Animelo Summer Live15年史勝手に分析
2-5:アニサマ出演者音楽レーベルについてその5
(NBCユニバーサル、ワーナー、
※この企画の記事内では個人名は敬称略で記載しております、ご了承ください。
レーベル分析シリーズ第五回はNBCユニバーサル、ワーナー、日本コロムビア、ユニバーサルミュージックの4レーベルについて触れていきたいと思います。この4レーベルも互いにつながりがありまとめて記事にするのですが、今回は本題に入る前に皆さんが1度は思った事についてまとめてみたいと思います。
- 0:NBCユニバーサルとユニバーサルミュージックの関係
- 1-1:NBCユニバーサルとアニメソングの歴史
- 1-2:NBCユニバーサルのアニソンアーティスト
- 2-1:ワーナーとアニメソングの歴史
- 2-2:ワーナーのアニソンアーティスト
- 3-1:日本コロムビアとアニメソングの歴史
- 3-2:日本コロムビアのアニソンアーティスト
- 4-1:ユニバーサルミュージックとアニメソングの歴史
- 4-2:ユニバーサルミュージックのアニソンアーティスト
- 5:アニサマにおける4社
- 6:まとめ
0:NBCユニバーサルとユニバーサルミュージックの関係
※この項目はアニソン関係無いです。興味の無い方は目次から次の項目へ進んでください。
今回の記事で話題が出る「NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン合同会社」と「ユニバーサルミュージック合同会社」の二つのレコード会社はユニバーサルという名前で同じ地球のロゴマークを使用していますが、直接的な資本関係はありません。ではどうしてこういった名前と類似点があるのでしょうか。
それを知るためには歴史を遡る必要があります。1912年、アメリカで今のユニバーサル・ピクチャーズの元となる映画会社、ユニバーサル・フィルム・マニュファクチュアリング・カンパニーが設立され1925年にはユニバーサル・ピクチャーズ・カンパニーへと発展、これが今のNBCユニバーサルの大本となります。ユニバーサルは数多くの映画を製作、大ヒットさせる一方映画製作費や経営規模の拡大に伴う支出の拡大、大恐慌やテレビの発達による映画産業への打撃などの社会的問題の影響もあって苦しい経営が続いており、1952年にはレコード会社であるデッカ・レコードに買収される事となりました。デッカ・レコードは元々イギリスのレコード会社であり、アメリカにも子会社が設立されましたが後に資本関係が切れて独立したものがこの米デッカ・レコードです。
一方1924年、アメリカでMCA(ミュージック・コーポレーション・オブ・アメリカ)というタレント事務所が設立されました。この会社が今のユニバーサルミュージックの大本となります。この会社は業績を拡大し1962年には米デッカ・レコードをユニバーサル・ピクチャーズごと買収、1973年にMCAレコードと改名させその後も様々なレコード会社を買収していきます。またユニバーサルの映画事業もMCAがテレビ番組制作事業で成功している点を生かして再編、テレビ番組制作に力を入れ業績を回復、1970~80年代には「ジョーズ」「E.T.」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」等の大ヒット作を生み出していきます。
そんなMCAは1990年、さらなる拡大のため日本の松下電器*1による買収を受け入れます。しかし日米企業の考え方の不一致等で事業は上手くいかず、1995年にはMCAの株式の8割はカナダの酒造メーカー、シーグラムへ売却されました。何故酒造メーカーがレコード会社を買収したのか、と思う方も多いかと思います。シーグラムの社長職を代々務めているブロンフマン家は1920年代のアメリカで禁酒法が施行され、酒の販売が禁止される中カナダからギャングやマフィアを通じて酒を密売、莫大な富を得て大企業となりました。MCA買収当時の社長であるエドガー・ブロンフマン・ジュニアは若い時期に家業に反発、音楽・演劇プロデューサーの仕事をしていましたが89年に社長に就任、音楽事業に乗り出しました。
1996年、MCAの社名はユニバーサル・スタジオに変更されMCAレコードもユニバーサルミュージックと改名されます。さらに98年には世界最大のレコード会社であるポリグラムを買収、ユニバーサルと統合されます。ちなみにポリグラムはイギリスの本家デッカ・レコードを1980年に買収しており、デッカ・レコードは再び一つに統合される事となります。
2000年、シーグラムはフランスのメディア企業ヴィヴェンディと同じくフランスのテレビ局カナル・ブリュスと合併、「ヴィヴェンディ・ユニバーサル」となりました。この時シーグラムの元々の事業であった酒造関係はフランスの大酒造メーカー、ベルノ・リカールにシーグラムの名前ごと売却され、エドガー社長はヴィヴェンディ・ユニバーサルの副会長となりました。
こうしてヴィヴェンディ・ユニバーサルは「タイム・ワーナー」*2に次ぐ世界第二位のメディア事業会社となりました。しかしわずか2年後の2002年に同社は急激に業績が悪化、2004年にテレビ・映画の制作やテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ」の運営を担当する娯楽事業部門「ヴィヴェンディ・ユニバーサル・エンタテインメント」を赤字部門として、その株式の8割を世界最大の総合電機メーカーである「ゼネラル・エレクトリック(GE)」に売却、その傘下にあり元々ユニバーサルが番組制作を多く担当していたアメリカの大規模テレビネットワーク「NBC」と合併し「NBCユニバーサル」が誕生します。ちなみにエドガー副会長はこの時退任、他の投資家たちと共にタイム・ワーナーグループ内の音楽事業を買収しワーナー・ミュージック・グループを設立し最高経営責任者に主任、2011年にアメリカの複合企業アクセス・インダストリーズに買収されるまで就任し続けました。
2006年にはパナソニック(松下電器)が依然として保有していた2割のユニバーサル・スタジオの株もNBCに売却され、さらに2009年にはヴィヴェンディが持ち続けていた方の2割の株もGEに売却されユニバーサル・スタジオは完全にNBCのものとなりました。一方音楽部門であったユニバーサルミュージックはそのまま「ヴィヴェンディ・ユニバーサル」に残り*3、ここに二つの「ユニバーサル」の名前を持つ会社が誕生しました。
つまりこの2社の関係は元々別の会社であったものが買収・合併の間に同じ名前となり、そしてまた分かれる際に名前を引き継いだ会社なのです。そして日本のNBCユニバーサルとユニバーサルミュージックは、それぞれアメリカの同名会社の傘下会社となり、現在資本提携などの関係はありません。最初に言った通りここまでの話はアニメソングとは関係ありませんが、知っておくと混同しなくなるので損はありません。
1-1:NBCユニバーサルとアニメソングの歴史
先ほど話をしました現「NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン合同会社」は元々NBCユニバーサル系列の会社では無く日本国産の企業でした。その大本は1938年に設立された電気会社、「福音商会電機製作所」です。後に「福音電機株式会社」に改名、さらに1961年になると「パイオニア株式会社」に商標を変更します。この会社の設立のきっかけは創業者である松本望が純国産のスピーカーの開発を目指し、その通り「A-8」という純国産スピーカーを完成させた事であり、この経緯もありパイオニアの主力製品はスピーカーやステレオなどのオーディオ機器でした。
そんなパイオニアは1970年、アメリカのワーナー・ブラザース社と芸能プロダクションである渡辺プロダクション(ナベプロ)と合同でレコード会社「ワーナーブラザース・パイオニア株式会社」を設立、72年には「ワーナー・パイオニア」と改名します。また1981年、レーザーディスク(LD)の制作・普及のために設立した「レーザーディスク株式会社」を設立しました。しかし1989年にパイオニアは音楽・映像制作を完全自社制作で行う事を決定しワーナー・パイオニアから撤退*4、レーザーディスク株式会社を「パイオニア エル・ディー・シー株式会社(パイオニアLDC)」と商号を変更、同時にアニメ作品製作にも着手する事となります。このレーザーディスク株式会社、そしてパイオニアLDCがNBCユニバーサルの前身となります。なおワーナー・パイオニアはワーナーミュージックと改名しワーナーの完全子会社となります。これについては2-1で少し触れます。
ちなみにレーザーディスクとは1972年にオランダで開発され1978年にアメリカで製品化された記録媒体であり、直系30cmの大きなCDのようなディスクです。ディスクの摩耗が無い事や画質がVHS(カセットビデオ)よりも良い事、CDの量産技術から低コスト化に成功した事から80年代に普及し、特に80年代のカラオケの大ヒットと共にこちらでの音楽ソフトとしてビジネスの中心となりました。しかし90年代になるとレンタルが禁止されていた事や生産ラインが限られていた事、VHSの低価格化から供給面で不利となり、さらにLDよりも小型・低価格・耐久性が高いDVDが普及し、さらに90年代末から00年代初頭にパソコンやゲーム機等DVDが再生できる様々な媒体も普及、カラオケにおいても媒体はディスクから通信カラオケによる音声・映像の配信に切り替わるようになり00年代にはシェアを完全に失い07年にディスクの製造ラインが、09年には再生機器であるLDプレーヤーの製造が終了し歴史に幕を降ろす事となりました。
話を戻しますとパイオニアLDCは1992年に初のアニメ作品であるOVA「天地無用! 魎皇鬼」を製作、これがパイオニアのアニメ制作事業の始まりとなります。パイオニアLDC時代には「天地無用!」シリーズやそのスピンオフ作品である「魔法少女プリティサミー」、「神秘の世界エルハザード」「バトルアスリーテス大運動会」「藍より青し」「The Soul Taker 〜魂狩〜」「灰羽連盟」「新白雪姫伝説プリーティア」「ちっちゃな雪使いシュガー」等の作品が製作され、アニメ制作開始10周年を迎えた2002年にはアニメ専門レーベル「RONDO ROBE」が設立されました。
しかし翌2003年にはパイオニアは事業の内プラズマディスプレイ事業に集中するためアニメ制作部門の売却を決定、電通にパイオニアLDCの株式を全て売却しました。新会社は「generation(創造)」と「eon(永遠)」を合わせた造語である「ジェネオン」はと名付けられ、電通が親会社となるアニメ制作会社「ジェネオンエンタテインメント株式会社」が誕生しました。なおパイオニアが賭けたプラズマディスプレイ事業は液晶ディスプレイ事業とのシェア争いに敗北、元々の事業であるオーディオ関係もデジタル化に対応できず同業他社のオンキョーへと事業を譲渡する等経営が悪化、2018年からは香港の投資ファンドの傘下に入る事となってしまいます。
この2003年から09年までのジェネオンエンタテインメント時代に製作されたアニメには「神無月の巫女」「苺ましまろ」「無敵看板娘」「ハヤテのごとく!」「絶対可憐チルドレン」「武装錬金」「仮面のメイドガイ」「パンプキン・シザーズ」「To LOVEる -とらぶる-」「BLACK LAGOON」「大魔法峠」といった漫画原作の作品、「ef」「ななついろ★ドロップス」「Fate/stay night」「ひぐらしのなく頃に」といったゲーム原作作品、「スターシップ・オペレーターズ」「灼眼のシャナ」「乃木坂春香の秘密」「撲殺天使ドクロちゃん」「とある魔術の禁書目録」といったライトノベル原作作品、「ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて」「この醜くも美しい世界」等のオリジナル作品等様々な作品があり、川村明廣、川瀬浩平、中山信宏といった名物プロデューサーの手腕や「RONDO ROBE」主催の単独イベントを開催する等00年代後半におけるアニメの勢力図の中で急成長を遂げました。
このジェネオン作品の主題歌を担当するアニソンアーティストは大きく分けて2つに分類されます。1つはそれ以前から他レーベルでアニメ主題歌を担当し、ジェネオンへ移籍したアーティストです。
その代表が「石田燿子」です。既に「美少女戦士セーラームーン」ED「乙女のポリシー」がヒットしていた石田は2000年代に日本コロムビアからパイオニアに移籍、ジェネオンに改めても所属して多くのアニソンを歌いました。ジェネオン作品での石田の主題歌は「ちっちゃな雪使いシュガー」OP「Sugar Baby Love」、「藍より青し」OP「永遠の花」、「灼眼のシャナ」後期ED「紅の静寂」といったものがあります。
他には「新世紀エヴァンゲリオン」の主題歌で知られる「高橋洋子」は2000年代中盤の一時期にジェネオンに所属、「この醜くも美しい世界」OP「metamorphose」、「灼眼のシャナ」前期ED「夜明け生まれ来る少女」、「パンプキン・シザーズ」OP「蒼き炎」と言った作品の主題歌を担当しました。
他にも「マクロス7」の作中バンド「Fire Bomber」のボーカルや「JAM Project」のメンバーとして活動している「福山芳樹」は「武装錬金」OP「真赤な誓い」や「仮面のメイドガイ」ED「ワクガイ!!」を担当し、同じくJAMのメンバーでありこれまで何度もこのシリーズで名の出た「奥井雅美」は当時所属していたドワンド系列のレーベル「evolution」がジェネオンに販売を委託していた縁から「無敵看板娘」OP「WILD SPICE」、「これが私の御主人様」OP「TRUST」等の曲を担当しています。
しかしこの時代のジェネオンの主力アーティストと言えば、音楽制作集団「I've」に所属するアーティスト、特に「KOTOKO」と「川田まみ」です。
「I've」は1998年に高瀬一矢や中沢伴行といったクリエイターによって結成され北海道を拠点として活動を開始した音楽集団であり、当初はカラオケやオリジナルCD、ゲームの音楽制作を主としていました。1999年に大ヒットしたアダルトPCゲーム「Kanon」のOPとEDの編曲を高瀬が担当した事から注目される事となります。ランティスの項でも触れたように2002年の「おねがい☆ティーチャー」シリーズで「KOTOKO」と「川田まみ」が主題歌を担当する等アニメファンの間でも名が広まり、2004年頃から「I've」所属アーティストが次々とジェネオンからデビューする事となります。
「I've」とジェネオン所属アーティストの代表と言えば「KOTOKO」です。アーティストとしては2000年にデビューしアニメ主題歌も上記の通り2002年に初めて担当したKOTOKOは2004年4月にアルバム「羽-hane-」でジェネオンからメジャーデビュー、8月にはメジャーデビューシングル「覚えてていいよ」のカップリング「DuDiDuWa*lalala」が「魔法少女隊アルス」EDとして初のアニメ主題歌となりました。さら「神無月の巫女」OP「Re-sublimity」はオリコンウィークリー最高8位、5万枚のヒット曲となりました。その後も「being」「BLAZE」等「灼眼のシャナ」シリーズ、「ハヤテのごとく! 」「七転八起☆至上主義!」「daily-daily Dream」等「ハヤテのこどく!」シリーズ、「Chercher 〜シャルシェ〜」「きれいな旋律」等「マリア様がみてる」シリーズといったジェネオンのヒット作品の主題歌を数多く担当、特に「灼眼のシャナ」は後にレーベル移籍した後も全シリーズに主題歌として関わる事となります。
2006年にはアニメ業界初となる横浜アリーナ単独公演、2010年には日本武道館単独公演を開催する等ジェネオンを代表するアーティストとして数多くのライブ活動も行っています。
同じく「I've」とジェネオンの看板アーティストの一人が「川田まみ」です。KOTOKOと同じく既にアニメ主題歌を担当した事のある川田はKOTOKOに続く2005年2月にTVアニメ「スターシップ・オペレーターズ」OP「radiance」でメジャーデビュー。「緋色の空」「赤い涙」「JOINT」等「灼眼のシャナ」シリーズ、「とある魔術の禁書目録」の前期・後期OPである「PSI-missing」「masterpiece」、「ハヤテのごとく!」第二クールED「Get my way!」といった作品の主題歌を担当。特に「灼眼のシャナ」シリーズはKOTOKOと同じく全シリーズで主題歌を担当し、2000年代ジェネオンの代表作の1つであるシャナと共に、その主題歌を担当するKOTOKOと川田はジェネオンの代表アーティストとなりました。
他にも川田と同じく2005年にはデビューしたのが「島みやえい子」です。島みやはI'veの一員としてだけでなくKOTOKOや川田のボーカルの講師としても活動しており、アニソンアーティストとしては「ひぐらしのなく頃に」「奈落の花」等「ひぐらしのなく頃に」シリーズの主題歌を担当しました。
また2006年には「BLACK LAGOON」のOP「Red fraction」で「MELL」がメジャーデビューし、その後も「ハヤテのごとく!」ED「Proof」や「スカイガールズ」OP「Virgin's high!」を担当、翌2007年には「詩月カオリ」がメジャーデビューし「ななついろ★ドロップス」OP「Shining stars bless」や「ハヤテのごとく!」ED「Chasse」等の主題歌を担当しました。
このジェネオンのI'veアーティスト5名によって結成されたスペシャルユニットが「Love Planet Five」です。このオールスターユニットは2007年に放映された「劇場版 灼眼のシャナ」の主題歌「天壌を翔る者たち」を担当しました。これまで何回も名前が出ました「灼眼のシャナ」は当時そこまでシェアの大きくなかった電撃文庫のライトノベル原作アニメの中でも比較的初期であり*5、2005年から2011年までTVアニメシリーズ3期とOVA、劇場版が製作されヒット、既に人気声優であった釘宮理恵が所謂「ツンデレキャラ声優」として更なる人気を博す事となるきっかけの作品の一つとなりました。その後電撃文庫作品は数多くアニメ化され、ライトノベル原作アニメの最大手となっていきますが、2000年代後半は「乃木坂春香の秘密」や「とある魔術の禁書目録」シリーズのアニメ制作をジェネオンが担当し深い関係にありました。また「I've」も元々のインディーズ活動からの人気に加え所属アーティストのメジャーデビューに伴う更なる人気の爆発により2005年と2009年には武道館でI've単独のライブを開催する等当時のアニソンにおいて大きな役割を果たしました。
またI've所属以外のアニソンアーティストとしては「euphoric field」「ebullient future」等「ef」シリーズの主題歌や「Dear My Friend -まだ見ぬ未来へ-」「Real Force」等「とある科学の超電磁砲」EDを担当した「ELISA」、「Fate/stay night」ED「あなたがいた森」や「武装錬金」ED「ホシアカリ」と言った主題歌を担当した音楽ユニット「樹海」や「彩雲国物語」ED「最高の片想い」や「disillusion」「きらめく涙は星に」といった「Fate/stay night」のOPを担当した「タイナカサチ」がいました。*6
そして変わり種のアーティストなのが小学生3人によるキッズタレントグループである「可憐Girl's」です。このユニットはTVアニメ「絶対可憐チルドレン」の主題歌のため結成され同作品のOPである「Over The Future」「MY WINGS」の2曲リリース、アニメの終了と共に活動を終えました。わずか1年ほどの活動でしたがメンバーは現在に至るまでそれぞれの分野で活躍し、特にメンバーの1人であるSUZUKA(中元すず香)がSU-METALとして世界規模で活躍する「BABYMETAL」のメンバーとして活動している事は有名な話です。
さて2009年、パイオニアLDC改めジェネオンエンタテインメントは3度目の変化を迎えます。遡る事2001年、当時の「ヴィヴェンディ・ユニバーサル」は日本法人、「ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン(UPJ)」を設立しそれまで他社が販売を担当していた映画等の映像作品を自身の手で販売する事としました。しかし2007年9月にはその販売をジェネオンへ委託し関係を深め、2008年11月に電通から株式の過半数を取得しUPJとジェネオンの合併を発表、2009年2月に正式に合併し商号も「ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントジャパン合同会社」と改めました。既に触れました通りUPJを含む「ヴィヴェンディ・ユニバーサル」の映画娯楽部門「ヴィヴェンディ・ユニバーサル・エンタテインメント」は2004年にNBCに売却・合併し「NBCユニバーサル」となっており、この合併でジェネオンはNBCグループ系列の傘下に入る事となりました。後に2013年12月には社名を「NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン合同会社」に変更、2016年には関係会社としてジェネオンの名が残っていた「ジェネオン音楽出版合同会社」も合併し、ジェネオンの名前は歴史を終える事となります。また「RONDO ROBE」もアニメのレーベルとしての仕様は2010年代前半ほどまでとなり、ジェネオンの名が社名から消えると共に消えていく事となります。なお以下本文中のレーベル名はジェネオン・ユニバーサル時代を含めて「NBCユニバーサル」と表記します。
もう一つ大きな変化となったのがワーナー日本法人のTVアニメ参入に伴う関係者の移籍です。これについては次のワーナーの項で詳しく触れますが、看板アーティストであった
KOTOKOがNBCユニバーサルから移籍し同時にI'veからの独立を発表※専属から外れただけで関係が決裂したわけでは無く、その後も楽曲提供の関係にあります。、さらに川瀬浩平、中山信宏、川村明廣と言った主力プロデューサーの多くがワーナーに移籍する事となります。またジェネオン時代のアーティストも石田燿子や高橋洋子といったベテラン勢の他レーベル移籍、樹海の活動休止(2008年)、タイナカサチの自主レーベル移籍(2010年)、ELISAの活動休止及び移籍(2011年)、島みやえい子(2011年)及び詩月カオリ(2013年)のI've及び自主レーベル活動、MELLのI've卒業及び活動休止(2013年)等所属アーティストの多くが2014年までにレーベルを離れ、残っていた数少ないアーティストである川田まみもTVアニメ「東京レイヴンズ」後期ED「Break a spell」 TVアニメ「蒼の彼方のフォーリズム」OP「Contrail〜軌跡〜」等の主題歌を担当しましたが2016年1月の「リスアニ!Live」でアーティスト活動の引退を発表、同年5月のファイナルライブで引退しました。ただし楽曲提供等の活動は続けています。
一方で新たなアーティストが次々とデビューし、NBCユニバーサル時代の新たな看板アーティストとなっていきます。
NBC時代の代表的なアーティストが音楽ユニット「fripSide」です。fripSideは元々2002年の活動開始後同人音楽やPCゲームの主題歌を主に活動しており、当初はプロデューサーの「八木沼悟志」とボーカルの「nao」の二人で活動していました。しかし2009年にnaoが脱退し一時活動休止、その後新ボーカルとして「D.C.II」や「CANAAN」等に出演していた声優の「南條愛乃」を迎え活動を再開し、同年11月に「とある科学の超電磁砲」OP「only my railgun」でNBCユニバーサルからメジャーデビューをする事となります。※これ以前にnaoがボーカルを担当していた時代にアニメ「恋姫†無双」OP「flower of bravery」で5pb.Recordsからメジャーデビューしているがメジャーでのリリースはこの1曲のみでした。その後naoは5pb.Recordsでソロアーティストとして活動する一方、fripSideの楽曲やライブにもゲスト出演しています。公式ではnaoがボーカルをしていた時代を第1期、南條がボーカルをしている現体制を2期としています。
「only my railgun」は初登場オリコンウィークリーチャート3位、9万枚の大ヒット曲となり、その後も「とある科学の超電磁砲」シリーズでは「LEVEL5-judgelight-」「sister's noise」「eternal reality」等の楽曲が全ての作品で主題歌を担当し、「sister's noise」はウィークリーチャート1位を獲得するまでになりました。他作品でも「劇場版ハヤテのごとく! HEAVEN IS A PLACE ON EARTH」主題歌「Heaven is a Place on Earth」、「ブラック・ブレット」OP「black bullet」、「終わりのセラフ 名古屋決戦編」OP「Two souls -toward the truth-」等の主題歌を担当し幅広い人気を獲得する事となります。
ライブにおいては2015年に横浜アリーナで初のアリーナ単独公演を開催し2017年には自身で最大となるさいたまスーパーアリーナ単独公演を開催、アニソンフェスにおいてもAnimelo summer live、ANIMAX MUSIX、リスアニ!Live等数多くのフェスに出演、数少ない「3大アニソンフェス」全てでトリを務めた事のあるアーティストとなり、その人気を確固たるものとしました。
またfripSideでボーカルを担当している「南條愛乃」はfripSideとしての活動と共に声優としても「探偵オペラ ミルキィホームズ」「ラブライブ!」「戦姫絶唱シンフォギア」等のヒット作品に次々出演するだけでなく、2013年11月、「東京レイヴンズ」ED「君が笑む夕暮れ」でソロアーティストとしてもNBCユニバーサルからデビューしました。他には「あなたの愛した世界」「黄昏のスタアライト」「きみを探しに」等のTVアニメ「グリザイア」シリーズの主題歌、「ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?」ED「ゼロイチキセキ」等のアニメ主題歌を担当し、ライブでも2017年にはパシフィコ横浜で単独公演を開催する等こちらも順調な活動を行っています。
他に新たにデビューしたアーティストといえば「黒崎真音」です。秋葉原ディアステージ等で活動していた彼女は2010年に「学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD」の毎回変わるEDを全て担当、この曲を収録した「H.O.T.D.」でデビューしました。翌2011年には「とある魔術の禁書目録Ⅱ」ED「Magic∞world」でシングルデビューする事となります。その後も「メモリーズ・ラスト」「Gravitation」「ROAR」等「とある魔術の禁書目録」シリーズの主題歌、「楽園の翼」「刹那の果実」「幻想の輪舞」といった「グリザイア」シリーズの主題歌、他にも「がっこうぐらし!」や「ドリフターズ」等数多くのジェネオン作品の主題歌を担当、NBCを代表するアーティストの一人となっています。
supercellの大ヒット曲「君の知らない物語」のボーカルであったnagiは「やなぎなぎ」として2012年2月に「あの夏で待ってる」ED「ビードロ模様」でメジャーソロデビュー。「ヨルムンガンド」や「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」シリーズ、「凪のあすから」等々数々の作品で主題歌を担当、また2017年にはTVアニメ「ベルセルク」2期EDとして南條愛乃とのコラボシングル「一切は物語」をリリースし※正式には南條のシングルでありやなぎなぎはfeatとして参加する扱いである。、また他社のアーティストへの楽曲提供をするなど単独に留まらない幅広い活動をしています。
同じく「あの夏で待ってる」の主題歌でデビューしたのが「Ray」です。同作品のOP「sign」でデビューした彼女は「To LOVEる -とらぶる- ダークネス」や「凪のあすから」等の主題歌を担当しましたが残念ながら2017年7月のライブを最後に引退する事となりました。なお彼女の楽曲の多くは高瀬一矢や中沢伴行、川田まみといったI've所属のクリエイターやアーティストからの提供が多くありましたが、他のクリエイターやアーティストからも提供を受ける事もあり、I'veには所属する事無く活動していました。
他には2011年から14年まで所属し乙女ゲーム「薄桜鬼」及びこの作品のアニメ版の主題歌を数多く担当した「吉岡亜衣加」、2015年11月にメジャーデビューし「ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?」「うらら迷路帖」「ゲーマーズ!」等の主題歌を担当するアイドルグループ「Luce Twinkle Wink☆」等がいます。
男性アーティストとしてはニコニコ動画の歌い手出身の「Gero」が「BROTHERS CONFLICT」OP「BELOVED×SURVIVAL」や「東京レイヴンズ」後期OP「〜Outgrow〜」を担当し、同じく歌い手のそらるとまふまふの二人によるユニット「After the Rain」が「アトム ザ・ビギニング」OP「解読不能」や「クロックワーク・プラネット」ED「アンチクロックワイズ」等を担当しました。
また作品ユニットとしては「乃木坂春香の秘密」の「N's」の「ひとさしゆびクワイエット!」、「ゆゆ式」の「情報処理部」の「せーのっ!」、「ご注文はうさぎですか?」の「Petit Rabbit's」の「Daydream café」や「チマメ隊」の「ぽっぴんジャンプ♪」といったユニットが担当した主題歌は好評を博し、またユニット名はありませんが「迷い猫オーバーラン!」のOP「はっぴぃ にゅう にゃあ」は電波ソングとして好評を博しました。
2018年2月3日、パイオニアLDC時代から数えてアニメ事業25周年を迎えたこの年、NBCユニバーサルは初の自社単独となるアニソンフェス「NBC Universal ANIME×MUSIC FESTIVAL」を開催しました。出演アーティストにはfripSide、南條愛乃、黒崎真音、やなぎなぎ、Luce Twinkle Wink、Gero、After the rainといったNBCユニバーサルで活動中のアーティストだけでなく、当時ワーナーに所属していたKOTOKO、日本コロムビアで主に活動をしている石田燿子、自主レーベルで活動をしているタイナカサチ(タイナカ彩智と改名)、NBCとは縁が深くワーナーに所属し活動休止中であるALTIMA、既に引退していた川田まみ、「ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて」のOPを担当していた桃井はるこ等NBCと縁深いアーティストが数多く出演しました。またシークレットとして「劇場版ハヤテのごとく!」で声優デビューし挿入歌を担当していた「山崎はるか」と「ラブライブ!」等に出演し既に徳間ジャパンコミュニケーションズでアーティスト活動をしていた「飯田里穂」がシークレットで出演しNBCからのソロデビューと移籍を発表、さらにKOTOKOがNBCへの復帰を、川田まみが中沢伴行との結婚と出産まで発表する等様々な盛り上がりを見せました※中沢は既に2017年8月にI'veから卒業・脱退している。。
「山崎はるか」は同年5月にTVアニメ「魔法少女サイト」ED「ゼンゼントモダチ」でソロデビューし、「飯田里穂」はTVアニメ「寄宿学校のジュリエット」ED「いつか世界が変わるまで」で移籍後初のアニメ主題歌を担当しました。またKOTOKOは久々となるI'veの高瀬一矢プロデュースアルバム「tears cyclone -廻-」を発表する等移籍・デビュー組も活発に活動し、fripSide、黒崎、南條、やなぎなぎらそれまでの所属アーティストもそれぞれアニメ主題歌のタイアップやライブ活動などを行っています。
ここまで見た通りNBCはアーティストの入れ替えがかなり激しく、名前を含めて数度の大きな変化を迎えたレーベルではあります。
しかしながらこの新しいものを取り入れながらも古き歴史を大切にするやり方が、NBCを人気レーベルにのし上げてきた一因でもあると思います。
1-2:NBCユニバーサルのアニソンアーティスト
・石田燿子:05、06、08、16
※パイオニアLDC→ジェネオンへの在籍は2000年~2008年まで、以後日本コロムビアを中心に活動、16年はジェネオン関係楽曲は歌唱せず
・樹海:07
※2008年活動休止
・可憐Girl's:08
※2009年解散
・ELISA:08、09、10、11
※2011年に活動休止後、2013年にソニー系列に移籍し活動再開
・福山芳樹:詳細は4-2:トリ担当アーティストその1(2005~12)参照
・fripSide:詳細は4-3:トリ担当アーティストその2(2013~17)参照
・KOTOKO:10、16
※2011年~18年までワーナー所属、10年はシークレット出演、出演時一部楽曲はランティス、16年出演時はNBC関係曲は歌唱せず
・黒崎真音:11、12、13、14、15、16、17、18、19
・川田まみ:12、15
※2016年に引退
・Ray:12、13、15
※2017年引退、一部楽曲はワーナー系列からのリリース
・Gero:13
・流田Project:14
※主な活動はNBCであるが、アニメタイアップ曲及びアニサマ出演時の14年は日本コロムビアからのリリース楽曲である
・南條愛乃:詳細は4-3:トリ担当アーティストその2(2013~17)参照
・山崎はるか:18
2-1:ワーナーとアニメソングの歴史
「ワーナーブラザースジャパン合同会社」はNBCと同じく外資系企業のアニソンレーベルでありますが国産レーベルを買収したNBCに対してワーナーは元々外資系企業がアニソンレーベルを始めたという点で異なります。
アニソンレーベルとしての歴史が始まったのは2011年とかなり最近でありますが、ワーナーそのものの歴史は1918年にアメリカのハリウッドにワーナー4兄弟の3男、サム・ワーナーが映画スタジオ「ワーナー・ブラサース・スタジオ」を構えた事から始まり、23年には企業としての「ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ」が設立されます。その後40年代に至るまでワーナーはアメリカ映画界の雄でありましたが40年代末から映画事業での不振が始まり、1967年には同業者である「セブン・アーツ・プロダクションズ」に買収され、さらに1969年には複合企業「キニー・サービス」に買収、1972年には映像・娯楽産業部門が独立して「ワーナー・コミュニケーションズ」と改名しました。その中でTV番組制作、音楽事業、ケーブルテレビ事業等様々な分野に手を広げていきます。
そんな中1989年ワーナーは世界的出版社であるタイム社と合併、大マスメディア企業「タイム・ワーナー」が誕生します。1995年にはテレビ局CNNを買収する等規模を拡大していきますが、2000年には大手インターネットサービス会社AOLに買収され社名もAOLタイム・ワーナーと変更になります。しかしITバブルの崩壊によるAOLの業績不振により社名はわずか2年で元に戻りAOLは社内の1部門に転落、2009年には正式に分離する事となります。
その後も2013年に出版部門としてのタイム社が分社化、17年には売却する事となりました。そして2018年にはアメリカの最大手通信会社「AT&T」に買収され社名を「ワーナーメディア」と変更する事となりました。こういった様々な変化を経て、ワーナーはアメリカでも最大級のメディアの一つとなっています。例えばバットマンやスーパーマン等のキャラクターで知られる「DCコミックス」はワーナー系列の出版社です。
さてそんなワーナーが日本市場に参入したのは1-1でも話しましたが、1970年にパイオニア・ナベプロ両社と共同で設立しました「ワーナーブラザース・パイオニア株式会社」から始まります。しかし1991年までにパイオニアとナベプロが撤退し91年にはワーナーの100%子会社「ワーナーミュージック・ジャパン株式会社」が誕生します。翌年92年には映画・ビデオ事業を担当する新会社「タイムワーナーエンターテイメントジャパン株式会社」が設立され2002年にはこの両会社と関係会社である株式会社イーストウェスト・ジャパンの3社が合併、「ワーナーエンターティメントジャパン株式会社」が設立します。しかし今度は2004年に親会社であるタイム・ワーナーの音楽部門が売却され、名前だけワーナーの別資本会社「ワーナー・ミュージック・グループ」として独立します。ちなみに0でも触れた通りこの時ワーナーの音楽部門を買収したのはシーグラム社長、ヴィヴェンディ・ユニバーサル元副会長であるエドガー・ブロンフマン・ジュニアです。これによりワーナーエンターティメントジャパンからも音楽部門が切り離され「ワーナーミュージック・ジャパン」という別資本会社が設立しました。2011年にワーナー・ミュージック・グループはアメリカの複合企業アクセス・インダストリーズに買収され、現在はNBCユニバーサル、ソニーに並ぶ世界の3大音楽レーベルとなっています。ちなみにこちらのワーナーミュージック・ジャパンに所属するアニソン関係者には2-3のソニーの項でも触れた「椎名へきる」、「けものフレンズ」等に出演する声優の「尾崎由香」、山寺宏一、関俊彦、日高のり子のベテラン声優ユニット「バナナフリッターズ」といった面々がおり、また「TWO-MIX」も90年代後半から00年代前半の一時期所属しており、「名探偵コナン」のOPであった「TRUTH〜A Great Detective of Love〜」がリリースされたのはこの所属時期でした。
さて本家ワーナーに話を戻します。2011年にタイムワーナーエンターテイメントジャパンはテレビ向け映像制作部門である「ワーナー・ホーム・ビデオ」をアニメ・音楽制作に算入させ、音楽レーベルとしての「ワーナー・ホーム・ビデオ」も設立します。1-1でも触れました通りこの時川瀬浩平、中山信宏、川村明廣と言ったNBCの主力プロデューサーの多くがワーナーに移籍しました。また作品・アーティスト共にNBCと関係の深いものが多く制作される事となります。
ワーナー所属アニソンアーティストの第一号となったのは同じくワーナー制作アニメ第一号である「ロウきゅーぶ!」から誕生した声優ユニット「RO-KYU-BU!」です。同作に出演した花澤香菜、井口裕香、日笠陽子、日高里菜、小倉唯5人の人気声優による同作品のOP「SHOOT!」とED「Party Love〜おっきくなりたい〜」でデビューし2013年の続編「ロウきゅーぶ!SS」でもOP「Get goal!」ED「Rolling! Rolling!」を担当しました。なおなお2013年にはさいたまスーパーアリーナで単特ライブを開催しましたが、これは当時の作品ユニットとしては異例の事でした*7。
この年のAnimelo summer liveで結成が発表されたワーナーのアーティストが「ALTIMA」です。このユニットはNBC所属の黒崎真音(MAON)がボーカル、fripSideの八木沼悟志(sat)がキーボード、m.o.v.e.のmotsuがラップを担当するユニットであり、2011年のアニメ「灼眼のシャナIII-FINAL-」の前期ED「I'll believe」でデビューし、同作品の後期ED「ONE」、「アクセル・ワールド」後期OP「Burst The Gravity」、「ストライク・ザ・ブラッド」後期OP「Fight 4 Real」等の主題歌を担当、特に「Burst The Gravity」はラップや空耳歌詞などもありヒットしました。また2016年には映画「アクセル・ワールド INFINITE∞BURST」の主題歌「PLASMIC FIRE」を同時ワーナーに所属していたKOTOKOとのコラボユニット「KOTOKO×ALTIMA」として担当しました。この年のAnimelo summer liveで活動休止を発表しましたが1-1のNBCフェスで限定復活する等、再度の活動を期待する人も多くいるユニットです。
この「アクセル・ワールド」でヒロインを演じ、同作の後期ED「ユナイト」でアーティストデビューしたのが「三澤紗千香」です。その後「劇場版 とある魔術の禁書目録 -エンデュミオンの奇蹟-」「とある科学の超電磁砲Ⅱ」「白銀の意志 アルジェヴォルン」といった作品の主題歌を担当しましたが近年ではアーティスト活動が見られず、2020年にユニバーサルミュージックへの移籍が発表されました。
この三澤の「ユナイト」を作詞し、またワーナーに所属していたアニソンアーティストが「分島花音」です。チェリストでもある彼女は演奏と歌唱を組み合わせた楽曲に定評があり、以前はソニー系列のデフスターレコーズに所属して「ヴァンパイア騎士」シリーズの主題歌などを担当していましたが2012年にワーナーに移籍、TVアニメ「To LOVEる -とらぶる- ダークネス」ED「ファールプレーにくらり」で再デビュー、その後「ストライク・ザ・ブラッド」シリーズや「selector」シリーズ、「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」シリーズ等の主題歌を担当、またワーナーや他レーベルの作品やアーティストへの楽曲提供なども行っていましたが、2019年にはフリーでの活動に転向しました。
ここまで見てきたアーティストは皆現在活動休止中や移籍した人達ですが、もちろん現役で活動しているアーティストも多くいます。ワーナー所属のアニソンアーティストで有名なのが「岸田教団&THE明星ロケッツ」です。このバンドはリーダーである岸田が元々2000年代から同人音楽サークル「岸田教団」として活動しており、ライブイベントに出演する際にバンドメンバーを集め「岸田教団&THE明星ロケッツ」を結成、その後も現在まで同人音楽活動を続けていくと共に2010年、ジェネオン・ユニバーサル(当時)から同名のTVアニメのOPである「HIGHSCHOOL OF THE DEAD」でデビューします。2013年にはワーナーに移籍しこちらも同名のTVアニメのOPである「ストライク・ザ・ブラッド」でワーナー移籍後初のアニメ主題歌を担当します。その後も「ストライク・ザ・ブラッド」シリーズでは全シリーズで主題歌を担当し、他にも「GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」「ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン」「とある科学の超電磁砲T」等の主題歌を担当しています。「リスアニ! Live」や「ANIMAX MUSIX」といったアニソンフェスにも数多く参加し、「Animelo Summer Live 2020(2021)」にも出演予定である等アニソン界きってのロックバンドとしての地位を確立しています。
「RO-KYU-BU!」メンバーからソロアーティストとしてデビューしたのが「井口裕香」です。既に「とある魔術の禁書目録」シリーズや「物語」シリーズなどに出演する人気声優であった井口は2013年に自身が出演する「劇場版 とある魔術の禁書目録 -エンデュミオンの奇蹟-」のイメージソング「Shining Star-☆-LOVE Letter」でデビュー。その後も「とある科学の超電磁砲Ⅱ」「とある魔術の禁書目録Ⅲ」「selector」シリーズ、「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」シリーズ等ワーナーアニメの多くの主題歌を担当しています。
2015年にアーティストデビューしたのは既に大人気声優であった「早見沙織」です。キャラクターソングでの歌唱力から以前からアーティストデビューを切望する声も多かった早見は自身が主演するアニメ「赤髪の白雪姫」OP「優しい希望」で初のアニメ主題歌を担当し、その後も映画「劇場版 はいからさんが通る」「カードキャプターさくら クリアカード編」等ワーナー作品内外での主題歌を担当、ライブでは声優アーティストには珍しい盛り上がりだけではなくじっくりと聴かせるタイプに定評があり2019年には東京国際フォーラムAで単独公演を開催するほどになります。
他にも「selector」シリーズの主題歌や澤野弘之の楽曲ボーカルとして「進撃の巨人」「キルラキル」「鋼鉄城のカバネリ」等の作品に参加している「Cyua」や「コネクト」「crossing field」「ユニバーページ」等数多くのアニソンを製作している渡辺翔がベーシスト・アーティストでこちらも様々なアニソンを製作しているキタニタツヤ、「モブサイコ100」の主題歌アーティスト「MOB CHOIR」としてデビューした歌手sanaの3人により結成され「モブサイコ100 II」や「とある科学の一方通行」等の作品の主題歌を担当するユニット「sajou no hana」等がワーナーには所属しています。
また「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズのTVアニメ版もワーナーが製作していますが「富永TOMMY弘明」の「ジョジョ 〜その血の運命〜」や「Coda」の「BLOODY STREAM」等の主題歌もシリーズを通してワーナーが担当しています。※橋本仁やハセガワダイスケのように他社から楽曲をリリースしているアーティストもいる。
先ほども書きました通りワーナーは「灼眼のシャナ」「とある」シリーズ等のNBC制作作品の主題歌に多く参加し岸田教団&THE明星ロケッツのようにNBCから移籍するアーティスト、ALTIMAのようにメンバーの一部がNBCでも活動しているアーティスト、KOTOKOのようにジェネオンから移籍しまた戻っていくアーティストもいる等NBCとは競合会社である一方協力関係にもあります。またワーナーの組織自体も2014年に「ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント」、16年には「ワーナー ブラザース ジャパン合同会社」と改称され、2020年にはアメリカのワーナーとユニバーサル双方の本社がソフトの流通販売を統合する事により、日本でもNBCがワーナーの映像販売を担当する事となります。今後のこの2社の関係性は続いていく事となるでしょう。
2-2:ワーナーのアニソンアーティスト
・RO-KYU-BU!:11
※2013年に事実上解散
・ALTIMA:11、12、14、16
※11でシークレット出演及び結成発表、16での出演を最後に活動休止を発表
・三澤紗千香:12、13、14
※2020年にユニバーサルミュージックへ移籍
・富永TOMMY弘明:13
・Coda:13
※13はシークレット出演
・橋本仁:14
・井口裕香:15、16、【20】
・分島花音:15
※2019年にフリーとなる
・JO☆STARS〜TOMMY,Coda,JIN〜:15
・早見沙織:16、17、18
・THE DU:16
・batta:16
・岸田教団&THE明星ロケッツ:【20】
3-1:日本コロムビアとアニメソングの歴史
今回の前二社は外資系かつ比較的若いレーベルですが、次に紹介します「日本コロムビア」はアニメソングレーベルとしても、そして日本の音楽レーベルとしても110年の歴史を誇る老舗中の老舗です。
日本コロムビアは1910年、蓄音機※最初期のレコードプレーヤーとレコードの販売会社「株式会社日本蓄音器商会」として誕生しました。1926年にはイギリスの、27年にはアメリカのコロムビア・レコードと契約し輸入レコードの販売を販売を開始※米英のコロムビアは買収によりソニー系列のレーベルとなっている。日本コロムビアは、28年には商号を現在の「日本コロムビア」に変更しました。戦時中の「日蓄工業株式会社」への商号変更を経て戦後の1946年に名前を戻し、戦後初のヒット曲となった「リンゴの唄」を始め演歌・歌謡曲を中心に日本音楽界の大手レーベルとして君臨しました。
そんな日本コロムビアがアニメソングレーベルに参戦したのは1965年、「ジャングル大帝」の主題歌である三浦弘*8「ジャングル大帝のテーマ」です。漫画の神様・手塚治虫の代表作の一つであり日本初の本格カラーテレビアニメシリーズとして日本のアニメの歴史に大きく名を残すこの作品は、アニメソングの歴史においてもコロムビアのアニメソング第一号として大きな意味を持ちました。
その後も1966年の「魔法使いサリー」、67年の「黄金バット」「リボンの騎士」「ゲゲゲの鬼太郎」、68年の「巨人の星」「妖怪人間ベム」、69年の「秘密のアッコちゃん」「紅三四郎」「ハクション大魔王」「アタックNo.1」とどれも日本のアニメの歴史において外せない作品の主題歌を担当していきます。70年代に入ってもこの勢いは変わらず、70年の「あしたのジョー」「みなしごハッチ」「いなかっぺ大将」、71年の「ルパン3世」「原始少年リュウ」、72年の「科学忍者隊ガッチャマン」「デビルマン」「マジンガーZ」、73年の「バビル2世」「人造人間キャシャーン」「キューティーハニー」、74年の「ゲッターロボ!」「グレートマジンガー」「アルプスの少女ハイジ」「魔女っ子メグちゃん」「宇宙戦艦ヤマト」、75年の「フランダースの犬」「勇者ライディーン」、76年の「キャンディ・キャンディ」「超電磁ロボ コン・バトラーV」、77年の「超電磁マシーン ボルテスV」、79年の「闘将ダイモス」」「銀河鉄道999」「サイボーグ009(第二作)」・・・名前を挙げていくだけでもそのすごさがわかる作品達です。そしてこれらの主題歌を担当する歌手が、黎明期のアニソンアーティスト(当然当時はそんな言葉はありませんでしたが)として現在まで続くアニソン業界の礎、そして今なお精力的に活動するレジェンドとなっていきます。なおこの後作品名と同名の主題歌が多くありますので同名の主題歌は『』で表記して略します。
最も初期から活躍しているのが「前川陽子」です。1963年にNHKの人形劇『ひょっこりひょうたん島』の同名主題歌で歌手デビューし、1966年にTVアニメ「レインボー戦隊ロビン」ED「すてきなリリ」で初のアニメ主題歌を担当、その後『リボンの騎士』OP、「魔法使いサリー」ED「魔法のマンボ」、『キューティーハニー』OP、『魔女っ子メグちゃん』OP等数多くの少女向けアニメの主題歌を担当し女性アニソンシンガーの基礎を作りました。
同じくアニメソング初期から現在に至るまで活躍し「アニメソングの女王」と呼ばれるのが「堀江美都子」です。彼女は1969年に『紅三四郎』の主題歌でデビューし、「超電磁マシーン ボルテスV」OP「ボルテスVの唄」のような少年向け作品から『キャンディ♥キャンディ』『花の子ルンルン』といった少女向け作品、「ハクション大魔王」主題歌「アクビ娘」*9のように男女双方向けの作品と幅広い作品を担当しています。特に「キャンディ♥キャンディ」は120万枚の大ヒット曲となり、その人気を確かな物としました。その後も90年代から00年代に至るまで様々な作品の主題歌や挿入歌を担当しています。また1978年にはTVアニメ「宇宙魔神ダイケンゴー」で主題歌を担当すると共にヒロイン役で声優としても出演、その後も「家なき子レミ」「愛少女ポリアンナ物語」等の作品に声優としても出演、「ひみつのアッコちゃん(第二作)」「Dr.スランプ アラレちゃん」のように主題歌や挿入歌を担当する作品も多くあります。近年でも「リトルウィッチアカデミア」「りゅうおうのおしごと!」等の作品に出演しており、初の声優アーティストとも言えます(現在の声優が歌手デビューするという形では無く、歌手が声優としても活動するという形ではありますが)。
64年にデビューした「大杉久美子」はそれまで様々な名義で歌謡曲の歌手として活動していましたが69年に『アタックNo.1』で初のアニメソングを担当、その後『エースをねらえ!』や「アルプスの少女ハイジ」「フランダースの犬よ」「あらいぐまラスカル」等の作品の主題歌を担当しましたが、最も有名なのは「ドラえもんのうた」です。その後もアニメソング・一般双方を問わず数多くのアーティストに歌われる曲ですが、オリジナル版の歌唱者は彼女です。
コロムビアを代表する男性アニソンシンガーと言えば「アニメソングの帝王」、そして「アニキ」こと「水木一郎」です。当初歌謡曲歌手として活動していた水木は1971年「原始少年リュウ」OP「原始少年リュウが行く」でアニメソング歌手デビューし、『マジンガーZ』は70万枚の大ヒット曲となり現在に至るまで水木の象徴的な叫びである「ゼェェェェェェット!!」と共に代表曲となりました。他にも「グレートマジンガー」「バビル2世」「鋼鉄ジーグ」「超電磁ロボ コン・バトラーV」「宇宙海賊キャプテンハーロック」「ルパン三世」等に本を代表する数々の大人気アニメの主題歌を担当、それはアニメソング歌手としてのデビューからわずか4年間で約150曲、累計600万枚の売り上げとなりコロムビアだけでなく日本のアニメソングを代表する存在となりました。
また水木がアニメソング歌手となる事を進めたのがコロムビアで堀江美都子の担当であった木村英俊プロデューサーであった事等堀江との縁が深く、「超電磁マシーン ボルテスV」では堀江がOPを、水木がED「父をもとめて」を担当し、「マグネロボ ガ・キーン」「ドカベン」「主破邪大星ダンガイオー」等の作品ではデュエットで主題歌を担当しています。
また水木は「超人バロム・1」「人造人間キカイダー」「快傑ズバット」等の特撮作品の主題歌も多く担当していますが、その中でも「仮面ライダーシリーズ」の主題歌を多く担当しています。現在まで続く仮面ライダーシリーズが始まったのは水木がアニソン歌手となったのと同じ1971年ですが、日本コロムビアは初代「仮面ライダー」から2001年の平成シリーズ第二作「仮面ライダーアギト」まで30年間作品の主題歌を担当しており※2002年の「仮面ライダー龍騎」からはエイベックスが主題歌を担当している。、その中で水木は「仮面ライダーX」「仮面ライダーストロンガー」「スカイライダー」の3作で主題歌を、挿入歌を含めれば7作に関わっています。
90年代に入るとアニメソングへのJ-POPの進出に対抗するかの如くベテランアニソン歌手と共に精力的にライブ活動を開催、1997年にはロボットアニメの主題歌を歌うアーティストによるアニソンフェス「ROBONATION SUPER LIVE '97 SUMMER」を開催、翌年からは「スーパーロボット魂」として毎年開催しています。また1999年には現在でも珍しいゴールデンタイムでのアニメソング番組「快進撃TV うたエモン」にたびたび出演し8月には同番組の企画で「24時間1000曲ライブ」を開催、2000年には後輩と共に「JAM Project」を結成、初期メンバーとして活動しました。現在ではバラエティー番組での「ゼェェェェェェット!!」シャウトでも有名ですが、昔から今まで数多くのアニメ・特撮ソングの第一人者としての立ち位置と精力的な活動に変わりはありません。
水木と同じくコロムビアを代表する男性アニソンシンガーが「ささきいさお」です。元々1950年から歌手として活動し、1960年からは俳優として数多くのドラマや映画に出演していたささきは1968年、映画「燃える平原児」の吹き替えで声優デビューし72年には「科学忍者隊ガッチャマン」でアニメ作品に初出演しており、アニメソング歌手としてのデビューは翌年1973年の「新造人間キャシャーン」OP「たたかえ!キャシャーン」となります。その後も『ゲッターロボ!』『大空魔竜ガイキング』等数多くのヒット作の主題歌を担当し、特に『宇宙戦艦ヤマト』『銀河鉄道999』の二作の主題歌は100万枚のセールスとなりました。また1975年に始まった「スーパー戦隊シリーズ」第一作「秘密戦隊ゴレンジャー」OP「進め! ゴレンジャー」を堀江美都子とコロムビアゆりかご会と共に担当、さらにED2曲もこおろぎ'73と共に担当しました。その後も「宇宙戦艦ヤマト」シリーズやウルトラシリーズの主題歌などアニメ・特撮ソングや俳優・声優業等様々な仕事を現在に至るまで続けており、80歳に近い現在でも活動を続けています。
コロムビアにはささきと同様に特撮作品の主題歌も歌うアニメソング歌手が多くいます。「串田アキラ」は「キン肉マン Go Fight!」を始めとする「キン肉マン」や「トリコ」OP「ガツガツ!!」「豪食マイウェイ!!」等のアニメ主題歌で有名ですが、同じく『太陽戦隊サンバルカン』等スーパー戦隊シリーズの主題歌・挿入歌、『宇宙刑事ギャバン』『宇宙刑事シャリバン』『宇宙刑事シャイダー』等メタルヒーローシリーズの主題歌といった数多くの特撮作品の主題歌を担当しています。なお「串田あきら」名義で初めてアニメ主題歌を担当した「戦闘ロボ ザブングル」OP「疾風ザブングル」はキングレコードからのリリースです。
他にも『超電子バイオマン』『仮面ライダーBLACK RX』等の戦隊・ライダー作品や『特警ウインスペクター』『特救指令ソルブレイン』『特捜エクシードラフト』といった『レスキューポリスシリーズ』等の特撮作品に『ビデオ戦士レザリオン』『銀牙 -流れ星 銀-』等のアニメ主題歌を歌う「宮内タカユキ」、「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」OP「ウィニング・ラン! -風になりたい-」や「J9シリーズ」等のアニメ主題歌や、「百獣戦隊ガオレンジャー」OP「ガオレンジャー吼えろ!!」等数多くのスーパー戦隊シリーズの主題歌・挿入歌を担当した「山形ユキオ」等のアーティストがいます。
しかしその中でも世界的に有名なのがこのシリーズでも何回も名前が出ています「影山ヒロノブ」です。1-1で触れましたように「LAZY」が解散した後、影山はソロ活動を行っていましたが動員も落ち込み、ノーギャラのライブ歌い続けアルバイトで食いつないでいたという現在の日本を代表するアニソンシンガーからは考えられない生活でした。そんな中1985年、「KAGE」名義でスーパー戦隊シリーズの第9作『電撃戦隊チェンジマン』の主題歌を担当する事で初のアニメ・特撮主題歌を担当する事となります※当時コロムビアはこの先影山がロックシンガーとしての路線を進む場合この経歴がイメージと異なる影響を与える事を考慮してこの曲の時のみ別名義としました。。当時コロムビアは世間的にロックのニーズが高まっている中、子供向け番組にもロック調を取り入れる必要があるとしてロックバンドの歌手としての経験を積んでいた影山を主題歌アーティストとして選びました。影山は初めてとなる子供向け作品の曲に苦戦しましたが、これが後のアニソンシンガーとしてのヒットにつながっていく事となります。
翌1986年には初のアニメ主題歌となる「宇宙船サジタリウス」OP「スターダストボーイズ」ED「夢光年」を担当*10、なおこの当時影山は日本コロムビアではなく徳間音楽工業*11に所蔵していました。、87年には『光戦隊マスクマン』で再び戦隊シリーズ主題歌を担当します。88年にはBROADWAYと共に当時大ヒットしていた週刊少年ジャンプの漫画を原作としたアニメ「聖闘士星矢」の後期OP「聖闘士神話 〜ソルジャー・ドリーム〜」を担当、「LAZY」時代からの女性ファンだけでなく男性ファンからも大きな人気を獲得します。また影山もこのころからこれまでのファンだけでなくアニメのファンの事も考え、ライブでもアニメソングを多く歌い、さらに人気やライブの盛り上がりが高まっていったという話もあります。
そして1989年には同じくジャンプ漫画「ドラゴンボール」のアニメ版の2期である「ドラゴンボールZ」OP「CHA-LA HEAD-CHA-LA」を担当。「ドラゴンボール」自体の大ヒットも手伝いこの曲は170万枚の大ヒットとなり、当然ながら影山最大のヒット曲でかつ日本を代表するアニメソングの一つとなりました。またドラゴンボール自体が世界各地で放送され大ヒットした事により世界各国でカバーされ、アニメソング作曲家の田中公平が「世界で知名度の高い日本の三大アニソンの一つ」と言うように世界的なヒット曲となりました。その後も影山は「ドラゴンボールZ」後期OP「WE GOTTA POWER」ED「僕達は天使だった」等TVアニメ、劇場版、ゲーム版等様々な媒体で主題歌を担当し、その数は25曲にも上ります。
91年には再びスーパー戦隊シリーズ「鳥人戦隊ジェットマン」の主題歌を担当、この主題歌や挿入歌を収録したアルバムはこの年のゴールドディスク大賞・アルバム大賞学芸部門受賞し、その後も「爆走兄弟レッツ&ゴー!! 」「真(チェンジ!!)ゲッターロボ 世界最後の日」「忍風戦隊ハリケンジャー」等の主題歌を担当し、現在に至るまで精力的に活動しています。自身の代表曲とそのアニメが海外でも大人気である事から世界各地でのライブへ出演する事で世界へ日本のアニメソングを伝える役割の中心を担い、2000のJAM Project結成には最初期からメンバーとして参加し02年に水木一郎が「非常勤宣言」をした後は事実上リーダーとして活動しています。またAnimelo summer liveの立ち上げについても中心人物の一人として動くなど、アニメソング業界で果たした役割は一アーティストとしての活動に留まらず非常に大きく、時代を動かしてきた人物と言えます。
また影山が主題歌を担当した「聖闘士星矢」「ドラゴンボール」は影山が担当する前にも大ヒットした曲が多くあります。例えば「聖闘士星矢」前期OPであった「MAKE-UP」の「ペガサス幻想」や「ドラゴンボールZ」の初代作品である「ドラゴンボール」OPである「高橋洋樹」の「魔訶不思議アドベンチャー!」等の主題歌は当時から大人気アニメソングであり、時代を経て現在まで数多くのアーティストや声優にカバーされたり、日本以外の世界各国でも人気の曲であります。
また90年代に女の子の間で高い人気を獲得した作品と言えば「美少女戦士セーラームーン」です。同名の少女漫画「なかよし」で連載された漫画を原作としたこのアニメは1992年から97年まで5年間、5シリーズが放送され、当時の少女を中心として年齢・性別を超えた人気を獲得、後のアニメ作品にも大きな影響を与え、映画化・ミュージカル化、00年代には実写ドラマ化等様々なメディアに展開、また海外においても大人気作品となるなど日本を代表する女の子向け作品となりました。このアニメの主題歌と言えば「DALI」の「ムーンライト伝説」であり、同作品を代表し現在に至るまで多くのカバー版が作られ海外でも人気のアニメソングになる等高い人気を獲得しました。*12
またセーラームーンの主題歌と言えば2期「R」のEDであった「石田燿子」の「乙女のポリシー」です*13。「ムーンライト伝説」と並びセーラームーンと言えばこの曲、として知られるアニメソングでありますが、使用されたのはほぼ2期の1年間のみと「ムーンライト伝説」と比較して短期間でした。しかしながらセーラームーン人気もあり30万枚を売り上げる大ヒット曲となり、例によって現在でもカバーされる等人気のアニソンとなりました。石田はその後「ズッコケ三人組」「ビーロボ カブタック」等コロムビア作品の主題歌や挿入歌を担当し、00年代には一時期ジェネオンに移籍した後にTVアニメ「ストライクウィッチーズ」OP「STRIKE WITCHES 〜わたしにできること〜」でコロムビアに再度移籍、その後も「ストライクウィッチーズ」を中心とする「ワールドウィッチーズ」シリーズの主題歌を中心にコロムビアでは活動し、他複数レーベルからも楽曲リリースする等の活動を続けています*14
1999年、TVアニメ「ONE PIECE」の放送がスタートしました。これもまた「ドラゴンボール」と並ぶ週刊少年ジャンプ原作の大ヒット作となりますが、この初代OP「ウィーアー!」でデビューしたのが「きただにひろし」です。きただにはそれまでいくつかのバンドやユニットで音楽活動を経験し99年の夏にはアニメ映画「め組の大吾」ED「Red Darkness」でアニメソング歌手デビューをしており*15、元々この曲の仮歌を担当していましたが、その仮歌自体が気に入られそのまま主題歌担当アーティストとして採用、本格的にアニソンシンガーとしての活動をしていきます。きただにはその後も「ウィーゴー」「ウィーキャン!」*16「OVER THE TOP」等の楽曲でONE PIECEの主題歌を担当し、ライダーシリーズである「仮面ライダー龍騎」のEDを担当していますがこれらの楽曲はエイベックスからのリリースであり、コロムビアの楽曲は「仮面ライダーアギト」「魔法戦隊マジレンジャー」等のイメージソングといった少数に留まっています。また「セイント・ビースト〜聖獣降臨編〜」「ギャラクシーエンジェル」等担当作品のアニメソングもランティスからのリリースが多くを占めており、2002年からメンバーとして加入したJAM Projectもランティスに所属しているなど、現在アニソンシンガーとしての活動拠点はランティスと言ってもいい状態になっています。
2002年に結成された「メロキュア」は当時主にビクターで活動していた「日岡めぐみ」と当時主にスターチャイルドで活動していた「岡崎律子」のユニットです。二人ともアーティスト・作詞作曲家として活動した事から楽曲制作も担当しており、「Agape」等「円盤皇女ワるきゅーレ」シリーズや「1st Priority」等「ストラトス・フォー」シリーズといった作品の主題歌を担当しました。キングレコードの項で触れた通り残念ながら岡崎は2004年5月5日に病気で他界してしまいますが、日向はメロキュアの活動継続を宣言。2005年には未発表曲であった「ホーム&アウェイ」がTVアニメ「奥様は魔法少女」OP主題歌となり、現在でも日向のライブでメロキュアの楽曲が歌われる際には岡崎の分の立ち位置とセットが用意され、2015年にはメロキュアとして初のワンマンライブ開催やAnimelo summer live出演を果たすなど、今でも二人のユニットとして活動を継続しています。
00年代にデビューしたコロムビア新世代の男性アーティストといえば「サイキックラバー」です。98年からロックバンドとして活動していたサイキックラバーはメンバーチェンジを経てボーカルのYOFFYとギターのIMAJOとのデュオバンドとして活動し、03年に「超ロボット生命体「トランスフォーマー マイクロン伝説」のOP「TRANSFORMER -Dream Again-」ED「Never Ending Road」の同時リリースでメジャーデビューし、翌04年、同名のスーパー戦隊シリーズ『特捜戦隊デカレンジャー』が当時の戦隊シリーズ主題歌で最大のヒット曲となり一気に名を高めます。その後も特撮作品では「轟轟戦隊ボウケンジャー」『侍戦隊シンケンジャー』、TVアニメでは「ガイキング LEGEND OF DAIKU-MARYU」「爆丸バトルブローラーズ」「遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX」等の主題歌を担当し、また他アーティストへの楽曲提供も盛んに行っています。
また「谷本貴義」は以前NECインターチャネルに所属し「金色のガッシュベル!!」OP「君にこの声が届きますように」等のアニメ主題歌を担当していましたが2007年に『獣拳戦隊ゲキレンジャー』でコロムビアに移籍、その後「ドラゴンボール」シリーズのリメイク「ドラゴンボール改」の主題歌を担当しています。
そんなコロムビアが代々主題歌を担当しているスーパー戦隊シリーズの主題歌ユニットとして2008年に結成されたのが「Project.R」です。このユニットはメンバーが固定されず過去に戦隊シリーズの主題歌を担当したアーティストやクリエイターが参加、ボーカルを担当するユニットであり結成後からシリーズを通して楽曲ごとに担当するメンバーが次々と増えていき同年の戦隊作品である「炎神戦隊ゴーオンジャー」のOPを担当した「高橋秀幸」、「MAKE-UP」元ボーカルであり『轟轟戦隊ボウケンジャー』『天装戦隊ゴセイジャー』の主題歌を担当した「NoB」、戦隊シリーズの主題歌としては最大のヒット曲となった『魔法戦隊マジレンジャー』の「岩崎貴文」、谷本やサイキックラバーといった今までの戦隊シリーズや「五條真由美」「吉田仁美」※吉田も日本コロムビアでアーティスト活動をしており、イズミカワソラとのユニット「ヒトミソラ」として「我が家のお稲荷様」の主題歌を、早見沙織とのユニット「blue drops」として「そらのおとしもの」シリーズの主題歌を出しており、本人名義でリリースしたアルバムにはこれらの日本コロムビア楽曲に加えマーベラスからリリースされているプリキュアシリーズの主題歌を収録している。「池田彩」といったプリキュアシリーズの主題歌経験者まで30組以上のアーティストが参加しており、2008年の「炎神戦隊ゴーオンジャー」から2018年の「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」まで主題歌や挿入歌を担当しています。
2005年にシリーズが始まり、今年15周年を迎えた「アイドルマスター」シリーズも日本コロムビアと大きな関りがあります。アイドルマスターシリーズは05年のナムコ※バンダイによる合併を経て現在はバンダイナムコエンターテインメントのアーケードゲームから始まり、数多くのTVゲームシリーズ、2011年のTVアニメ版、数多くの派生作品を生み出し日本最大クラスのアニメ・ゲームアイドルコンテンツとなっていますが、所謂初代から現在まで続く本家の「THE IDOLM@STER」(アーティストとしては所謂「765PRO ALLSTARS」、以下「765AS」、以下文中ではシリーズ作品としての「アイドルマスター」と区別するため「本家アイマス」と表記します。)は05年のコンテンツ開始から現在に至るまで日本コロムビアが音楽制作を担当しています。
この本家アイマスは05年のアーケードゲーム版から始まり、2007年に販売された家庭用ゲーム移植版が当時のニコニコ動画ブームと相乗効果を生みネット上で人気作品となり、製作されたTVゲームシリーズが9作、2011年のTVアニメ版、14年の劇場版作品が次々と大ヒット、これらの展開に合わせたCDシリーズは本家アイマスだけで23作がありますが、その大半は日本コロムビアの制作によるものです。声優ユニットとしての「765AS」のライブも年々規模を拡大し、アニメ終了後の2012年には横浜アリーナで単独公演を開催、その年11月までのCD・DVD・BD累計売上は200万枚を突破しました。
2011年にはアイマスシリーズ作品のソーシャルゲーム「アイドルマスターシンデレラガールズ」がサービスを開始し、12年からリリースが開始されたCDシリーズも日本コロムビアが担当しています。同作品も本家アイマスとの相乗効果で高い人気を獲得し2014年から単独ライブを開催、15年にはアニメ化し大ヒット作品となりました。
2013年に展開を開始した「アイドルマスターミリオンライブ!」※こちらとその後展開を開始した「アイドルマスターsideM」「アイドルマスターシャイニーカラーズ」はランティスが楽曲制作を担当、詳しくは2-1を参照。と併せてシリーズ全体の展開規模は拡大し、シリーズ合同ライブ「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!」を2014年2月にさいたまスーパーアリーナで、15年7月には西武ドームで開催しました。1つのコンテンツがこの規模でライブを行うのは当時かなり珍しい事であり、アイドルコンテンツの先駆けとしてのアイドルマスターシリーズの人気と規模が感じられます。*17その後も765ASはほぼ1年ペースで1万人規模の会場でのイベントを開催し*18、シンデレラガールズは2015年にサービスを開始したリズムゲーム「アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ」のヒットもあり2016年にはアイドルマスターシリーズ初のCD売り上げ10万枚超え&オリコンウィークリーランキング1位を獲得、ライブでもSSA単独公演を成功し、2017年の全国アリーナツアー、2018年にはアニメコンテンツ初となるナゴヤドームでの公演を含むドームツアー、2019~20年には当時のアニメコンテンツ史上最大となる24万人の動員と及びアニメコンテンツ初となる京セラドーム大阪での公演・・・と規模だけならば本家アイマスを上回る展開を行っています。しかし本家アイマスも2019年に開催された「バンダイナムコエンターテイメントフェスティバル」では2日目の頭とトリを飾る等、シリーズの精神的支柱としての立ち位置は未だ健在です。なお2020年6月末の時点でアイドルマスターシリーズの楽曲は1033曲製作されており、そのうち日本コロムビア政策楽曲とランティス楽曲はそれぞれ約半数となっています。
日本コロムビアはベテランアニソンシンガーや全日帯アニメ、特撮作品のアーティストには強い一方若者向けの深夜アニメにおいては同じく老舗であるキングレコードや新規勢力であるランティスには遅れている所がありましたが、このアイドルマスターシリーズのブームと同じころから深夜アニメ向けの楽曲やアーティストも増えていく事となります。既に2008年の「ストライクウィッチーズ」や2009年の「そらのおとしもの」シリーズ等がありましたが、2010年代に入ると声優アーティストや新時代のアーティストの動きが活発化していきます。
2012年結成された声優ユニット「sweet ARMS」はTVアニメ「うぽって!!」の主題歌を担当し、出演声優4名から結成され、その後も「デート・ア・ライブ」シリーズや「新妹魔王の契約者」の主題歌を担当しています。また「流田Project」はNBCではアニソンカバーのリリースが中心でしたが日本コロムビアからはオリジナルのアニソンをリリースし、「聖闘士星矢Ω」「ドラゴンコレクション」等の作品の主題歌を担当しました。
変わった組み合わせでは女優・神田沙也加とギタリストであり現在は「月蝕會議」のメンバーとして活動しているギタリストのBilly二人によるユニット「TRUSTRICK」があります。TVアニメ「銃皇無尽のファフニール」OP「FLYING FAFNIR」で初のアニメ主題歌を担当し、その後「俺物語!!」「少年メイド」「ダンガンロンパ3」等の主題歌を担当、黒崎真音とのコラボ等様々な活動をしましたが2016年に活動休止、19年に解散しました。
2010年代から急増した女性声優ソロアーティストにおいても、日本コロムビアは多くのアーティストをデビューさせています。
その第一号が2014年にデビューした「内田彩」です。既に「ラブライブ!」「キディ・ガーランド」等多くのアニメに出演していた内田はこの年アルバム「アップルミント」でデビュー、2年間の間シングルを出さずアニメ主題歌も4年間無いという声優アーティストとしては珍しい活動の中、2016年には日本武道館単独公演を達成、2018年にTVアニメ「お前はまだグンマを知らない」ED「So Happy」で初のアニメ主題歌を担当、その後「百錬の覇王と聖約の戦乙女」「五等分の花嫁」等の作品の主題歌を担当しています。
日本コロムビアの声優アーティストが一気に増えたのは2016年ですが、その年の代表的な声優アーティストが「Machico」です。彼女は2011年のホリプロスカウトキャラバン声優アーティストオーディションでファイナリストとして残り、*19)。2012年にはジェネオン・ユニバーサルからデビューした後にマスタード・レコード*20からカバー曲中心のアルバムを数枚出し、さらに2016年には日本コロムビアから初のアニメ主題歌である「この素晴らしい世界に祝福を!」OP「fantastic dreamer」をリリース。その後活動レーベルを日本コロムビアに一本化し「この素晴らしい世界に祝福を!」のアニメ・劇場版・ゲーム等各作品シリーズ全ての主題歌を担当し、他にも「12歳。〜ちっちゃなムネのトキメキ〜」「りゅうおうのおしごと!」等のアニメ作品の主題歌を担当しています。
同じく2016年には「のんのんびより」「えとたま」等に出演する声優、「村川梨衣」がアーティストデビューしました。既に「アイドルマスターミリオンライブ!」「ご注文はうさぎですか?」等の作品ユニットで経験を積んでおり、以前には「エスカ&ロジーのアトリエ 〜黄昏の空の錬金術士〜」では主演と共に本人名義でOP主題歌「アスイロ」を担当した事もありましたが本格的なアーティスト活動は初となります。彼女は16年6月に「12歳。〜ちっちゃなムネのトキメキ〜」OP「Sweet Sensation」でデビュー。「私がモテてどうすんだ」「フレームアームズ・ガール」「ヒナまつり」等のアニメ主題歌を担当し、2018年にはパシフィコ横浜単独公演を開催しました。
こちらも同じく2016年にデビューしたのが「伊藤美来」です。日本コロムビアでは2014年に「普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。」で初出演し、声優ユニット「流れ川ガールズ」としても主題歌を担当する等縁の深い声優ですが、16年10月に日本コロムビアからアーティストデビューし、2017年5月にはTVアニメ「武装少女マキャヴェリズム」OP「Shocking Blue」で初のアニメ主題歌を担当。その後「りゅうおうのおしごと!」「上野さんは不器用」「プランダラ」等の主題歌を担当。Animelo Summer LiveやANIMAX MUSIX等のフェスにも出演し、2021年にはパシフィコ横浜での単独公演も予定されています。
そして「every♡ing」のメンバー等で音楽活動の経験があった「山崎エリイ」も同じく2016年にデビューしました。デビュー後しばらくアニメ主題歌はありませんでしたが、近年は2018年の「七星のスバル」ED「Starlight」や19年の「デート・ア・ライブIII」ED「Last Promise」等のアニメ主題歌を担当しています。また2019年には自身の新レーベル「Cherii Records」を立ち上げ「Erii」名義での活動もしています。
移籍組としては2017年にフライングドッグから移籍した「悠木碧」がいます。既に「魔法少女まどか☆マギカ」「戦姫絶唱シンフォギア」等に出演する大人気声優である彼女は2012年からフライングドッグでアーティスト活動を開始していましたが2017年に活動を休止した後、同年秋に日本コロムビアから活動を再開。「僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件」OP「永遠ラビリンス」でコロムビアでは初のアニメ主題歌を担当し、その後も「ピアノの森」「インフィニット・デンドログラム」等のアニメで主題歌を担当しています。
近年には「アイカツスターズ!」や「メイドインアビス」に出演する人気声優、「富田美憂」がTVアニメ「放課後さいころ日記」OP「Present Moment」でデビューし、「アイドルマスターシンデレラガールズ」「ウマ娘プリティダービー」に出演する声優「和氣あず未」が2020年にデビュー、「社長、バトルの時間です!」OP「Hurry Love」で初のアニメ主題歌を担当しました。中止となってしまいましたが2020年5月には日本コロムビアに所属する声優アーティストを集めたアニソンフェス「コロちゃんフェス」を予定していました。設立110周年を迎えたレコード会社としてもアニソンレーベルとしても老舗である日本コロムビアはその歴史と新しい挑戦を武器としてこれからも進む事でしょう。
3-2:日本コロムビアのアニソンアーティスト
・影山ヒロノブ:詳細は4-2:トリ担当アーティストその1(2005~12)参照
・石田燿子:05、06、08、16
※2000~2008年はパイオニアLDC→ジェネオンに所属、現在はランティス等複数のレーベルで活動、05年の全て及び06年、08年の一部楽曲はジェネオンの楽曲。08年は一部楽曲が収録されず。16年はシークレット出演。
・サイキックラバー:07、08、09、10、13
・THE IDOLM@STER(アイドルマスター):08、09、11、14、15、19、【20】
※出演者名義は年度によって異なる。
08,09は「(出演者名)~form THE IDOLM@STER」名義、11~15は「アイドルマスター」名義、「如月千早(今井麻美)feat.ピアニート公爵」としてシークレット出演、20は「アイドルマスター 765プロオールスターズ」名義。08年は映像収録されず。
・ささきいさお:11
※11年はシークレット出演、収録されず
・水木一郎:11
※11年はシークレット出演
・アイドルマスターシンデレラガールズ:詳細は4-3:トリ担当アーティストその2(2013~17)参照
・串田アキラ:13
・NoB:13
※13年はシークレット出演
・sweet ARMS:14
・谷本貴義:14
・流田Project:14
・Project.R:14
・堀江美都子:14
※14年の一部楽曲はユニバーサルミュージック
・TRUSTRICK:15、16
※2016年活動休止、2019年解散
・メロキュア:15
※オリジナルメンバーの一人、岡崎律子は故人
・内田彩:15、18
※ZERO-Aとの共同所属
・村川梨衣:16
・Machico:17
・氷川きよし:17、19
※17年はシークレット出演、映像収録されず
・伊藤美来:18、19、【20】
・山崎エリイ:18
※ZERO-Aとの共同所属
・悠木碧:14、18
※14年はフライングドッグに所属、18年は日本コロムビアに所属、一部キャラクターソングはKADOKAWA系列。
・アニメロサマープリンセス from プリンセスコネクト!Re:Dive:19
・富田美憂:【20】
4-1:ユニバーサルミュージックとアニメソングの歴史
ここまで何回も見てきた通り、NBCユニバーサルとユニバーサルミュージックはかつて同会社でしたが、現在は完全に別会社となっています。ユニバーサルミュージックはJ-POPレーベルとしてはメジャーですが、アニソンレーベルとしては比較的印象が薄いかもしれません。ではどういう音楽レーベルなのでしょうか。
日本におけるユニバーサルミュージックの原型は1927年に設立された、世界最長の歴史を持つ音楽レーベルであるドイツのクラシック音楽レーベル、グラモフォンの傘下であるポリド-ル・レコードの国内販売を担当する会社、「株式會社日本ポリドール蓄音器商會」です。この会社は戦後の1950年に「ポリドール蓄音器株式会社」と改名し、1953年にはポリドール・レコードと富士電機製造の出資による「日本ポリドール株式会社」となり、さらに56年には「日本グラモフォン」に改名します。
一方ドイツの本家グラモフォンの持ち株会社である大企業シーメンスはオランダの大企業フィリップスの音楽部門であるフィリップス・レコードと業務提携をし、グラモフォン・フィリップスグループ(DGG/PPIグループ)が誕生します。一方フィリップス・レコードは1966年に日本ビクターレコード内に国内事業部を設立しますが、4年後の1970年に独立し「日本フォノグラム株式会社」を設立します。さらに翌1971年にはDGG/PPIグループが共同出資した新レコード会社「ポリグラム」が誕生し、2社の持つレコード事業を統合させます。1972年にはポリドール・レコードもポリグラムの傘下に入り、これに先立つ1971年11月には日本グラモフォンは「ポリドール株式会社」に社名変更しました。
1987年にシーメンスが音楽事業から撤退するとポリグラムはフィリップスの完全子会社となり、80年代から90年代にかけて英デッカ・レコードを始めとする様々なレコード会社を買収する事で世界最大のレコード会社となります。日本でも1990年にはポリグラム本体の日本事業統括法人「日本ポリグラム株式会社」が設立され、93年にまでにポリドール株式会社や日本フォノグラムといった関係会社をの事業を移管されます。しかし1-1で話した通り1998年、フィリップスはポリグラムの持ち株会社をカナダの酒造メーカー、「シーグラム」に売却します。本家ポリグラムはシーグラムの保有するレコード会社「ユニバーサルミュージック」と合併し、日本のポリグラム株式会社も1999年「ユニバーサルミュージック株式会社」に社名を変更します。
1-1で話したことの繰り返しになりますが2000年にシーグラムはヴィヴェンディとカナル・ブリュス2社と合併、「ヴィヴェンディ・ユニバーサル」となった後の2004年、経営不振によりユニバーサル・スタジオ等の娯楽部門をNBCに売却します。しかしユニバーサルミュージックのある音楽部門はヴィヴェンディ・ユニバーサルに残り、2011年から13年にかけてイギリスのレコード会社であるEMIのレコード部門を買収します。これにより日本のEMIの子会社であるEMIミュージック・ジャパンもユニバーサルミュージックに吸収されさらに規模を拡大、外資系レコード会社としては日本最大の規模となります。※EMIは元々第一次世界大戦までドイツのグラモフォンの親会社であった英グラモフォンが英コロムビアを買収して誕生した会社であり、これにより二つのグラモフォンは1社に統合される事となった。またEMI本体及び音楽出版部門はソニーが買収した。
そんなユニバーサルミュージックですがアニメソング専門レーベルは遅く、2012年末に設立した「ZERO-A」が始まりです。もともとユニバーサルミュージックへのアニメ事業の参入自体が同年に放送されたTVアニメ「戦国コレクション」が始まりであり、この作品の主題歌を担当した声優ユニット「Sweety」が同社初のアニソンアーティストとなります。同年末にアニソンレーベルとして、そして14年2月に通信業会社であるエムティーアイとの共同出資で株式会社「ZERO-A」が設立される事により、アニメソング業界への進出が本格化します。
ZERO-Aの代表的なアニソンアーティストといえば「petit milady」です。既に何度も名前が出ている人気声優である悠木碧と竹達彩奈の二人によるこのユニットは2013年5月、TVアニメ「遊☆戯☆王ZEXAL II」OP「鏡のデュアル・イズム」でデビュー、その後も「とある飛空士への恋歌」「六畳間の侵略者!?」「聖剣使いの禁呪詠唱」といった作品の主題歌を担当、有明コロシアムなどでの単独ライブを開催する等人気アーティストとなりました。
またZERO-Aには同じく「六畳間の侵略者!?」から誕生した声優ユニット「ハート♡インベーダー」や「たまごまーけっと」「結城友奈は勇者である」等に出演する声優、「長妻樹里」もデビューしていますが、ZERO-Aは自社単独だけではなく他社と共同でCDをリリースする事が多い事も特徴です。
ZERO-Aは日本コロムビアとは「内田彩」「山崎エリィ」、また「鬼滅の刃」等に出演し、「斉木楠雄のΨ難」の主題歌を担当する人気声優の「花江夏樹」が共同でCDをリリースしています。また2016年には同じく戦前から続く老舗レコード会社である「テイチクエンタテインメント」と共同で新レーベル「ロッカンミュージック」を設立しました。このレーベルからスタイルキューブに所属する豊田萌絵と伊藤美来による声優ユニット「Pyxis」が第一弾アーティストとしてデビューし、「デュエル・マスターズ VSRF」「ありすorありす」「ノブナガ先生の幼な妻」等の主題歌を担当しました。また「アイドルマスターシンデレラガールズ」等に出演する声優「立花理香」もこちらからCDデビューし「雨色ココア sideG」「ノブナガ先生の幼な妻」等の作品の主題歌を担当しています。
しかしZERO-Aは2017年にエムティーアイが経営から撤退、2019年3月にはアニソンレーベルそのものの活動を休止してしまいます。ただしユニバーサルミュージック自体がアニメソング事業から撤退したわけでは無く、2019年にはアイドルコンテンツ「IDOL舞SHOW」の開始や声優の「三澤紗千香」が再デビューする等のアニメ関係の動きがあります。ユニバーサルミュージックは音楽レーベルとしての規模と比べてその中でのアニメソングにおいては印象の薄い所がありますが、実は思わぬところで関わっている事がありそうです。
4-2:ユニバーサルミュージックのアニソンアーティスト
・petit milady:13、14、16、18
※18年の一部楽曲(キャラクターソング)はキングレコード系列であり、カバー楽曲でもある
・スキマスイッチ:【20】
5:アニサマにおける4社
今回も4社一挙に紹介していきました。そのうち3社は外資系大企業であり、一部アーティスト同士はそれぞれ別名義で所属していたり、移籍した事があるなど深い関係にあります。
NBCはパイオニア、ジェネオン、NBCと何度も名前と経営主体が変わりながらもアニメソングレーベルとしては20年以上の歴史があり、アニサマにも初回から参加するというアニサマ的には老舗レーベルです。I've楽曲やラノベアニメブームを先取りする等00年代からのアニメとアニメソングの歴史に大きな影響を与え、現在においても多くの人気アーティストが所属します。
ワーナーはアニメソングレーベルとしてはまだ一桁の歴史しかない若いレーベルですが、自社のシリーズ作品に対して集中的にアーティストのタイアップを行いこの作品と言えばこのアーティスト、というイメージを強くしています。
日本コロムビアはレコード会社としても100年を超える老舗中の老舗であると共に日本で最も古いアニメソングレーベルでもあります。この会社が無ければ日本にアニメソング文化が生まれなかったと言っても過言ではありません。過去から現在まで通じる数多くのアニメソングを生み、現在に至るまで新たな人気曲を生み出しています。
ユニバーサルミュージックは音楽レーベルとしてはかなりの大手ですがアニメソング業界では印象が薄く、ZERO-Aも活動を休止してしまいました。ですが2020でのスキマスイッチ出演等、予想しないところでの関りもあります。まさかここで、という事も今後あるかもしれません。
アニサマにおいてはランティスやキング、ソニーのような主力レーベルのように多数のアーティストが出演しているわけではありませんが、所々で強い印象を残しているレーベルであることは間違いありません。
6:まとめ
今回この4社をまとめて紹介したのは
・NBCユニバーサルとユニバーサルミュージックの違いが自分の中でもはっきりわかっていなかった
・NBCとワーナーも共通の関係者が多かったしアニメ制作でも協力している
・ユニバーサルミュージックと日本コロムビアもZERO-Aで協力している
・じゃあまとめて記事にしよう
・・・というものです。その分分量が非常に多くなりました。(今まで長くても50KBぐらいだったのが今回は70KBある)今回わりと関係無い話が多くなってしまいすみません。では次回またお会いしましょう、よろしくお願いします。
目次代わりの記事→Animelo Summer Live15年史勝手に分析 0
前のシリーズ初回の記事→1-1:アニサマ15年と2005~07の概要
このシリーズ初回の記事→2-1:アニサマ出演者音楽レーベルについてその1(ランティス)
前回の記事→ 2-4:アニサマ出演者音楽レーベルについてその4(ポニーキャニオン、メディアファクトリー(KADOKAWA)、5pb.(MAGES.)、ブシロード)
次回の記事→2-6:アニサマ出演者音楽レーベルについてその6
(ビクター、エイベックス、その他レーベル)
次のシリーズ初回の記事→3-1:アニサマ主要パート担当アーティスト一覧と分析
*2:現在のワーナーメディア、詳しくは2-1を参照。
*3:ヴィヴェンディ・ユニバーサルは2006年にヴィヴェンディに名を戻しました
*4:既にナベプロは音源の権利をアポロン音楽工業へと移動し撤退、なおアポロンは業務提携していたバンダイの比率が大きくなり1996年には「株式会社バンダイ・ミュージックエンタテインメント」に社名を変更しますが1-1で説明した通り業績不振により解散、その社員やゲーム・アニメ関係音源はランティスへと引き継がれましたがナベプロ関係の音源は自社の渡辺音楽出版に権利が戻されています。
*5:それまでも「ブギーポップは笑わない」や「キノの旅」等の電撃文庫原作アニメはありましたが90年代から2000年代後半までは「スレイヤーズ!」や「フルメタル・パニック!」等の富士見ファンタジア文庫原作アニメがライトノベルアニメの最大手でした。なお電撃文庫及び冨士見ファンタジア文庫はどちらも角川系列のレーベルです。
*6:「Fate/stay night」のアニメシリーズはジェネオン系列で製作されたシリーズとソニー・アニプレックス系列で製作されたシリーズがあり同一原作をアニメ化しキャストもほぼ共通していますが原作の複数あるルートをそれぞれアニメ化しており直接的に続編関係にあるわけではありません。主題歌もそれぞれのレーベルのアーティストが担当していますが、原作ゲームでのOPであるM.H.の「THIS ILLUSION」はジェネオン版ではタイナカサチの「disillusion」、ソニー・アニプレックス版ではLiSAの「THIS ILLUSION」としてそれぞれカバーされた形で両方のシリーズで使用されています。
*7:2011年の放課後ティータイム以来、アイドルマスター・ラブライブ!がさいたまスーパーアリーナで単独公演を開催したのは2014年。
*9:OPとEDが入れ替わる形式
*10:これ以前の84年に「超時空騎団サザンクロス」挿入歌「STAR DUST MEMORY」で初のアニメソングを担当しています
*12:「DALI」が歌ったverは2期「R」まで使用され、3期「S」及び4期「Supers」では「ムーンリップス」が歌ったverが使用された。
*14:例えば「SHIROBAKO」OP「COLORFUL BOX」はワーナー・ホーム・ビデオから、「FAIRY TAIL」2期ED「FOREVER HERE」はエイベックスからリリースされています。
*15:このアニメの音楽担当はビクターであった。
*16:「氣志團ときただにひろし」名義での氣志團とのコラボ曲
*17:SSAでの単独アニソンライブは2011年の放課後ティータイム、14年2月のμ'sに次ぐ3件目、西武ドームでは水樹奈々に次ぐ2件目。
*18:2017年に1回、2018年に2回、2020年に1回予定だった、なおどちらも2daysであった。
*19:同オーディションでグランプリとなったのが田所あずさ(ランティス)、同じくファイナリストとなったのが大橋彩香(ランティス)、木戸衣吹、山崎エリィ(二人共元every♡ing
*20:ローソンHMVエンタテイメント(現:ローソンエンタテイメント)が設立した音楽レーベル。インディーズレーベルながら小林幸子など有名歌手も所属し、ゲームのサウンドトラック等もリリースしている。