一見野郎のこれは個人の感想です

こちらは私、一見野郎が周りに気を適当に使いつつアニメ・アニソン・読書等の雑談をするブログです。

Animelo Summer Live15年史勝手に分析 2-2:アニサマ出演者音楽レーベルについてその2(キングレコード)

Animelo Summer Live15年史勝手に分析
2-2:アニサマ出演者音楽レーベルについてその2

 

※この企画の記事内では個人名は敬称略で記載しております、ご了承ください。

 

レーベル分析シリーズ第二回は、ランティスに続きアニソン業界の最大手の一つ、そしてアニサマ誕生からの主要レーベルの一つであるキングレコードについてです。

 

 

1:キングレコードとアニメソングの歴史

 

「軍歌もアニメもキングレコード!」というのは、キングレコード所属声優である上坂すみれの名言ですが、この言葉の通り、キングレコードの歴史は戦前に遡ります。

キングレコードが誕生したのは1931年、大日本雄辯會講談社(現:講談社)のレコード部門として設立されました。以後株式会社として設立した後も一貫して講談社のグループ企業として活動しています。スクールランブル」「魔法先生ネギま!」「さよなら絶望先生といった講談社週刊少年マガジン連載作品がアニメ化された際に主題歌をキングレコード系列のアーティストが担当する事が多いのもこの関係からです。

設立当初の主な音楽制作は流行歌や軍歌であり、戦時中は英語が敵性語であるとして「富士音盤」に改名した事もありますが戦後に元の名称に変更となりました。なお設立から現在まで一貫してライオンをロゴマークとして使用しており、現在「キング・アミューズメント・クリエイティブ本部」の公式キャラクターもこのライオンがら取った「きんくりん(忖度によって誕生した糞ライオン)」です。

戦後の1946年に日本録音工業株式会社として設立され講談社内のグループ企業として独立、キング音響と社名を変更後に1951年、キングレコード株式会社が設立され現代まで続く株式会社キングレコードの歴史が始まります。キングレコードの主な音楽ジャンルは演歌・歌謡曲とポップスであり、現在でもそれぞれ「第一クリエイティブ本部」と「第二クリエイティブ本部」として継続しています。

そんなキングレコードとアニメソングの大きな転機となったのが1979年、この年に放送されたTVアニメ「機動戦士ガンダム」です。この作品については私が語るまでもありませんが、この主題歌である池田鴻の「翔べ! ガンダム」をキングレコードがリリースした事です。当時はまだCDではなくレコードでのリリースでした。ガンダムは本放送こそ視聴率が振るわず打ち切りとなりましたが、再放送の繰り返しにより劇場版迄続くヒット作品となります。また更なるロボットアニメブームなどの影響もあり、ガンダムの同じくサンライズ制作・富野由悠季監督のアニメ作品「伝説巨神イデオン」のたいらいさお「復活のイデオン」、「戦闘メカ ザブングル」の串田アキラ「疾風ザブングル」、「聖戦士ダンバイン」のMIO「ダンバイン とぶ」といった作品もキングレコードが手掛けていきました。

 

2:80~90年代のキングレコードスターチャイルド設立

 

そんな中1981年にキングレコード内のアニメソングレーベルとして設立されたのがスターチャイルドです。スターチャイルドキングレコード社員であり、ガンダム関係の楽曲を担当していた藤田純二らによって設立されたレーベルです。名前の由来は劇場版「機動戦士ガンダム」のイメージソングであるやしきたかじんの「スターチルドレン」の元ネタであり映画「2001年宇宙の旅」に登場する新人類「スターチャイルド」から藤田が名前を取ったものです。

しかしスターチャイルドはその4年後、いきなり危機を迎えてしまいます。藤田ら当時の主要社員が東芝EMIの出資を受けて設立されたアニメ部門「ユーメックス」へと移籍し、スターチャイルドに残されたのはわずか二人。そのうちの一人、大月俊倫はドラマCDや漫画のイメージアルバムをヒットさせこの危機を乗り切り、後にスターチャイルドの名物プロデューサーとして名を馳せる事となります。

80年代のスターチャイルド作品として有名なのはガンダムシリーズの続編機動戦士Ζガンダム機動戦士ガンダムΖΖ、女性に大人気だったTVアニメ鎧伝サムライトルーパーであり、主題歌もスターチャイルド所属のアーティストが担当しました。特に有名なのが「機動戦士Ζガンダム」後期OP水の星へ愛をこめてや「鎧伝サムライトルーパー」後期OPサムライハートを担当した森口博子でした。

そして90年前半から中盤に入ると、スターチャイルドの手掛けたアニメ作品は次々と大ヒットしました。90年代のアニメ界の覇者はスターチャイルド、そう言っても過言ではありません。代表的なものを並べてみるとこうなります。(☆は映画及びOVAになります)

 

・NG騎士ラムネ&40:90年4月~01年1月

機動戦士ガンダムF91:91年3月

機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY:91年5月~92年9月

熱血最強ゴウザウラー:93年3月~94年2月

機動戦士Vガンダム :93年4月~94年3月

機動武闘伝Gガンダム:94年4月~95年3月

新機動戦記ガンダムW:95年4月~96年3月

スレイヤーズ:95年4月~95年9月

新世紀エヴァンゲリオン:95年10月~96年3月

爆れつハンター:95年10月~96年3月

機動戦士ガンダム 第08MS小隊:96年1月~99年7月

それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコOVA版):06年3月~97年12月

機動新世紀ガンダムX:96年4月~96年12月

スレイヤーズNEXT:96年4月~96年9月

機動戦艦ナデシコ:96年10月~97年3月

セイバーマリオネットJ:96年10月~97年3月

新機動戦記ガンダムW Endless Waltz:97年1月~97年7月

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生:97年3月

少女革命ウテナ:97年4月~97年12月

スレイヤーズTRY:97年4月~97年12月

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に:97年7月

ロスト・ユニバース:98年4月~9月

アキハバラ電脳組:98年4月~9月

機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-:98年8月

新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 特別篇:98年8月

機動戦士ガンダム 第08MS小隊 ミラーズ・リポート:98年8月

彼氏彼女の事情:98年10月~99年3月

セイバーマリオネットJ to X:98年10月~99年3月

それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ:99年4月~99年9月

仙界伝 封神演義:99年7月~12月

アキハバラ電脳組 2011年の夏休み:99年8月

少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録:99年8月

∀ガンダム:99年4月~2000年4月

 

いずれも今で言う所の覇権アニメと言える、大ヒット作品でした。

そしてこの時期のスターチャイルド作品の主題歌を語るのに避けては通れないアーティストが林原めぐみTWO-MIXです。

まずは林原めぐみについてです。言うでもなく当時から現在に至るまで大人気声優である彼女ですが、一つ誤解されているのがこの90年代のスタチャアニメブームと共に人気声優になったのではありません。86年にデビューし91年にアーティストデビューした林原はこの間既に「魔神英雄伝ワタル」や「らんま1/2」といったアニメ作品やハローキティの四代目声優となるなど人気作品に数多く出演していました。しかしこのアーティストデビューが90年代を代表する人気声優・林原めぐみの名声をさらに高めた事は間違いありません。

そんな彼女の声優、そしてアーティストの代表作となったのが同名のライトノベルのアニメ化作品であるスレイヤーズ」シリーズです(なお30周年を迎えた現在でもシリーズは続いています)。同作は00年代に至るまでTVアニメ5作、劇場版5作(上記では略していますが)、OVA2作、ラジオドラマ2作が作られ、林原は主人公であるリナ・インバーズを演じ、またアーティストとして全作品の主題歌を担当しています。

余りに多くの楽曲が多すぎるので全ては上げられませんが、何と言ってもその中での代表曲なのがGive a reasonです。TVアニメ第二作スレイヤーズNEXT」の主題歌であったこの曲はCD売り上げ23万枚、オリコン最高ランク9位を記録し自身最大のヒット曲となりました。その他にもスレイヤーズシリーズでは「Just be conscious」「don’t be discouraged」「Reflection」「raging wavesといった主題歌がいずれも10万枚を超えるヒット曲となりました。他にも「セイバーマリオネットJ」主題歌「Successful Mission」や「ロスト・ユニバース」主題歌「~infinity~∞」といった作品でも10万枚以上のヒットを飛ばし、オリコンランキングの常連となりました。

その後も林原はシングル・アルバム双方での10度目のオリコン週間TOP10入り、「don’t be discouraged」の声優シングル曲としては史上最大かつ現在でも更新されていない初動売り上げ10万枚超え、アルバム「Iravati」の声優アルバムとしての初動・累計売上の歴代最高記録等数々の記録を打ち立てました。林原めぐみがいなければその後に続く声優ソロアーティストの流れは無かったと言っても過言ではありません。

そして声優・高山みなみと音楽家永野椎菜によるユニットTWO-MIXです。声優ボーカルと音楽家の相方という形式は、後のfripSideGRANRODEOに通じる所があります。TWO-MIXと言えば「新機動戦記ガンダムW」シリーズの主題歌全てを担当したのが有名です。同作品自体、メインキャラ5人に美男子を配置したという点で男性人気だけでなく高い女性人気を博した事で有名ですが(当然ながら作品の質自体も高かったです)、TWO-MIXの楽曲自体も大ヒットしました。

前期OPJUST COMMUNICATIONは26万枚、後期OPRHYTHM EMOTIONは35万枚の大ヒットとなりました。特に「RHYTHM EMOTION」はガンダムシリーズの、そしてアニソンアーティストの歌うアニソン主題歌としては史上最高クラスのヒット曲となりました。続編「Endless Waltz」のOVA版主題歌WHITE REFLECTIONも15万枚、同作品の劇場版主題歌LAST IMPRESSIONも10万枚を超えるヒット曲となりました。またアニメ主題歌ではないノンタイアップ曲も多数ヒットし、作品頼りで無い人気を見せつけました。

この2組に共通するのは大々的なライブ活動を行わなかった事です。林原は自身のラジオ公録等のミニライブ程度、TWO-MIXは自身のファンクラブイベント程度で歌うぐらいしかありませんでした。現在事実上活動休止にあるTWO-MIXは一度もライブイベントを行わず、林原の1stライブが行われたのは2017年でした。

そしてこの林原と親交があり、それがデビューのきっかけになったのがこのシリーズでは何度も名前が出ている奥井雅美です。元々奥井は松任谷由実等様々な歌手のバックコーラスを担当しており、また林原めぐみの曲の仮歌(レコーディングの際に参考とする曲)の担当もしていました。

93年にデビューした彼女がヒットのきっかけとなったのも「スレイヤーズ」です。シリーズ第一作で林原めぐみとのデュエット曲としてOP曲「Get along」とED曲「KUJIKENAIKARA!」が大ヒットし、続編の「NEXT」では単独でのED曲「邪魔はさせない」を担当しこれもまたヒットしました。これまでの主題歌は林原と共に、という印象が強いものでしたが、単独でも少女革命ウテナOP「輪舞-revolution」が3万枚のヒット曲となり、それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコシリーズやアキハバラ電脳組シリーズの主題歌を担当しヒットを続けました。こうして培われていた音楽活動は後の「JAM Project」のメンバー加入やアニサマの設立に繋がっていく事となります。

そして90年代のアニメとして忘れてはならないのが新世紀エヴァンゲリオンです。社会現象となりアニメを詳しく知らない一般人でも名前は知っているほどのヒットとなった同作ですが、その主題歌を担当したのが高橋洋子です。彼女もまたバックコーラスなどの仕事を続けていましたが、エヴァのEDテーマ「FLY ME TO THE MOON」のカバーに参加したことをきっかけに、大月からOPテーマの担当を提案されました。こうして彼女が担当した曲が残酷な天使のテーゼです。

「作詞をした及川眠子が依頼された段階で2話までの映像と企画書しか渡されず、それもまともに見ずに作り上げた、放送後も見ていない」「大月の提案で作詞担当の及川と作曲担当の佐藤英敏はまともに顔を合わせる事も無かった」「高橋も作品の内容はまともに見たことが無く、内容もまともに聞かされていなかった」・・・という現在これをやったら炎上不回避な製作状況にもかかわらず奇跡的に作風に合ったこの曲は累計65万枚近い売り上げを記録する大ヒット、現在でもカラオケで歌われる歌や著作権使用料配分額では毎年ランキング上位に名を連ねています。同作の劇場版の主題歌魂のルフランオリコン最高3位、売り上げ60万枚超えの大ヒット曲となりました。ちなみにこの曲についても及川は元々興味が無かった事と見てしまったら物語に入り込んでしまい説明的な歌詞になってしまうから、という事でアニメと映画本編をまともに見ずに作詞したという逸話が残っています。

他にも機動戦士ガンダム 第08MS小隊のOP嵐の中で輝いて、ED「10 YEARS AFTER」仙界伝 封神演義OP「WILL」を担当した米倉千尋機動戦艦ナデシコOP「YOU GET TO BURNING」や同作劇場版「-The prince of darkness-」の主題歌「Dearest」を担当した松澤由美といったこの時代を代表するアニメ・楽曲の多くをスターチャイルドが担当していました。

 

3:00年代の声優ブームと第三クリエイティブ本部の台頭

 

2000年代に入ってもスターチャイルド作品の勢いは留まりませんでした。00年代前半のスターチャイルドの象徴的な人気女性声優であり、現在においても代表的なアイドル声優の一人として名前が挙がるのが堀江由衣です。

ラブひな(00年4月~9月)、「シスター♥プリンセス」(01年4月~9月)、「シャーマンキング(01年7月~02年9月)、フルーツバスケット(01年7月~01年12月)、陸上防衛隊まおちゃん(02年7月~12月)、スクールランブル(04年10月~05年3月)といった数々のスターチャイルド作品のアニメでメインキャラを演じた堀江は以前ポニーキャニオンで活動していましたが移籍し、2001年に「シスター♥プリンセス」のOPLove Destinyで再デビューしました。その後も「陸上防衛隊まおちゃん」OP「ALL MY LOVE」や「スクールランブル」OPスクランブル」等をヒットさせるだけでなく、「Aice5」や「黒薔薇保存会」等のユニットでも活躍しました。

またこの時期のスターチャイルド作品で忘れてはいけない人物が岡崎律子です。80年代からアーティストとして活動し以前から林原に楽曲提供をするなど親交があった彼女は、00年代初頭にスターチャイルドに移籍し堀江が主演・主題歌を担当したTVアニメ「十兵衛ちゃん2 -シベリア柳生の逆襲-」のED「心晴れて 夜も明けて」や「ラブひな」の主題歌である林原めぐみサクラサク等の楽曲を提供、本人も「フルーツバスケット」OPFor フルーツバスケットを歌唱する等の活動をしました。

残念ながら岡崎は2004年5月5日に病気でこの世を去る事となります。まだ44歳の若さでした。しかしその後も林原めぐみが「がくえんゆーとぴあ まなびストレート」の主題歌として岡崎の楽曲である「A Happy Life」をカバーし、近年には岡崎から提供された楽曲を集めたトリビュートアルバム「with you」を発表する等、現在にまでその楽曲は歌い継がれています。

同じく00年前半にスターチャイルドからデビューしたアニソンアーティストが「agenla」です。90年代から上京して活動し、一度はメジャーデビューをするも挫折、再び路上ライブをしていたatsukoとKATSUの二人。そんな二人を目に止めたのが当時スターチャイルドに所属し、現在でもキングレコードでプロデューサーを担当している中西豪でした。彼の目に止まったangelaは2003年5月に、TVアニメ宇宙のステルヴィアOP明日へのbrilliant roadでデビュー、2004年にはTVアニメ蒼穹のファフナーOPShangri-Laが6万枚の大ヒット曲となりました。

また声優やアニソンシンガーのソロアーティストだけでなく、声優ユニットによる楽曲を大ヒットさせたのもスターチャイルドの特徴でした。勿論それ以前から声優によるキャラクターソングや作品によるユニットの曲は多くありましたが、桁の違うヒットとなったのが2005年前半に放送されたTVアニメ魔法先生ネギま!の主題歌ハッピー☆マテリアルです。アニメ放送期には7パターンが作られ、シリーズ累計36万枚の売り上げを記録しました。ネット上ではオリコンチャートの1位にする運動が起こり、この年の紅白歌合戦での視聴者によるアンケートでは現在と比べてアニメに対する知名度がはるかに低かったにも関わらずランクインする等、アニメ本編に留まらない動きを起こしました。

他にも2007年から2009年にかけて3期まで放送された「さよなら絶望先生」のOPを担当し、大槻ケンヂをメインボーカルとして声優ユニット絶望少女達」とコラボレーションした大槻ケンヂと絶望少女達人として軸がぶれている」「空想ルンバ」「林檎もぎれビーム!」といった楽曲、2007年からシリーズがスタートしたみなみけの第一作OPである「みなみけ3姉妹」の「経験値上昇中☆」、2008年秋から2009年冬に放送されたとらドラ!の主題歌「プレパレード」「オレンジ」といった声優ユニットの楽曲が次々とヒットしました。

こういった相次ぐ作品のヒットを受けスターチャイルドが開催したのがSTARCHILD FESTIVAL」です。これはスターチャイルドが製作した作品の出演声優や主題歌を担当している声優・アーティストが出演する合同イベントで、2002年の春、同年の秋、間を空けて2007年の春、2009年の春と4回開催されました。またこの空白期には姉妹イベントと言える「STARCHILD DREAM in KOBE」がラジオ関西の主催により2003年、2004年、2006年、2007年、2008年の5回開催され、スターチャイルドのブランドそのものの力を示しました。

一方同時期の00年前半から台頭を始めたキングレコードの別のアニメ部署があります。

「VC制作部MMグループ」です。こちらはスターチャイルドのように独立したレーベルではなくレーベル内の部署という立ち位置でした。こちらでプロデューサーを務めていたのが三嶋章夫です。三嶋は「ときめきメモリアル」や「作画崩壊で有名な)園都市ヴァラノワール」等の作品を担当する一方、所属するアーティストのプロデュースも手掛けていました。その人物こそが声優アーティストの代表格となる水樹奈々です。

水樹は1998年に声優としてデビューし、2001年には堀江由衣らと共に「シスター♥プリンセス」へ出演、同作からデビューした声優ユニットPritsとしても活動する等していました。その後も「NARUTO -ナルト-」「ニニンがシノブ伝」「鋼の錬金術師」といった作品へ出演し人気声優への道を歩んでいきます。

一方アーティストとしては2000年にアーティストデビューし、2002年に矢吹俊郎を音楽プロデュースに迎えて以降人気アーティストへの道を進んでいきます。そんな水樹とVC制作部MMグループの大きな転機となったのが2004年秋に放送された魔法少女リリカルなのはです。

三嶋が2003年に同作のスピンオフ元となったゲームとらいあんぐるハート3OVAのプロデュースを担当した事からこの作品のプロデューサーを担当する事となり、また水樹もダブル主人公の一人であるフェイト・テスタロッサを演じると共にOPを担当する事となりました。同作は劇的な社会現象アニメとまではいかなかったもののと高評価を得、水樹の歌唱したOPinnocent starterも自身初のオリコントップ10入り、当時の自身最大のヒット曲となりました。

そしてもう一人、同作とこの時代のVC制作部MMグループを語るに外せないのが田村ゆかりです。田村は1997年にデビュー後、「ギャラクシーエンジェル」シリーズや「D.C.ダ・カーポ〜」シリーズへ出演し人気若手声優となる一方、当時の人気アニラジ「SOMETHING DREAMS マルチメディアカウントダウン」で誕生した声優グループ「ドリカンクラブ」に堀江由衣らと共に所属し、99年にはそこから堀江と共に声優ユニットやまとなでしこを結成、活動をしていました。そんな田村は2001年にKONAMIからソロアーティストとしてデビューしており(ただし販売はキングレコードが担当していた)、「なのは」ではダブル主人公のもう一人である高町なのは(こちらがメイン主人公である)を演じ、EDLittle Wish 〜lyrical step〜の担当もしました。この曲もまた当時田村にとって最大のヒット曲となりました。

さらに翌年放送された続編魔法少女リリカルなのはA's」は映像作品が前作の倍となるヒット作品となり、こちらにおいても水樹・田村がそれぞれOP・EDを担当、いずれも大ヒットし、田村の担当したEDSpiritual Gardenは自身初のオリコン週間トップ10入りとなりました。さらに水樹の担当したOPETERNAL BLAZEは5万枚近いセールスとオリコンチャート最高2位を記録するヒット曲となり、現在これを上回るセールスを記録した水樹の曲が多数出ているにも関わらず水樹の代表曲となっています。その後もなのはシリーズはTVアニメ5作、劇場版4作を製作する大ヒットシリーズとなり、水樹と田村も数多くの楽曲を担当していく事となりますが、二人の飛躍はこの作品だけに留まりませんでした。

水樹はバジリスク甲賀忍法帖~」、「ロザリオとバンパイア」シリーズ、「WHITE ALBUM」シリーズといった作品にヒロインとして出演すると共に主題歌を担当、いずれもオリコンチャート上位に位置し5万枚以上のヒット曲となります。シングルCDだけでなくアルバムもまた次々とヒットし、2009年にリリースられたアルバム「ULTIMATE DIAMOND」は声優史上初のオリコンアルバム週間チャート1位を記録しました

ライブ面においても次々と2005年に声優としては2人目の日本武道館での単独公演を開催し*1、2007年には横浜アリーナ、2008年にはさいたまスーパーアリーナ、そして2009年には西武ドームでの単独公演を開催しました。ドームライブの開催は声優として、そしてアニソンアーティストとして初であり、この後のアニメ関係のライブがドームクラスでの会場で行われる先駆者となりました。そして同年、水樹は「WHITE ALBUM」1期のOP「深愛」で声優として、そして、アニソンアーティストとして初となるNHK紅白歌合戦への出演を成し遂げ、名実と共に2000年代を代表する声優・アニソンアーティストとなりました。

一方田村も極上生徒会」「おとぎ銃士赤ずきんと言った作品で主人公及び主題歌を担当した後に2007年にキングレコードにアーティストとして完全移籍しました。その音楽活動やライブにおける世界観はゆかり王国と呼ばれ、2008年には水樹に続いて3人目となる日本武道館での単独公演を成し遂げます。

こういった水樹や田村の成功により「VC制作部MMグループ」は2009年に「第三クリエイティブ本部MM制作部」として再編、格上げされる事となりました。

一方スターチャイルドでの活動を続けている堀江も2000年代後半に入っても引き続き活動を続け、いぬかみっ!」「ながされて藍蘭島」「とらドラ!」「かなめもといった作品でメインキャラとして出演、主題歌も担当していき、2009年には声優としては4人目となる日本武道館での単独公演を成し遂げます。

この水樹・田村・堀江は互いに交流や共演がある事、全員人気声優・アーティストである事(アーティストとしては水樹が群を抜いているが)からキングレコードの御三家」と俗に言われる事がありました(当然公式で言われる事はありません)。しかしこの三者が同一のアニメに出演する事は、ほとんどありませんでした。

また同時期にVC制作部MMグループからアーティストデビューした男性声優が宮野真守です。宮野は「DEATH NOTE」「機動戦士ガンダム00」等の作品で主人公を演じ、一躍人気声優となる一方、2007年にKONAMIで自身が主演したアニメ「鋼鉄三国志」ED「久遠」で「一応の」アーティストデビューしました。この曲でアーティストとしての宮野を知った三嶋は、宮野と他作品で共演していた水樹奈々の勧めもあり、宮野は2008年にキングレコードから正式にアーティストデビューをする事となります。ただしアニメの主題歌を歌うアニソンアーティスト・宮野真守としてのブレイクはもう少し後となる事となります。

 

4:10年代前半のキングとスタチャ

 

2010年に入ってもキングレコードの、特に第三クリエイティブ本部MM制作部の勢いは止まりません。同年に公開されたTVアニメ1期のリメイク版であるなのはシリーズ劇場版第1作魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1stの主題歌PHANTOM MINDSが声優初のオリコンシングル週間チャート1位を獲得し、シングル・アルバム両方で声優史上初の記録を成し遂げました。この曲で水樹は二年連続で紅白歌合戦に出演し、これ以降2014年まで毎年出演していく事となります。

また同年にデビューしたのがゆいかおりです。昨年結成された当時14歳だった小倉唯と16歳だった石原夏織、二人の新人声優によるユニットは大きな人気を博すこととなります。また小倉は2012年にソロデビューし、ゆいかおりとはまた違う「カンピオーネ! 〜まつろわぬ神々と神殺しの魔王〜」「最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。」「マノススメ セカンドシーズン」等アニメの主題歌も多数担当する事となります。

そして2011年から12年に、キングレコードはさらに多くのヒットアニメを生み出す事となります。2011年春に放送されたDOG DAYSは「なのは」シリーズの原作者である都築真紀が製作を担当し、主人公に宮野真守、ヒロインに堀江由衣、さらに水樹奈々が出演する等キング関係の声優が出演し、楽曲面でもOPを水樹が、EDを堀江が担当、アニメは3期まで制作され水樹・堀江が主題歌を担当する体制も続きました*2

2011年夏には男性アイドルアニメうたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE1000%」にメインキャラで出演する宮野真守がゲーム版に引き続いて主題歌を担当、宮野にとってキングレコードで初のアニメ主題歌となるOP「オルフェ」はそれまでの自身にとって最大のヒット曲となりました。また「うたプリ」シリーズのアニメ自体TVアニメが第4作及び劇場版も制作される大ヒット作となり、同作品の作品声優ユニットST☆RISH」も大人気となりました。このヒットをきっかけに宮野は男性声優ソロアーティストとしての人気を増していき、2013年10月には男性声優ソロ初の武道館単独公演を、2014年5月には横浜アリーナ単独公演を成功させます。

そして2011年12月3日・4日、水樹奈々声優・アニソンアーティスト史上初となる東京ドーム単独公演を成し遂げます。名実と共に声優アーティストのトップとなった水樹の勢いはそのまま2012年に突入します。2012年冬に放送された戦姫絶唱シンフォギアは歌唱シーンの生アフレコ等声優・アーティストとしての水樹の実績が無ければ作られなかったと言っても過言ではない作品であり、水樹は声優として、そしてアーティストとして作品に参加。5期まで作られたシリーズ全てのOPを、また多くのキャラクターソングも担当しました。

同年には「なのはA's」のリメイク版である劇場版作品魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's」の主題歌BRIGHT STREAMを担当しました。この曲は10万枚を超えるセールスを記録し、水樹史上、そして2010年代における声優ソロアーティストとしては最大のヒット曲となりました。そして2013年にはT.M.Revolutionとのコラボレーション企画を始動させTVアニメ革命機ヴァルヴレイヴOPPreserved Roses」「革命デュアリズムの2曲をリリース。どちらも「BRIGHT STREAM」を上回るセールスを記録しました。ライブ面においても2012年に千葉マリンスタジアム、2014年には横浜スタジアムといったアニメ関係初のスタジアムライブを開催していきます。

また田村ゆかり「C³-シーキューブ-」「俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる」「変態王子と笑わない猫。といった作品に出演すると共に主題歌を担当、ライブ面では2010年に横浜アリーナ、2013年にはさいたまスーパーアリーナでの単独公演を成功させる等キングレコードの、そして声優アーティストの二番手の座を確固たるものとします。

こういった所属アーティストの更なる活躍により、「第三クリエイティブ本部MM制作部」は2013年2月のキングレコード内の組織改編によってキングレコード第三クリエイティブ本部と名を改め、下にいくつかのグループを組織する大規模な部署となりました・

一方これらの活動によりキングレコード内のアニメレーベルの主役的立場を奪われつつあったスターチャイルドも新たな動きを見せ、新人声優アーティストを次々とデビューさせます。

とらドラ!お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!といったスターチャイルド製作アニメに出演していた喜多村英梨は2011年、自身も出演するTVアニメ「まよチキ!」OP「Be Starters!」でアーティスト再デビューし*3、翌年のTVアニメパパのいうことを聞きなさい!OPHappy Girlオリコン最高5位とヒットします。

また同アニメで声優デビューした上坂すみれは翌年2013年、自身も出演したTVアニメ波打際のむろみさんOP「七つの海よりキミの海」でアーティストデビューをします。上坂は鬼灯の冷徹シリーズや下ネタという概念が存在しない退屈な世界の主題歌を担当し、またその独特な世界観を持つアーティスト活動もあり唯一無二の存在感を持つ事となります。

また2012年にはTVアニメモーレツ宇宙海賊で主人公を演じる小松未可子が同作のED「Black Holy」でアーティストデビュー、その後も「K」「神さまのいない日曜日のEDを担当しました。

それ以前からスターチャイルドで活動しているアーティストも負けてはいません。angela「K」「COPPELIONといったアニメの主題歌を担当し、特に2014年のTVアニメシドニアの騎士OPシドニアは新たなるangelaの代表曲となりました。

堀江由衣も「DOG DAYS」シリーズだけでなく「とらドラ!」と同作者作品「ゴールデンタイム」のヒロインを演じ、前期・後期OPED両方、全4曲の主題歌を担当しました。

2014年にはももいろクローバーZスターチャイルド内のJ-POP系アーティストが新レーベルEVIL LINE RECORDSに移籍する等、アニメレーベル色の強化が進みました。

こういったキングレコードスターチャイルドの集大成的な存在が2014年から15年にかけて現れていきます。TVアニメにおいてのそれは2014年秋から2015年冬に放送されたTVアニメクロスアンジュ 天使と竜の輪舞です。同作は「キングレコード第三クリエイティブ本部」と「スターチャイルド」が初の共同制作を行っており、キャスティングにおいても主人公を演じる水樹奈々を始め、田村ゆかり堀江由衣のいわゆる「キング御三家」、さらに宮野真守喜多村英梨上坂すみれ小倉唯石原夏織、さらに1話のみながら林原めぐみまで出演するという、事実上当時のキングレコードオールスター作品と言っても過言ではないキャスティングでした*4。主題歌も前期OPと後期EDは水樹、前期EDは喜多村、そして後期OPは高橋洋子という顔ぶれでした。なおキングレコード製作アニメでいわゆる「キング御三家」が揃うのは事実上初めてで、当時「声優アニメディア」誌の表紙を水樹、田村、堀江の3人が飾った事も話題となりました。

そして2015年6月20日及び21日、キングレコードアニメ史上最大のライブイベントとして開催されたのが「KING SUPER LIVE 2015(通称キンスパ」です。会場はさいたまスーパーアリーナ(スタジアムモード)、アニサマと同規模のライブを1社で開催するのは異例な事でした。

出演者もまた水樹・田村・堀江の「キング御三家」を始め、宮野、小倉、ゆいかおりら第三クリエイティブ本部所属、angela、喜多村、小松、上坂らスターチャイルド所属、森口博子高橋洋子森口博子米倉千尋らベテラン勢、奥井雅美松澤由美といった当時すでにキングレコードから離れていたアーティスト、ライブをほとんど行っておらず、アニソンフェスに出る事も無かった林原めぐみといったキングレコードのオールスターライブでした。

当然ながらこのライブは大盛況の内に幕を降ろし、また同年9月には小松と上坂のツーマンライブ「STARCHILD presents LIVE NEXUS」が開催される等、この順風満帆な状態はいつまでも続くだろう、多くの人がそう思っていました。

 

5:キングレコード再編とこれから

 

2016年2月10月、キングレコードのアニメ関係レーベルの再編が発表されました。「キングレコード第三クリエイティブ本部」と「スターチャイルド」は統合され、新組織「キング・アミューズメント・クリエイティブ本部(通称キンクリ)」が設立しました。これによってスターチャイルドレーベルはその34年半に渡る歴史に終止符を打ち、長らくそのトップの座にいた大月俊倫もまたキングレコードを去っていきました。「キンクリ」の本部長には(事実上のトップ)となったのが三嶋章夫スターチャイルドで長年大月の元NO2の立場にあった森山敦の二人がいましたが、2018年に三嶋が新任取締役となったことで事実上のトップとなることとなります。

そしてそれ以上に大きな衝撃を与えたのが、多くのアーティストの離脱、及び新規加入です。

「キンスパ2015」の開催からわずか1年の内に、田村ゆかり小松未可子喜多村英梨といった多くの所属アーティストがキングレコードでの活動を終え、他のレーベルへ移籍する等しました。特に田村はキング再編と同じ2月10日、自身が13年間キングレコードの提供で続けてきたラジオの終了とファンクラブの運営会社の変更を発表し、3日後の2月13日には本人の意向により3月20日をもってキングレコードとの専属契約を終了する事が発表されました。またゆいかおりも2017年3月31日に、同年6月30日をもって活動休止を発表する等多くのアーティストが移籍・活動休止をする事となります。他にも堀江由衣は引き続きキンクリに所属していたものの2019年まで3年近く個人の音楽活動を行わなかった等、この再編による影響は賛否両論を生む事となります。

一方で新たにキングレコードからデビューする声優アーティストもいます。新世代の代表が水瀬いのりです。「恋愛ラボ」「ご注文はうさぎですか?」等に出演し、キングレコード作品では「うたプリ」シリーズや「シンフォギア」シリーズ3期「GX」に出演した水瀬は2015年12月にデビューし、2016年には「なのは」シリーズの外伝的作品であるViVid Strike!に主演すると共にEDStarry Wishを初のアニメ主題歌として担当、ヒットする事となります。

この水瀬と同作品にダブル主人公として出演しOPFuture Strikeを担当した小倉唯、また同作に出演しグループ再編後もキンクリでアーティスト活動を続けている数少ないスターチャイルド出身者となった上坂すみれ三者によるスリーマンライブKING SUPER LIVE 2017 TRINITY」が2017年3月5日に開催されました。「キンスパ」の名を冠しているライブですが会場も日本武道館というさいたまスーパーアリーナと比較して小規模であり、形式としては「LIVE NEXUS」の拡大版というものとなりました。同ライブの成功後、水瀬、小倉、上坂は非公式ながら「キングのトリニティ」「新御三家」と呼ぶ声も起きました(当然ながらこれに対する否定的意見もあります)。

またキングは新たに男性声優アーティストの育成にも力を入れていく事となります。その代表が蒼井翔太です。以前キングレコードから一般アーティストとして活動していた事があった蒼井はアニソン歌手・声優への転向を目指し活動、2011年に声優としてデビューします。キングレコードでは「うたプリ」シリーズなどに出演、好みの分かれる中性的な演技ながらファンを増やす一方ブロッコリー系列のb-greenからアーティストとして再デビューしました。その後2016年に元々販売を担当していたキングレコードへ完全移籍し、同年にいきなり日本武道館単独公演を開催します。声優としても「シンフォギア」シリーズ4期「AXZ」やポプテピピックでの個性的なキャラクターが公表を博し人気を高めていきます。

また2018年には「アイドルマスターSideM」や「マクロスΔ」に出演し、キングレコード作品では蒼井と同じく「うたプリ」シリーズに出演している内田雄馬がアーティストデビューする等、新世代の育成にも力を入れていきます。

また再編以前から所属するアーティストも精力的に活動を続け、angelaは2017年3月に念願であった日本武道館単独公演を開催し、宮野真守は男性声優ソロとしては史上初となる、さいたまスーパーアリーナを含む3会場でのアリーナツアーを開催、小倉唯上坂すみれも5000人クラスでのライブを行うようになっていきます。

特に水樹奈々は2016年4月9日・10日に再び東京ドーム公演を行い*5、同年9月22日には自身の念願だった阪神甲子園球場での単独公演を行いました*6。その他にも西武ドーム(通算7回公演)、さいたまスーパーアリーナ(アリーナ・スタジアムモード含めて通算10回)、といった大規模会場で度々ライブを行い、2018年には日本武道館において全7日間の単独公演(当然ながら声優として最多である)を行うなど衰えを見せる事はありませんでした。

そういったキングレコードの新たなる活動の象徴として開催されたのが2018年9月24日に東京ドームで開催されたKING SUPER LIVE 2018」です。水樹を初め宮野、angela、堀江、水瀬、小倉、上坂、蒼井、内田といったアーティストだけでなく林原めぐみ森口博子高橋洋子といったベテラン勢、また「Prits」が8年ぶりに再結成する等*7、様々なアーティストが集結しました。東京ドームでのアニソンフェスの開催は初めてであり、初めて東京ドームでアニソンライブを開催したキングレコードの底力を見せ、また中国や台湾での公演も行うなど、キングレコードは未だ健在であるという印象を強く見せました。

一方で現在においても主力作品が「なのは」「うたプリ」「シンフォギア(2019年にシリーズ完結)」「ファフナーといった2000年代~10年代前半のヒット作の続編であり新たな目立つ商業的ヒット作がポプテピピック程度しか無く、また近年では2019年3月に林原めぐみキングレコードとの所属契約を解消(離脱したわけでは無く音楽活動やラジオ等の活動は引き続きキングから行う)する等未だに再編の影響は続いています。

バンナムグループの多くのコンテンツと直接的なつながりを持つバンダイナムコアーツ(ランティス)やJ-POP、アニソンを問わず多くのコンテンツやアーティストを要するソニーSACRA MUSIC)が台頭し方を並べつつある今、キングレコードは90年代のアニメソング業界における絶対的な王国では無く有力なレーベルの一つに過ぎない存在になりつつあります。これからキングレコードが再び絶対的な王座を取り戻すのか、それとも古木王国となってしまうのか。それは未だわかりません。

 

6:キングレコードのアーティスト

それでは前置きが長くなりましたが、キングレコード所属のアーティストについてです。

現在では所属していないアーティストも多数いますので、別枠で説明します。

なお上記文に度々登場していた林原めぐみは未だにアニサマに(と言うか自社以外のアニソンライブに)出演していません、あしからず。

 

6-1:KING AMUSEMENT CREATIVE(現所属)

 

水樹奈々:詳細は4-2:トリ担当アーティストその1(2005~12)参照

高橋洋子: 07              

※シークレット出演

・ドメスティック・ラヴバンド:詳細は4-3:トリ担当アーティストその2(2013~16)参照             

angela:詳細は4-3:トリ担当アーティストその2(2013~16)参照

堀江由衣:09、11、12、14

宮野真守:09、11、12、13、14、15、18

上坂すみれ:13、17、18、19                                

小倉唯:13、14、15、16 、17、18、19                             

ST☆RISH:12、13                                 

地獄の沙汰オールスターズ 阿仁尊地獄篇:14                                   

・ピーチ・マキ:14                                     

※「鬼灯の冷徹」のキャラクターソング、歌唱は上坂すみれ

ミス・モノクローム:14

蒼井翔太:15、16、17、18、19

※15年はキングが委託販売していたブロッコリー系列のb-greenに所属                          

水瀬いのり:17、18、19                                        

・ヘルシェイク矢野

※歌唱せず、高速紙芝居のみ                                      

内田雄馬:19、【20】

 

6-2:J-POP部門・系列レーベル等所属

 

米倉千尋:05、06、08、09、10              

※近年はランティスからもリリース

Suara  :07、08、09、16

※主にキングレコードに販売委託しているフィックスレコードからリリース、一部楽曲はランティスブシロードミュージックからもリリースしている                                      

ももいろクローバーZ:11、13、14、15

※13年までスターチャイルド、14年からEVIL LINE RECORDSに所属

織田哲郎(TETSU):12

※シークレット出演、テーマソング製作を担当、アーティスト織田哲郎はビクター所属であるが契約の都合上TETSU名義でキングレコードからリリースしていた

森口博子:12、【20】                             

※12年はシークレット出演          

イヤホンズ:16

EVIL LINE RECORDSに所属

鮎川麻弥:16

※シークレット出演

 

6-3:移籍・活動休止等で現在未所属

 

奥井雅美:詳細は4-2:トリ担当アーティストその1(2005~12)参照

can/goo:05

※現在は主にインディーズで活動

unicorn table:05

※現在ではキングレコードのアーティストとしては主に活動せず

田村ゆかり:詳細は4-2:トリ担当アーティストその1(2005~12)参照

黒薔薇保存会:08

※現在は活動休止、堀江由衣のライブでまれに再結成される

Sound Horizon:08

※2011年にポニーキャニオンへ移籍

大槻ケンヂと絶望少女達:09

※「さよなら絶望先生」のアニメ展開終了に伴い事実上の活動休止、2020年に「絶望先生」作者久米田康治の新作「かくしごと」のアニメ化に伴い新曲がリリースされるが、こちらはエイベックスからである

エリオをかまってちゃん:11

※アニメの企画ユニット神聖かまってちゃんの所属レーベルはワーナー系列である

ゆいかおり:12、13、14、15、16

※旧第三クリエイティブ所属、2017年に活動休止

喜多村英梨:12、13、14

※旧スターチャイルド所属、2016年にトムズミュージックへ移籍、2019年には個人インディーズレーベル「dystopia record」で活動

小松未可子:12、13、15

※旧スターチャイルド所属、2016年にトイズファクトリーに移籍

カスタマイZ

※旧スターチャイルド所属、2016年解散

・every♥ing!:16

EVIL LINE RECORDSに所属、2017年解散

 

7:アニサマにおけるキングレコード

 

キングレコードランティスと並ぶアニサマの二枚看板と言える存在です。

「Animelo Summer Live15年史勝手に分析1-1」で書いたようにアニサマ設立に大きな役割を果たしたのがキングレコード三嶋章夫であり、協力していた矢吹俊郎であり、元キング所属であった奥井雅美であるように、キングレコードが無ければアニサマも完成しませんでした。そもそもキングレコードが無ければこれほどの大規模イベントが行われるほどのアニメの人気があったかすら疑問です。ライブ映像の販売においても2006年から2013年、2017年と2019年の担当をしています。

また初回のアニサマの会場となった代々木第一体育館と同規模の会場での単独公演経験があったのが水樹奈々であったように、長年アニサマ出演者の中で大規模ライブの経験者の多くはキングレコードでした。アニサマが始まった2005年から2017年までの間の13回、毎年1組キングレコードのアーティストがトリを担当しており、特に水樹奈々は10回のトリ、さらにその中でも2008年を除く9回大トリを担当しています。

一方で2018年と2019年からはキングレコードのアーティストがトリを担当する事は無く、こういった点でも業界の勢力図の変化を感じざるを得ません。

8:まとめ

 

1980年代から始まったキングレコードのアニメソングの歴史は、平成のアニメソングの歴史と言っても過言ではないほど大きなものでした。90年代の林原めぐみ、00年代の水樹奈々といったキングレコードの先駆者達が切り開いてきた道が無ければ、今のアニメソングがアニメファンのみならず一般層にまで知られることは無かったでしょう。そしてまたアーティストたちが魅せてきた景色に憧れた数多くのアニソンアーティストが、声優がこの業界を盛り上げていく事も無かったでしょう。キングレコードが今のアニソンを育て上げた偉大なる王国であることは言うまでもありません。

一方でかつてと比べて今現在のキングレコードは、多くのアーティストの離脱や新たなるヒット作品が少ない点などの問題点を抱えており、全盛期と比べればどうしてもパワーに欠ける事を感じる事も事実です。しかしながら潜在能力がまだまだある限り、再び黄金時代を築く事も不可能では無いと思われます。

 

 

 

今回もこの記事を見ていただきありがとうございました。

次回以降もこの企画の更新はバラバラになってしまいますが、よろしくお願いします。

・・・ちなみに2-1ではなくこちらが先になってしまったのは、一度書き上げた後に思った以上にこっちの分量が多くなってしまい、調整のため2-1の方にも大幅な加筆を行うためです()

 

目次代わりの記事→Animelo Summer Live15年史勝手に分析 0

最初のシリーズの記事1-1:アニサマ15年と2005~07の概要

前回の記事→2-1:アニサマ出演者音楽レーベルについてその1(ランティス)

次回の記事→2-3:アニサマ出演者音楽レーベルについてその3(ソニー)

 次のシリーズ初回の記事→3-1:アニサマ主要パート担当アーティスト一覧と分析

*1:Animelo summer live初回の開催時には唯一の単独での武道館公演経験者だった。

*2:なお製作委員会の筆頭はキングレコードでなくアニプレックスソニーグループ)。

*3:これ以前にポニーキャニオンランティスでデビューしており、これで三度目となる。

*4:小松未可子は当時キングレコードに所属していたが、同作品には出演していない。

*5:現在においても声優アーティストとしては最多公演、当時の女性アーティストとしては安室奈美恵と並ぶ最多タイ、現在においても2位である。

*6:同会場でのライブはアニメ関係だけでなく、男女問わずソロアーティストとしても初。

*7:2010年の水樹のライブにサプライズ出演して以来。