一見野郎のこれは個人の感想です

こちらは私、一見野郎が周りに気を適当に使いつつアニメ・アニソン・読書等の雑談をするブログです。

シン・アニサマよそれでいいのか

アニサマ2021のオフィシャルグッズ事前通販が始まりました。

密を避けるために、暑い中並ぶ必要なく商品を手に入れる為に、さらに運営資金がカツカツな運営を助けるためにもぜひ利用しましょう。

お馴染みのペンライト、Tシャツ、タオルなどの商品に加え、公式パンフも初めて事前通販で手に入ります。

特にパンフは買ってから現地で読むのも楽しいですが、事前に目を通しておきたいという人も多いので是非買いましょう。現地には行かないけどパンフは欲しいという人も多くいるでしょうから是非買いましょう。後から中古ショップで探すのは面倒ですので。というか毎年やってろ。

 さてこの商品ページの中に例年は見られない新商品があります。

「アニサマ2021 CLEAR」というこの商品。こういうご時世ですから消毒アイテムでしょうか。いいことではないですか。こういうご時世だからある程度自身で消毒アイテムを持参して身を守らないといけません。アルコールスプレーとかジェルとかでしょうか?どれどれ見てみましょう・・・

 

 

>■サイズ:クレベリン スティックペンタイプ専用ケース:高111.7mm × 直径17.5mm
>スティック:高100mm×直径15mm(底部:10mm)
>■成分:亜塩素酸ナトリウム液、高吸水性樹脂

 

ブーッ(AA略

 

いやいやいやいやいや・・・クレベリン!?ねえ噓でしょオイマジで?

 

・・・えっとですね、クレベリンについてはその名を聞いた事があるかと思います。大手製薬会社である大幸薬品が販売している二酸化塩素を使用する除菌商品ですが、効果が無いとして消費者庁から景品表示法違反処分を下された代物です。

さらに消毒剤の噴霧は人体に有害であり、推奨されないという発表が各国の関係機関から発表されています。これはクレベリンに限りませんが、「空間除菌」というものはウィルスにも人体にも無害で効果の無いものか、ウィルスにも人体にも有害で効果があるものの2種類しかなく、どちらにしろ使い物にはなりません。人体に無害でウィルスだけ殺すなんていう都合のいいものはありません。

つい先日にもAKBのコンサートでの空間除菌設備が批判された事がありました。

過去にはクレベリンがコロナ対策として用意されていたドコモのコールセンターでも感染者が発生するなどその効果の無さは折り紙付きです。

さらにクレベリンは二酸化塩素を使用していますので金属への腐食作用があり、さらに多量に吸い込んだ場合細胞膜が破壊され、人体への悪影響も多大なものがあります。

塩素系洗剤の使用時には換気を気をつけて、なんてコロナ以前からよく知られていることです。

でも手指の消毒にはいいのでは?という意見もありますが、「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)」において手指への塩素系消毒の仕様は推奨していません。素直に石鹸で手洗いするか、こまめにアルコール除菌をする方を推奨しています。

多くの歌手が出演し、機械類を使用する音楽フェスでの使用はまず間違い無く不適切なものです。

最悪の場合出演者の健康被害や機材への被害によりレーベル単位での今後の出演無しやさいたまスーパーアリーナ及び埼玉県の施設出禁に繋がりかねません。

アニサマ終了どころかアニソン関係者が長い間白い偏見の目で見られる事は確実です。

 

・・・で、なんでこんなものを公式商品に採用してしまったのかというと、今年の協賛に「ルミカ」がいるのが原因かと思われます。ルミカはアニソンライブが好きな人ならご存知でしょう。数多くのペンライトやサイリウムを製造販売する企業であり、皆さんも一度は使った事はあるでしょう。自分も大閃光UOはよく使います。

そんなルミカとクレベリンが何の関係があるのかと思う人もいるでしょう。ルミカはこういったコンサート用だけでは無く釣り用や防災用等様々な用途に応じて様々なライト開発・販売しています。それ自体はとてもいい事です。ですが問題はコロナを初めとする感染症防止のために、二酸化塩素を使用した感染防止グッズを開発・販売している事です。

「ルミカ 除菌」でググってみていくつかページを見てみてください。これで頭が痛くなってもこれは二酸化塩素の影響では無く正常な証拠です。安心してください。

そして残念なことに空間除菌幻想は広い界隈に広がっています。民間企業から地方自治体、国会議員や自衛隊にまで空間除菌を採用するところがあります。誠に残念な事にアニサマもその一つだったという事です。

 

そしてこんなもんをどうして採用してしまったのか、という問題があります。斎藤Pやグッズ責任者を初めとした運営関係者の頭が足りなかったか、わかっていても協賛会社からの申し出を断れなかったからのどちらかですが最もどちらにしても責任はあります。

日本最大のアニソンフェスを運営する立場に置いて、その責任はとても大きなものです。その在り方については特にここ10年ほど出演者の選出やチケット代、マナー問題など様々な批判があります。中には運営の力ではどうしようもない理不尽なものも多くあり、明らかな誹謗中傷も見受けられます。

しかしながら今回の問題はそれらの問題とは明らかに別の問題です。このご時世絶対に、100%安全で感染者を出さずにライブイベントを開催するというのは中々難しいことです。芸能人の誰々がコロナ陽性に、というニュースは頻繁にあり、アニメ関係でも声優を中心にコロナ感染や、陽性でなくとも濃厚接触者としてイベントの出演中止になるという事態は毎日のようにあります。

仕事の形式上マスクを常に着用するわけにはいかない業界の感染防止は困難であり、出来る限りの対策を行っても防ぎきれなかったという事はありえます。イベント業界全体の経済的苦境の中、万全の対策を出来ないのならばイベントをしなければいいというのもあまりにも酷でしょう。国からの補償や補助が機能しても限界はあり、イベントを開かなければ破産してしまう、続けることが不可能であるという所も多くあります。どこぞやの演劇界のように潰れたら別の仕事に就けばいいというのはあまりにも暴論でしょう。特にアニサマは昨年の延期と言う名の実質中止もあり非常に厳しい状況にある事を理解しなければなりません。

それでもこのような似非科学に手を出したことは許される事ではありません。出演者と観客の安全に対する責任を持つ運営として、しっかりとした知識をもってこのような商品は扱えないと断るべきでした。

特に毎日のように東京オリンピック批判ツイートをしている斎藤Pは、少なくともオリンピックと同等かそれ以上の対策をするのが運営の責任者としての責務でしょう。それがこのような事態になっている事は、「安全より金を優先した」と批判されても仕方ありません。恨みつらみのツイートをするだけならばともかく、自分の所のフェスがこれでは批判をするにしても説得力皆無でしょう。

毎年人気アーティストが少なくなり、ブシロード辺りのユニットや新人声優ばかりになっているのとは次元の違う問題です。多少行儀の良くない商売に手を出してもそれで安全が損なわれるわけではありません。しかし今回は明らかに一線を超えたものです。

食事の味の好みで店にいちゃもんをつけるのはチンピラのやることですが、安全な料理を提供できない店が営業停止処分を受けるのは当然の事です。

さらに言えば斎藤Pのオリンピック批判(というレベルにすら達していない)についても、今年のアニサマの出演者にオリンピックの聖火ランナーを担当した人がいる事を考えれば、無神経と言われても仕方のないものです。日頃批判される発言の軽さも、こういった所から生まれるものでしょう。

一方そのランナーの言葉はこれです。

「オリンピックについては賛否両論たくさんのご意見があることも重々承知している。アスリートや大会のために従事してきた皆さんの思いを考えると、何が正しいかは今すぐに答えが出るわけではないが、大会を心の支えに頑張っている方がいらっしゃることも考えていきたい」

・・・どちらが人として正しい言葉かは各々に任せるとします。

 

私は決して運営のアンチであるとは思っていません。むしろネットのアニサマ有識者()の中で自分ほど運営に甘い人間は少ないと思っています。前に出しました出演者の問題においても、出演者に対する権限はレコード会社側の方が有利であり、「貸してもらう」運営側の方が不利である事、運営が大規模化するほど資金は多く必要であり、出演料や会場料、様々な費用で色々な所に配慮する必要がありアニサマ運営の立場は決して強いわけではない、という点で自分の立場は一貫しています。

無責任にアニサマヨソレデイイノカー、サイトーガブシロノゴリオシガー!!と思考停止してバズって得意げになっているどこぞやのブログよりは遥かに現実的であり、理性的である自負は持っています。

だからこそ、今回の運営の醜態が許せないのです。

アニサマの存在がアニソン業界を大きく発展させ、アニサマが無ければ生まれなかった楽曲や世に出なかったアーティストも多くいるでしょう。アニサマは無くなってはいけません。

だからこそこのような自らを危機に陥れる愚行は、あってはならないものでした。多くの批判を受けながらもアニサマを楽しみにし、今年こそ開催してほしいという声を上げているファンを失望させる行為だった事は間違いありません。

さらに言えば、現状アニサマに代わるアニソンフェス、つまり全てのアニソンレーベルが参加し、SSA単独クラスの大人気アーティストが次々と出演するアニソンフェスが誕生すれば、アニサマは簡単に終わります。最もその可能性はアニサマが潰れる以上に少ないものでしょうが。

 

今の所自分は3日目のチケットを持っています、一応パンフレットも買います。ですが行くかどうかはまだわかりません。それは自分自身の感染対策とはまた別のものです。ここまで読んでくれた方ならわかると思いますが。

もちろんアニサマが開催されるに越したことはありません。安全に成功してくれて、次につなげてくれるに越したことはありません。ですが運営には、もう少しだけ自分を見つめなおして欲しいと思うばかりです。

最後に、今回の決して愉快ではない記事を読んでくださった方に御礼申し上げます。

皆様も正しい情報を取捨選択して、体調にはお気をつけてお過ごしください。