある通り全編ネガティブで攻撃的な内容になっています。ご了承ください。

 

 

1:セトリの曲数水増し疑惑

以前別記事でも書きましたがアニサマの「1曲」をどのように判定するかはかなりガバガバです。例えば2018年日曜のi☆Risの「キュウキョクのプリパラメドレー」は文字通り9曲ショート版の10分超えで1曲換算、一方で2019年金曜の三森すずこはショート版のコラボ連続4曲で1曲辺り2分程度のものがそれぞれ1曲換算×4と、しっかりした基準がありません。

それでも今まではショート版の曲が連続で披露される場合は基本的にメドレーとして1曲換算されており、ある程度の公平性は保たれていました。しかし去年からあからさまに変化が見られます。2021年の場合はD4DJ系列のユニットの曲や東山奈央の一部の曲、RAISE A SUIRENの「R・I・O・T」等一部の曲がショート版であってもメドレーやショート版の表記はされず、フルとして扱われました。

そして今年もTRUEの「飛竜の騎士」や石原夏織の「Cherish」のようにショート版なのにそう記載しない曲がありました。一方DIALOGUE+のようにきちんとメドレー扱いの曲を1曲枠で記載するアーティストもいますので、要するに一貫性がありません。

そこまで大きな問題ではないのですが無理やりたくさんの曲を歌っているように見せるのではなく、ショート版の曲はメドレー扱いか何かにした方が公平性が保たれると思うのですが・・・

ちなみにアニサマの公式twitterではフルだろうとショート版だろうとメドレーだろうと1曲1曲を1ツイートで記載しています。ショート版か否かはツイートの感覚を見て判断してください。フルなら5分程度の間隔がありますがショート版でしたら2~3分程度しか開いていません。

 

2:何故その選曲を?

前回の記事でも書いた通り、今年のアニサマのノンタイ率は比較的低い傾向にあります。去年よりも高いものの5%を切っているのは優秀と言えます。

しかしながらその分ノンタイを歌うアーティストが悪目立ちしてしまう所があります。そしてその殆どが声優アーティストなのです。そういう所からアニサマ運営に対する「声優アーティストばかり」という実態とは乖離した批判が生まれやすいのでしょうか・・・

詳しくは後の項で書きますが、自分はノンタイを全否定する気はありません。今回歌われた「群青インフィニティ」も「HOWL」も「all yours」もいい曲だと思います(特に「HOWL」は後付けで何かのアニタイにしてもいいぐらい)が、それなら「ハイライト」とか「冷めない魔法」とか「あの日のことば」とか「孤高の光 Lonely dark」とかやってないアニタイあるやん、と思ってしまうわけです、アニサマだしアニタイ歌って貰いたいじゃないですか。別に前に歌った歌でもいいんですから。

他にも初日は斎藤朱夏や中島由貴みたいにアニタイ2曲以上持ってるのに1曲枠しかもらえなかった人がいたじゃないですか(中島は一応コラボでもう一曲あったとはいえ)。優先順位少しおかしくないですか、斎藤Pは前に「アニサマは出ても1~2曲だけって、何時の話をしているんですかね(笑)」って言っていたの、昔よりはかなり改善されたとはいえこういう悪目立ちがあるからやぞ、そういう所やぞ(

もう二つほど、これは個人の好みレベルなのですができればまあやってない曲を1つぐらい入れて欲しいな、と思って見たり。オーイシさんは今年はコラボメインだったし、田村ゆかりを呼べないなら「恋はエクスプロージョン」を歌わないというのは間違っていないと思うけど他にやっていない曲も結構あったりするので。

それと3日目のOPコラボであるi☆Ris鈴木愛奈による「太陽曰く燃えよカオス」についても。今年で10周年かつ未だ人気のあるアニソン、作曲は今年のテーマソング担当者である田中秀和と選曲そのものはよかったし、組み合わせも割と何でもできるi☆Risと邪神繋がり(恥ずかしながらこれは他の人が言うまで気が付きませんでした。)といい組み合わせのコラボではあると思います。

・・・ただ個人的には「原曲アーティストが既に披露している楽曲をわざわざ別のアーティストのコラボでやって曲数を消費する必要ある?それはANIMAX MUSIXでやればいいじゃん?」と思ってしまうわけです。それこそ2日目にDIALOGUE+がカバーした「花ハ踊レヤいろはにほ」をこっちでやるとかでも良かったし。知名度は少し劣るかもしれませんが「PUNCH☆MIND☆HAPPINESS」「めいあいへるぷゆー?」とかもありますし・・・

決して駄目という気はないのですが、悪く言うと無難、もっと何か出来たのではないかと思いました。もっともこの「原曲アーティストが既に披露済みの曲をコラボで使用」というのは09年の「残酷な天使のテーゼ」や10年の「創世のアクエリオン」といった昔からの前例があるのですが・・・*1

 

3:3日目の構成のまずさ

自分が行く予定だった今年のアニサマ3日目ですが、素人目線とはいえ構成の問題点がいくつかあったと思われます。

既に述べたOPコラボは個人の好みレベルだと思いますが、他にもいくつかのツッコミ所がありました。例えば鈴木みのりパートはバラードの「Wherever」→アップテンポの「BROKEN IDENTITY」→やなぎなぎとのコラボで再びバラードの「エフェメラをあつめて」というテンポが迷子になる流れ。バラードはバラードで纏めて「BROKEN IDENTITY」は頭か最後に持ってくる方が良かったのでは。花澤香菜も貴重なアニタイである「駆け引きはポーカーフェイス」、これを歌わなければ何を歌うんだ、な「恋愛サーキュレーション」ときて最後はノンタイの「SHINOBI-NAI」というのは少しズコーとなってしまうかなーと。(この楽曲自体は好きですし他に何を歌うんだという意見はわかりますが、それなら2曲枠でも良かったのでは、初出演ですし)

そして一番目立つのはアーティストのバランスが悪いという点です。3日目で一番曲数が多いのはOPコラボ+持ち歌3曲+カバー1曲のi☆Risです。先に言っておきますが自分はi☆Ris嫌いじゃないですし(むしろアニサマ2018やANIMAX MUSIXなどで実際見た分では十分楽しませてもらっています)、今年のアニサマではかなりの古株*2武道館や幕張メッセイベントホールでのワンマン経験者という実績、どこにおいてもそれなりの仕事が出来る便利屋という事を考えるとそれなりの扱いをされるのは自然であり、今年の実質前半トリという立ち位置もむしろ遅すぎたまであります。曲数についてもソロパートを3曲程度にすれば特に問題無いと思われます。

問題は二つあります。一つは選曲です。ソロパートでの4曲目の新曲アニタイ「Queens Bluff」は選ばれて当然ですし3曲目でカバーでやった「チキチキバンバン」も納得です。「パリピ孔明」ヒットしましたし、レーベルも同じ何で。問題は1曲目の「Summer Dude」と2曲目の「ドリームパレード」です。1曲目はノンタイなんでもういちいち理由は説明しません。「ドリームパレード」もアニタイなのはいいんですが、出来ればプリパラシリーズ曲のまだフルでやってない曲を優先してほしかったなぁと。プリパラ曲9曲のうち、フルでやった事があるのは「ドリームパレード(15年)」「Ready Smile!!(16年)」「Shining Star(17年)」の3曲だけなんです。どうせだからまだやってない曲をフルでやった方がいいんじゃね?レベルですが。

そしてもう一つは他アーティストとのバランスです。3日目は基本的にどのアーティストもこの曲数なら納得と思える程度に配分されていたのですが、バランスが良くないなあと思ったのが内田真礼大黒摩季です。前者は15年からの毎年連続出演組で武道館、代々木第一体育館等大箱の経験者、既にトリの2つ前の担当済みとトリ候補クラス、後者は90年代のレジェンドでミリオンヒットシンガーとそれなりの扱いをされるべきアーティストです。

しかし実際は二組とも出番は重要な終盤とはいえ、前者はソロ2曲(例のシクレがあったとはいえ)、後者はソロとコラボでそれぞれ1曲という扱いでした。正直例年と比べてもこの扱いは無い、そう言わざるを得ません。初出演か2回目でも2曲+コラボ、良くて3曲枠が普通なこの日のなかでこの扱いは悪い意味で異質でした。I☆Ris4曲枠で内ノンタイ1曲やるならその枠少し分けてやれよ・・・と思ってしまうのは私だけでしょうか。他アーティストのノンタイ枠こっちに譲るだけでもかなり良くなると思うのですが・・・

 

4:マツケンサンバの扱い

・・・で、この3日目に披露された、そして今年のアニサマで良くも悪くもトップレベルの話題となったマツケンサンバⅡ」。自分は本来3日目に行く予定でしたので何事もなければ見て驚いていた事でしょう。正直アニソンファンとはまた別の一人の人間として、マツケンサンバ*3を見てみたいとは思います。実際見たらアニソンフェスとしての評価とは別に喜んでいたことでしょう。

そしてアニソンファンとして「アニサママツケンサンバを歌う事の是非」を語ると、矛盾する答えを出さなければいけません。それはアニサママツケンサンバを歌う事自体はそこまで問題ではないが、マツケンサンバだけ歌うのは駄目」という事です。

まずは「マツケンサンバは(広義の意味を含む)アニタイか」と聞かれると「アニタイでは無い」と答えざるを得ません。「狭義のアニタイ」であるアニメで使用された楽曲出ない事は勿論の事「広義のアニタイ」である特撮・ゲームのアニタイでも「『原曲の』マツケンサンバ」は該当しません。

しかし「マツケンサンバ」にはいくつかのアレンジ版があり、その中では二つほど広義のアニタイに該当する者もあります。

一つは特撮作品「劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル」の主題歌である「手をつなごう〜マツケン×仮面ライダーサンバ〜」、もう一つはゲーム「モンスターハンターライズ:サンブレイク」の発売記念MV使用された「マツケンサンブレイク」です。これらは「広義のアニタイ」に該当します。つまり「マツケンサンバはアレンジ版が広義のアニタイに該当するノンタイ」なのです・・・結局ノンタイじゃねーか!

では少しタブーに触れます。「アニサマでノンタイを歌っては駄目なのか」という問題です。

自分は「アニサマはアニメソングの祭典なのだからアニメタイアップ曲のみを歌うべきでありノンタイは歌うべきではない」という心情を持っています。おそらくアニサマを見に来る人は大なり小なりこの気持ちを持っていると思います。

一方で自分が実際アニサマに行った時「ノンタイだけど聞けて嬉しかった、楽しかった」と思った事もあります。具体的にはそれぞれのワンマンでも実現していない、内田真礼 feat. 上坂すみれ「魔女になりたい姫と姫になりたい魔女のラプソディー」ですが。正直ダブスタと言われても仕方がありません。ですが正直、大なり小なりこの気持ちは多少の葛藤と共に持っている人が多いと思います。

何故ならアニサマは日本最大のアニソンフェスでありながら、その歴史の中で少なからずノンタイが歌われてきたからです。前回の記事でのノンタイ率を見ればわかるように、アニサマの殆どの回では数曲ノンタイが歌われてきたのです。初回であるアニサマ2005年の最初の曲、そして10回目の節目の最後の曲は水樹奈々奥井雅美の「TRANSMIGRATION」でした。アニタイではありませんが、アニサマの歴史の中では重要な曲です。比較的ノンタイ率が高い水樹奈々を初め、茅原実里の「純白サンクチュアリィ」やJAM Projectの「HERO」もアニタイではありませんがアニサマファンから愛される曲です。GRANRODEOも15年にやらかす前にも何度かノンタイ曲やっていましたが叩かれた覚えはありません。田村ゆかりの「You&Me」については言うまでもありません。

近年でもTrysailの「Sunsetカンフー」は大盛り上がりでしたし、鈴木雅之大黒摩季のJ-POP曲は好評の声の方が大きいと言って間違いではありません。ここでこれらの曲と比べて「マツケンサンバが駄目な理由」を自分は持ってこれません。もちろんここで名前を挙げたノンタイ曲全てアニサマで歌うのは間違っている、アニメソングのみ歌うべき!という考え方の人もいるでしょう。その考えは何も間違ってはいません。当然です、アニソンフェスなんですから。私のようなダブスタではない筋の通った正論です。

・・・ですが自分はアニサマでノンタイを歌う事を完全否定できません。「お前前回の記事でアニサマのノンタイ率の低さを称賛していたじゃねーか!このダブスタ野郎!」という声もあるでしょう、そう言われるのは仕方ありません。それでも「アニサマはアニソンフェス何でアニタイ曲を出来るだけ歌ってほしいけど、ノンタイを完全否定できない」という矛盾を解消できませんでした。

なおtwitterで見かけた意見で「アニソン歌手がアニサマでノンタイ歌うのはわかるけど一般アーティストがノンタイ歌うのは理解できない」というものがありましたが、これには同意できません。アニメソング(アニタイ)をアニメソング足らしめているのは(広義の意味を含む)アニタイであるからであって、アニソン歌手が歌うからではありません。アニソンシンガーだろうと声優アーティストだろうと一般アーティストだろうとアニメソングは平等でアニメソングであり、ノンタイは平等でノンタイなのです。そしてアニソンフェスにおいてはアニソンを歌うのならば等しく扱われなければならないと思います。「あいつはノンタイ歌ってもいいけど、俺の推しはいいんだよ!」では本当に忌むべきダブスタになってしまいます。

ここまでが「アニサママツケンサンバを歌う事自体はそこまで問題ではない」理由です。ここからは「マツケンサンバだけ歌うのは駄目」な理由に入ります。

・・・アニサマが来る客が知ってるかはともかくとして、松平健は「マツケンサンバ」以外にもアニソン歌ってるじゃん!「ドスコイ人生」も「秩父どんと恋」もあるじゃん!ノンタイのマツケンサンバやるんだったらこっちもやろうや!

アニソンフェスで広義のアニタイではないマツケンサンバをやるならば他のアニタイと併せるべきでした、アニソンフェスなんだし。マツケンサンバだけやって歌い逃げするならばアニタイに該当するアレンジ版をやるべきでした。そのどっちでもないただのマツケンサンバだけ歌ったからこう言われるのです。

ついでに斎藤Pの「マツケンサンバはキャラソン」発言についてはこれを持ち出すともう何でもありになってしまうので何も言いません。素人の自分ですら思いつく「マツケンサンバはアレンジ版が広義のアニタイなので実質アニソン」ぐらいの言い訳をしてほしかったです。

なお言っておきますが、数時間後に武道館に行かなければならない過密スケジュールの中出演してくれた松平健(敬称略)及び協力してくれた真島茂樹(敬称略)以下ダンサー・関係スタッフの皆様には一切責任が無い、プロとしての誇るべき仕事をしてくれた事は確かです。

 

5:色々と軽すぎるP

アニサマのゼネラルプロデューサーである斎藤Pは今のアニソン業界で最もアンチが多い人間と言えます。とはいえ彼に対する「無能」という批判はそこまで当てはまらないと思います。本物の無能ならばとっくにアニサマは無くなっています。むしろ彼がゼネラルプロデューサーになった2013年からはノンタイ率の低下、ソニーグループの本格的参加、トリ担当アーティストの多様化等多くの問題点が改善されています。2013~16年ごろのアニサマでは1曲退場が多かったのも事実ですが、これらもここ数年ではかなり改善されています。

一方でやらかした時のやらかし方が大きい問題があります。これは昨年のアニサマ開催までの色んなアレアレな動きを思い出して貰えばわかると思います。

もう一つ、プロデューサーとしての立場を考えているのかという発言の軽さが感じられる所があります。代表的なのが上記の「マツケンサンバはアニソン」発言ですが、他にもいろいろと問題点があります。今年は関係特番に出したメッセージ(出演者による代読)でもやたらとハードルを上げる発言が多かったにも関わらず、実際にはそこまで・・・というケースも多く見られました。また自身のtwitterでのSPACE機能を使った生配信も盛んに行っていましたが、そもそも事前告知も少なく、アニサマ公式twitterではなく個人のアカウントでの配信、しかもアーカイブを残していない配信での発言がどこまで知られているかは疑問です。せめてアニサマ公式twitterアーカイブを残す形でやるべきでしょう。もっと言うなら「animelo+」やアニサマの公式チャンネルがあるのですからそちらでやった方が視聴者も増えるのではないでしょうか。

さらに言えば今年何度もあったアニサマ公式番組の場に出ず、自身のSPACEだけで発言を済ませてしまうのも問題だと思います。アイマスの公式番組とかだと担当のプロデューサー(アイマスのPという意味ではなくバンダイナムコの担当プロデューサー)が司会を担当して公式の立場で責任を負って発言をするのですが、斎藤Pがそういう事をしたのは浅学ながら殆ど見た覚えがありません。それありに責任のある立場の人間ならば、公式の場に出て堂々と発言してほしいものです(もちろんこれはこれで出しゃばりだの自己顕示欲だの叩く人は出るでしょうが、きちんと責任者として立つ方がよっぽどいいです)。

後斎藤PはSPACEとかラジオとかアニサマTV放送のコメンタリーの時に声優を愛称で呼ぶのはやめて欲しいです、あれ演者と親しみのあるプロデューサーを意識しているのか、個人として仲がいいから呼んでるのかわからないけどあれ薄ら寒いんですよ!(大暴言)

上記のアイマス関係者でも親しくとも基本的に〇〇さん呼びなのに(あの坂上Pと中村繪里子さんの間ですら)、アニサマの最高責任者がネットのそこらへんに転がっているオタクみたいに声優を呼ぶのはやめてくれ!そんな事だから誰々を贔屓しているみたいな実態と異なる偏見が蔓延るんだよ!

・・・失礼、兎に角斎藤Pの問題点は「能力が無い」のではなく「行動と発言の軽さ」にあると思います。逆に自分の斎藤Pに対する評価は現在のアニサマを取り巻く状況に対して十分頑張っている、だからこそ自制すれば回避できるやらかしでその努力を無にしてしまうのは勿体ないと判断していますので、黙れとは言わないがもう少し考えてから何か言って、行動してくれと思いました(こなみかん)

 

6:アニサマが直面している最大の問題点

今年のアニサマ2日目が好評な理由は前回触れましたが、セトリの構成が良かったのはもちろん人気アーティストが多数出演したのが最大の要因です、まれに2016年初日のような事もありますが、基本的に人気アーティストをたくさん集めればいいフェスは出来ます(セトリに手を抜かないのは当然ですが)。

だったら同じように人気アーティストを集めれば1日目も3日目も同じぐらい好評で全日とも大盛り上がりになるのでは?2014年や17年みたいに!と考えている人たちはいるかと思います。でも色々言われてるアニサマ運営だってプロです。出来るならやっているに決まっています。

ではアニサマに出る人気アーティストが少なくなっているのは何故なのかを見ていきますが、この前提は一つ間違っています。正確には「アニサマに出る人気『声優アーティスト』が少なくなっている」のです。

人気アーティストの定義は色々あると思いますが、ここは大規模会場でワンマンが出来るアーティストとします。今年アニサマに出演したアーティストの中で武道館クラスの会場でワンマンライブを開催した事がある(予定を含む)のは16組です。なおこの数字は作品ユニットをコンテンツ規模で纏めたものです。内訳をみると以下の表になります。

 

 

1日目

2日目

3日目

声優アーティスト

東山奈央

GRANRODEO

内田真礼

内田雄馬

TrySail

花澤香菜

作品ユニット

RAISE A SUILEN

D4DJ(Merm4id、燐舞曲)

ウマ娘プリティダービー

Tokyo 7th シスターズ777☆SISTERS、4U、KARAKURI)

アニソンシンガー

CHiCO with HoneyWorks

藍井エイル

angela

FLOW

ReoNa

 

一般アーティスト

 

 

大黒摩季

合計

4組

6組

6組

 

こう見ると声優アーティスト6組、作品ユニット4組(4コンテンツ)、アニソンシンガー5組、一般アーティスト1組が「大箱経験のある人気アーティスト」と言えます。昨今のアニサマの中ではバランスが取れていると言えるでしょう。

しかし一つ知っておかなければならない事があります。実は「武道館クラスの大箱経験のあるアニソンシンガー(ユニット)は決して多くない」事です。

現在まで武道館クラスワンマンを経験した(予定を含む)アニソンシンガー(ユニット)は以下の12組です

 

・FLOW(2008年初武道館)

JAM Project(2009年初武道館)

KOTOKO(2010年初武道館、これ以前に横浜アリーナワンマン経験あり)

・May'n(2010年初武道館)

・LiSA(2014年初武道館)

Kalafina(2015年初武道館、現在解散)

藍井エイル(2015年初武道館)

Claris(2017年初武道館)

angela(2017年初武道館)

・Aimer(2017年初武道館)

CHiCO with HoneyWorks(2018年初武道館)

・ReoNa(2023年初武道館予定)

この中にはFLOWやAimerのように当時はアニソンレーベルに所属しておらずアニソンシンガーとは言えないアーティストもいますが、現在まで「アニソンシンガー」と呼べるアーティストでは12組のみです。           

そしてこれは前回の記事で指摘した、アニソンシンガーが今のアニサマで強くなっている事実と直結しています。上記に名前が出ているアーティストの内、半数の5組が今年のアニサマに出演しています。既に解散しているKalafinaを除くとJAM Project、LiSA、May'n、Aimer、KOTOKOClarisの6組です。売れすぎてハードルが高い上に鬼滅関係曲は事実上映像化作品では歌えないLiSA、アニサマ出演経験は無いが同様の理由で難しいAimerはかなりの出演難易度ですが、そもそもソニーが多くの人気アニソンシンガーを出してくれているので不満は抑えられています。May'nとKOTOKOは主な舞台がリスアニ、しかも前者は数年間御無沙汰、後者はアニサマに二回しか出演していないという事でこちらも難しく、JAMもこの中では近年出演経験があり可能性は高い方ですしClarisも未披露曲や支局の多さから考えれば出てもおかしくないですがありませんでした。

逆に言えばわかりやすく売れており、出演希望の声が多い「人気アニソンシンガー」はこの6組ぐらいと言えます。無論大きな会場でのワンマン経験の有無に問わず出演要望の声のあるアニソンシンガーは多くいますし彼らにも道は開かれるべきと思いますが、「わかりやすい人気」という意味ではこのぐらいに限ってもよいでしょう。

そして「わかりやすい」ものを含めて多くのアニソンシンガーが今年のアニサマに出演していました。angela藍井エイルといったトリクラス、TRUE、ZAQ、オーイシといった常連組、亜咲花ASCA、ReoNa、halcaといった若手、初出演となったチコハニにやなぎなぎ、そして一般アーティスト出身のFLOWとかなりの面子が揃っています。常連組で出てないのは新規タイの無いfhána、新曲はあったけど出てない栗林みな実OxT、後は黒崎真音ぐらいでしょう。ここらへんはいてもいいと思いますが・・・兎に角「アニソンシンガー」の出演についてはアニサマは最大限努力していると言ってもいいでしょう。

一方声優アーティストや作品ユニットについては、今年のアニサマには人気アーティストが出演がアニソンシンガーの割合と比較して少ないと言えます。今や武道館が当たり前、アリーナやドームも珍しくない声優アーティストや作品ユニットは、アニソンシンガーの大箱経験者に対する出演者数の割合に対してかなり少なくなっています。

理由としては、まず出たくても出れない、活動していまいアーティストが増えたというものがあります。活動休止、解散、メンバーの卒業、逆にめでたい理由で出演出来ないアーティストも多くいます。前者には茅原実里OLDCODEXfripSide(phase2)、後者にはスフィアや三森すずこ等がいます。

しかしそれ以上に特に出れない理由は無いが出ないというアーティストもいます。そしてこのケースに該当するアーティストは2つのレーベルに集中しています。それはキングレコード(キング・アミューズメント・クリエイティブ本部)とバンダイナムコミュージックライブ(ランティス)です。

前者は水樹奈々宮野真守水瀬いのり堀江由衣等数多くの大人気声優アーティストを擁する大人気レーベルであり、後者はアイドルマスターラブライブという二大アイドルコンテンツを擁するアイドル作品の頂点に立つレーベルです。そしてこの2社はソニーと共にアニサマBDの販売権を交代で担当する主要レーベルであります。しかし今年はソニーが11組と断トツの出演者数でありさらに4組が武道館クラスのアーティストと、今年のアニサマに最も貢献しているレーベルである一方、バンダイナムコランティス)は9組、キングレコードに至っては4組のみの出演と出演数自体かなり少なくなっています。

バンダイナムコについてはまだわかります。まず作品ユニット以外の人気アーティストの内、茅原実里OLDCODEXの2組が自爆もといアーティスト活動を辞めスフィアも実質お休み中、JAMも出ないと、作品関わりないアーティストの内人気アーティストが動きたくても動けるのがGRANRODEOぐらいしかいません。色々やらかしたり言われてもアニサマを初めあちこちのフェスに出るロデオは本当に偉いです。

一方作品ユニットについては「出られない理由が無い」のです。アイドルマスターシリーズはバンダイナムコグループの「バンダイナムコエンターティメント」社が統括しており、ラブライブシリーズもKADOKAWAとの共同運営とはいえ、自社のバンナムフェスや外部の「Tokyo Idol Festival」や「SUMMER SONIC」等のフェスには出演しています。

・・・正直出ない理由としては「わざわざアニソンフェスに出てもうま味が少ない」としか思えません。身内の主催フェスに出るのは当然だしアニソン界外のフェスに出れば新しい集客のチャンスになる、でもアニソンフェスに来る客は放っておいてもこっちに来てくれるんで態々数曲歌うだけだとコスパが悪い・・・そう思うのは穿ちすぎでしょうか。

現状どこも大変な現在のアニソン業界の中、アイマスラブライブは苦戦していないとはいえ最も集客が出来るコンテンツであることに変わりはありません。Aqoursはこの状況下でも東京ドームに1日3万人を動員するという、2020年以降のアニソン界では最大級の集客を記録しました。アイマスラブライブどちらもシリーズ全てのコンテンツがアリーナ規模のライブが常態化しておりドーム公演も珍しくなく、アリーナ規模の公演では未だに落選者が珍しくありません。なんだかんだでバンダイナムコは「余裕がある」側のレーベルである事は間違いないでしょう。最もこの「身内以外のアニソンフェスに出ない」路線は諸刃の剣なのですが・・・

なおアイドルマスターシリーズの一部は日本コロムビアから楽曲をリリースしているのですが、コンテンツホルダーバンダイナムコグループであるため「バンダイナムコランティス)」のアーティストとしてカウントしています。ちなみに「ウマ娘プリティダービー」は楽曲やライブ関係はバンダイナムコランティス)が担当していますがコンテンツホルダーはCygamesです。ウマ娘はアニソンフェスとTIFのような外部フェス両方に出ていますが、これも運営方針の違いでしょう。

さて一方で不可解なのがキングレコードの動きです。ここ数年のキングレコードからはあまりいいニュースを聴きません、というか本当に大丈夫なのかと思います。KING SUPER LIVE 2022」の延期、水樹奈々SSA公演でも空席多数、アニメの新規ヒット作はほぼ無し、主力売れっ子である小倉唯は移籍・・・

そんなキングレコードが一念発起してかつての3日目に大人気アーティストを集めたようなラインナップをアニサマに送り込んだ・・・なわけではなく、いつものangelaと新人組の内田雄馬、saji、愛美というメンバー。一応出演者の名誉のために言っておけばangelaはOPコラボに前半トリと大活躍、愛美もソロとしては初とはいえここ数年のレギュラー出演者としてのステージは評価が高く、内田とsajiも急遽のトラブルに見事対応してアクシデントもチャンスに変えるという実力を見せつける等、出演アーティストは皆見事だったと言えます。

しかしレーベル単位でアニサマでのキングレコードの動きを見ると、バンダイナムコに対する憶測の「出てもうま味が無い」以上に理由がわかりません。ソニーのように売れているからアーティストをどんどん出すわけでもなく、ブシロードのように金を出してアーティストを出すわけでも無く、バンダイナムコのように自分の余裕ある部門では出さないわけでも無く・・・正直迷走としか表現できません。

かつてのアニサマの王者の姿か?これが・・・

話題となったStylipsについても小倉唯の移籍発表からわずか2週間のうちにStylipsを出す、という事が決められるわけが無いので事前に様々なリークややり取りがあったかと思いますが、それを含めても小倉唯が自分の所から離れてもゆいかおりにOKを出さないキングレコード小倉唯の移籍後すぐにStylipsにOKを出すバンダイナムコランティス)」の差が浮き彫りになる結果となってしまいました。

この10年アニソン業界の勢力図は大きく変わり、アニサマではソニーが断トツのトップ、未だ大きなバンダイナムコランティス)、この二つがワンツーとなった一方キングレコードはもはやポニーキャニオンブシロード、フライングドッグとNO3の座を争うまでになってしまっています。来年もこの流れが続くならば、キングレコードはNO3の座すら降りる事になってしまうかもしれません。

話題は前の項に戻りますが、今年のアニサマ日曜終了直後に斎藤PがやっていたSPACE配信での発言でソニーブシロードのアーティストが多いのは他アーティストよりパフォーマンス力があるだけ(意訳)」という発言がありました。

これについては出てもらっている立場のアーティストに対して、自分の立場も考えずこういったPがど阿呆ちゅうのど阿呆なのは言うまでもありませんが、あからさまに利益の少ないバンダイナムコや何を考えてるかわからないキングレコードについては、一言二言言いたくなる気持ちもわかります。

でもこれを口に出すのは阿呆なのでPについては擁護しません。今までのアニサマを見ればレーベルの力関係で出演者数が大きく変わることぐらい、余程考えていない人でなければわかることなのでわざわざ言わなきゃいいのに、そういう所やぞ(本日二度目

ただこんなPであっても首を切れば水樹奈々アイマスラブライブやLiSAが一気に来る、なんてことはないでしょう。むしろこれで解決するならとっとと(ry)になります。それで解決しないから厄介な問題なのです。

アニサマの現在抱える最大の問題点、それはセトリ構成やPの発言と言った、アニサマ運営内の努力でなんとかなる問題ではない、「出演者を出してあげる」という立場に置いてアニサマ運営より優位に立つレーベル側の問題なのです。

 

7:総評

ここまで前編・後編を併せて読んでくださった方の中にはわかるかもしれませんが、今のアニサマの長所と短所は表裏一体な所があります。

アニタイが昔から大幅に増えた!⇔ノンタイが悪目立ちする!

1組当たりの曲が多い!⇔少ない人が悪目立ちするしショート版で水増ししている!

アニソンシンガーが活躍している!⇔人気声優アーティストが出なくなった結果!

これはアニサマの昔からの問題点が改善されてきた分、また新たな問題が出てきてしまい永遠に解決されないのではないかと思えてしまう現象です。

それに花を添えるのが斎藤Pの10年経っても改善されない所か悪化しているのかと思う失言癖、さらに大手レーベルとアニサマの軋轢という問題まで生まれてきました。

恐らくこの問題は来年も大きく改善される事は無いでしょう。なんだかんだで斎藤Pはここ2年のアニサマ最大の危機を乗り切り、セトリ構成についてもあくまで細かな不満レベルに抑えています。失言癖は変わりませんが、それはそれとしてアニサマで一番重要なのはライブ本編なのも変わりません。

そして出演者についてはレーベル主導である分、これからも大きく変わる事はないでしょう。もしかしたらアイマスラブライブ辺りから1組ぐらい来るかもしれませんが、キングレコード当たりの人気声優アーティストが一気に来たり、大人気作品ユニットがガンガン来るようなことはレーベルの上の人が一気に方針を変えない限り無いと思います。

これからもソニーが最大手、ブシロードが資金力をものにある程度の地位を獲得しアニソンシンガーが大事な部分を固める、良くも悪くも大冒険はしないが大きく外す事もない安定感のあるアニサマが続くことでしょう。

それはアニサマが「世界最大のアニソンフェス」である証として売りにしてきた大人気アーティストの集まるフェスという要素を一部手放す事になります。

今年の「ANIMAX MUSIX」は出演者21組中11組がアニサマにも出演するという事態になっています。個人的にはアニサマに行けず、見られなかったアーティストをこちらで見られるというのはとても嬉しいのですが、数年前から始まっているアニサマANIMAX化、ANIMAXアニサマ化がどんどん進んでいく感じがします。

ANIMAXのいい意味でのファーストフード感、手軽に楽しめるアニソンフェスの立ち位置に対して、豪華なアニソンフェスである事をセールスにしてきたアニサマ。これからはまた別の試練の時期なのかもしれません。

・・・まあそれでも行った人間の大半の感想は「今年も楽しかったなー!!」になるんですけどね!自分も来年こそ行くぞー!!

 

そんなこんなで今回もありがとうございました。次回もよろしくお願いします。

・・・あとアニサマ関係ブログの大先輩であるはちさんがブログで「アニサマについて思ったこと。」を書く予定だからそっちも見てくれ!このブログより100倍見やすくてわかりやすくて面白いぞ!

*1:前者は石川智晶angela、後者は茅原実里とMay'nのコラボ

*2:FLOWと同期の13年初出演組、アーティスト単位だとこれより前に出ているのは4組しかいない

*3:正式には「マツケンサンバⅡ」だけどⅡをつけなくてもわかるだろうと思いますのでもうつけません