一見野郎のこれは個人の感想です

こちらは私、一見野郎が周りに気を適当に使いつつアニメ・アニソン・読書等の雑談をするブログです。

FLOW武道館ライブ2019に行ってきた

今の若い人たちは知らないのかもしれないが、かつてのソニーのアニソンは作風を無視したゴリ押しの代表格と呼ばれていた。

90年代頃のアニソン業界では明らかに大人の事情が絡んだアーティストや作品の雰囲気に合っていない楽曲がアニメの主題歌に抜擢され、ソニー、エイベックス、ビーイングといった大手レーベルの資本力により現在と比較し圧倒的に弱かったアニメソング業界を席巻していった。当時のアニソン業界において専門のアニソンレーベルでこれに抵抗出来ていたのは林原めぐみらを擁するキングレコード系列のスターチャイルド坂本真綾菅野よう子らが所属するビクターなど数えるほどしかなかった。(スターチャイルドも母体であるキングレコードは一般の音楽レーベルであり、ビクターのアニソン専門レーベルであるフライングドッグはまだ誕生していない)

これに危機感を覚えた水木一郎の呼びかけにより「アニメの為のアニソンを歌うユニット」として2000年に誕生したのが、水木や影山ヒロノブらによって結成されたJAM Projectであり、そのJAMが所属するレーベルであるランティス(1999年設立、2018年までは独立した会社であった)は00年代から現代にかけてアニソンアーティストや声優によるアニソンブームの立役者の一人となった。このランティスや前出のスターチャイルドらによる00年代のアニソンブームは大手レーベルの一般アーティストに対抗するかのように盛り上がっていった。

そんな中で大手レーベルのJ-POP、J-ROCKアーティストの中からも変化が生まれていった。単なるタイアップではなく、作品に寄り添った「アニメソング」を歌っていこうというアーティストが生まれ始めた。その象徴と言える存在が「ゴリ押し時代」であった90年代からアニメ好きを公言し今やアニメオタク芸能人の代表格、超大物アーティストであるT.M.Revolution。そしてそれに並ぶのが今回の記事の主役であるバンド、「FLOW」である。

 

 

 

FLOWとアニメソングの関わりは2004年にリリースされた『NARUTO-ナルト-』の主題歌、「GO!!!」から始まり、翌05年の二度目のアニメタイアップソングとなる『交響詩篇エウレカセブン』の主題歌「DAY」からアニメとのコラボレーションについての意識が強くなってきたという。『コードギアス 叛逆のルルーシュ』主題歌「COLORS」のころには設定資料集や作品のプロットをもとに楽曲を作り上げていった。

それからFLOWは00年代からのアニメブームの盛り上がりと共に多くのアニメタイアップソングを作り上げていったが、それは単なるタイアップではなくアニソンアーティストと同じく『アニメの為のアニメソング』と呼べるものとなっていった。国内外のアニソンフェスでの出演、二度のアニソンタイアップベストアルバムの発売、GRANRODEOとのコラボシングル等々、生まれと立ち位置こそJ-ROCKであれどあり方はアニソンアーティストと何ら変わらない。前出の影山ヒロノブの代表曲である『ドラゴンボールZ』の主題歌、「CHA-LA HEAD-CHA-LA」のカバーはあまりの責任の重さに当初は断ろうとしていたが、後に作詞家である森雪之丞から褒められ、影山本人とも何度かライブでコラボするまでに至っている。

 

前置きが長くなってしまったが、そんなFLOWのライブを見に行ったというのが今回の記事である。自分のブログでも書く書くと言いながら結局半年近く後までもつれ込んでしまった記事であるので、記憶違いとなる表記もあるかもしれないがもしそんな所があったらどんどん教えてほしい。

さて自分がFLOWのライブを見るのはこれで5回目である。『リスアニ2017』での見事なトリ、『MUSIC THEATER2017』での前半トリ、『リスアニ2018』でのトップバッター、『JUMP MUSIC FESTA』での大トリ。まあこの4回は全てアニソンフェスへの出演であり、ワンマンライブではない。FLOWのJ-ROCKアーティストとしてのパフォーマンスとアニメソングへの愛は数多くのアニソンファンにも受け入れられており、自分もNARUTOやギアスやエウレカ等々数多くの作品に寄り添った主題歌が好きだ。FLOW自身も数多くのアニメ作品やアニメ・アニソンファンに支えられていることを、事あるごとに話している。そういった真摯な姿勢が人気の理由なのだろう。2017年には全曲アニソンライブという、当のアニソンアーティストですらめったにやらない『FLOW THE CARNIVAL 2017 〜アニメ縛り〜』を開催し大きな話題を呼んだ。それに続く全国での『アニメ縛りツアー』、その最終公演で10年ぶりの日本武道館公演である今回のライブ、『15th Anniversary Final「FLOW LIVE BEST 2019 in日本武道館~神祭り~」』が発表された。

1月30日という平日ながら自分が奇跡的に休める水曜の開催であり、迷わずチケットを取りに行き無事ご用意された。ただ不安が無かったわけではない。アニメタイアップソングでしかFLOWをまともに知らない自分が全力で上楽しめるのか。記念すべきこのライブに自分のようなニワカが来て失礼ではないだろうか。そんな大きな期待と小さな不安を抱えながら、自分は(リスアニ2019以来3日ぶりとなる)日本武道館へと向かった。

人気バンドとはいえ平日の水曜、自分のように都合よく休める人がそこまでいるとは思わないがどのぐらい人が集まっているのかと思っていたが愚かな悩みであった。武道館の周りには既に多くの人が集まり、中に入れば2階スタンドの最上階まで人が埋まっていた。15年間走り続けたFLOWが積み重ねてきたものの結果であろう。

ちなみに今回物色したグッズの中で自分が気になったのがペンライト。六角形のグリップにキンブレより少し短いチューブ部分というものであるが、アイドル系で無い一般アーティストでペンライトが使えるという事自体が珍しいので迷わず購入。これで準備は完了。

 

開始予定時間である6時を回ると照明が消え、映像が流れる。FLOWが築いてきた15年間の積み重ねであるライブ映像。単独には初めて来る自分ですら熱いものを感じるのだから、15年間追いかけてきたガチなファンにとっては感極まるものがあるだろう。

 

この記念すべきライブの口火を切った1曲目は「Break it down」。最新シングル曲であり、自分としても初披露ライブであった『JUMP MUSIC FESTA』を見に行った事もあり思い入れの強い曲である。最初からクライマックスと言わんばかりの大歓声と盛り上がりが武道館を包み込む。

続く2曲目ではキバオブアキバとのfeat.曲である「JOY TO THE WORLD」をパワフルなボイスで叫び、3曲目ではインディーズ時代からの曲「7th Heaven」を歌う。そして4曲目は『デュラララ!!×2結』OP「Steppin'out」。客席を文字通りスピンするタオルが、ペンライトが、拳が埋め尽くす。リスアニではスタンド最前で立てなかったため、思いっきり弾けられなかった分自分も(他のお客様の迷惑にならない範囲内で)ペンライトをぶん回し盛り上がる。これだけでリスアニの無念は取り返した。

「10年ぶりに来たぞ日本武道館!」

「この中に10年ぶりに来たよって人もいると思うし、初めてFLOWのライブに来たよっていう人もいると思うんだよ。でも今日、この1月30日のFLOWのライブはみんなでしか作れないんだからな!ひとりでも欠けたらダメなんだぞ!!」

ボーカルのKEIGOの短いながらも精一杯の感慨と想いを込めたMCを挟み、次の曲に入る。ヘビーなサウンドと共に曲名と同じく会場を赤く染める「赤いサイレン」、切ないサウンド炎のエフェクトが会場を熱くさせながらものペンライトが輝く「Red Hot Riot」さらに「ブレイブルー」ではその曲名の通り照明とペンライトで武道館が蒼に染まりそして「COLORS」ではアニメファンにも馴染み深いイントロが流れると共に歓声が上がり、ペンライトは七色に変わっていく。アニメソングは勿論の事アニメの主題歌ではない曲も、ペンライトの色が演出の一つとなり歌声や演奏と一体となってステージを作り上げていく。まさに「みんなでしか作れない」ライブだ。

「神祭り」と銘打って開催されたこのライブはそれぞれの席のエリアに「〇〇ノ神エリア」と名付けられている。「我々が神なんじゃなくて皆さんが神なんです!」と感謝を表し、メンバー各々がこの時を過ごしてくれる、そして今まで歩んできてくれた人たちへの感謝と10年ぶりとなる武道館への想いを語る。ギターのTAKEの「皆さん日々日常と戦ってらっしゃると思うんですよ。今日集まってくれた全ての皆さんに元祖FLOW流応援歌を持って来ました!希望という夢を乗せ明日へ一緒に進んでいきましょう!」というMCと共にインディーズ時代の曲「メロス」が始まる。懐かしい軽快な応援歌の後は「常夏エンドレス」が一気に季節を半年進め、真夏の熱さと爽やかさを武道館に運ぶ。そこからガラっと空気を切り替える切ないピアノのメロディーから狂おしく切ない最新曲「音色」へ、15年間の時代が曲と共に流れていく。

さらにアニメじゃなくてドラマの方の『探偵学園Q』主題歌「Answer」が続く。・・・これアニメもドラマも見ていないのに曲だけは知っているんだよなー()、しかしこれも切なさと疾走感が合わさっていい曲だ、うん。さらに「Shakys」ではポップなメロディーに合わせて皆が手を叩く。この5曲は全てアニメソングではなく当然自分は初めて生で聴く曲である、のだがそう思えないように体が馴染む。アニメソングを聴くだけでは出会えなかった曲たちとの出会いに感謝。

続くMCでKEIGOは語る。

「前回は自分たちはどんなバンドなんだろうと感じていて、今はFLOWは「みんなでライブを作り続けているバンドです」とはっきり答えられます。」

「それは学生だろうが社会人だろうが、男だろうが女だろうが、日本なのか海外なのか、アニメかロックか、そんなことは本当にどうでもよくて。ここに来てくれるみんなと、その日しかないライブを作り続けていきたいなと強く思って、このステージに立たせていただいています。」

完全にジャンルを固定させることはできない、自分たちの大切なもの全てと共に作り続けているバンドである。それがFLOWであるという答えと共に、この日の為に作った曲をみんなで歌いたいと語る。その曲「ONENESS」は28組、76名のアーティスト、著名人が参加した曲である。その中にはGRANRODEOGARNiDELiAJAM Project、fhánaと言ったアニソンアーティストの名前も。アニソンアーティストではないが、確かにアニソンを愛したFLOWだからこそ並ぶ名前であろう。この日の為に作り上げた歌が、皆の歌声と共に完成した。

  

まるでこれが最後の曲ではないかと錯覚させる雰囲気の中新たな映像が流れ、感慨深い空気をぶち壊す、いや新たなコラボのターンへと収束させる中スペシャルゲスト、GRANRODEOが登場し「Howling」を、そして7つのパワーが1つになった「7 -seven-」叫び歌う。

GRANRODEOの出演は前もって発表されていたが、この発表がされた際には歓迎する声が多かった一方「10年ぶりの武道館なのだからFLOWだけの武道館のライブにするべきでは無いのか」という声もあった。これに関してはKEIGOがブログで語っているので自分があえて言えることは無いが、あえてただ一つ言うならFLOW×GRANRODEOの存在は、確実にFLOWというバンドの歴史の一つであり、アニメを愛し愛された証明であると思う。

 

それはそれとして個人的にはようやく見る事の出来た夢のコラボ、じっくり味合わせていただきました。KISHOWもe-ZUKAもまるで友達の家に遊びに来たような口ぶりで、楽しそうで何よりでした。アニメ3期もやるんでまた新曲がありそうですね・・・(まあ自分はこの1月半後MBSアニメヒストリアで聴けたんですけどね)

そしてここから自分にも聞きなじみがあり、やっぱり聴けて嬉しいアニメ主題歌が並ぶ最後のターンに入る。自分が一番大好きなFLOWの曲「愛愛愛に撃たれてバイバイバイ」ではリアルアキバボーイズがゲスト出演しペンライト装備のブレイクダンスを披露し盛り上げる。自分もリスアニではスタンド最前で立てなかった分を取り返すかの如く楽しむ。

ド直球なヒーローソング「HERO~希望の歌~」では炎の演出と共にペンライトも赤やオレンジに燃え上がり、「Sign」は切ない歌詞やメロディーを引き立てるように照明とペンライトが蒼く光る。「風ノ唄」では蒼さをそのままに拳を振り上げ叫び、沸き立つスモークが幻想的な雰囲気を高める。そしてアニメソングパートのトリを務めるのはもちろんこの曲、「GO!!!」当然のようにKEIGOもKOHSHIもステージを所狭しと走り回り行けるところまで足をかけ歌い、共にコールをし、「GO!!!」ではもはや定番であるビッグウェーブを巻き起こし、お手の物のコール&レスポンスで武道館を一体にする。ラスサビ前には銀テープまで飛び出し、これで本編は終わりなんだな、と思っても無理はないぐらいの盛り上がりを起こす。だが「GO!!!」でもこのライブはまだ終わらない。辛い中でも立ち向かう人たちへの応援歌「ANTHEM」が盛り上がりの熱さを内包しながら心に刺さっていく。

「上に手をあげれば天井に手が届くような、前に手を出せば最前のお客さんに手が触れられるような、始まりはそんなライブハウスでした」

「この5人だけじゃ、ぶっちゃけ何もできません。今日だってこの素晴らしいステージを作ってくれたライブスタッフの皆さん、事務者・レコード会社の皆、デビューからテレビ、ラジオだとか雑誌だとか、デビューからお世話になっている媒体のスタッフの皆さん、そしてこの音楽シーンを支えてくれているかっこいいバンド達、アーティスト、全国のライブハウス、今日駆けつけてくれた仲間たち、家族、そして目の前にいるいつも気持ちで答えてくれている皆、そんな俺達に関わってくれている全ての人に15年分の想いを伝えさせてください。本当にありがとうございました!!!」

「この言葉しかないです本当に・・・そしてこれからもどうぞよろしくお願いします!」

全ての人たちへの感謝の言葉を述べた後に、新しい時代を描く最後の歌へと入る。10年前の武道館でも歌われた「Garden」。色とりどりのペンライトと共に、会場の想いは一つになりライブは一旦終わりを迎える。

しかしライブはまだまだ終わらない。アンコールの合唱に応えたメンバーがTシャツに着替え再登場し、皆にとって嬉しいニュースを発表する。

ライブのTV放送のお知らせ、新アルバム「TRIBALYTHM」のリリース、そして全国ツアー開催が発表される。(というかもうこの記事が書かれた時点で世に出ているよね。ツアーの千秋楽は明後日だよね、書かれるの遅すぎだよね)

そしてこのアルバムから新曲にして「コードギアス 反逆のルルーシュ ロストストーリーズ」主題歌「PENDULUM」を披露。ギアスの映像を使用した公式MADと共に会場は大盛り上がり!(なおゲームリリースはこの記事が書かれている現在まだです)

そして本当に最後の曲に選ばれたのはFLOWの始まりの曲である「ブラスター」。感傷的になることもなく、ただただ会場全体がこの時間を一体になるためだけに共有し盛り上がりライブはフィナーレを迎える。

最後にメンバー5人、そしてゲストのRABとGRANRODEOが集合し、客席と集合写真を撮る。ライブの終わりを惜しみながらも「解散じゃないんで(笑)」とタイムリーなネタを振りながらも(嵐活動休止発表があったその3日後のライブでした)、「これからも続きますんで、これからも皆よろしくね!」とその先へ向かう事を約束する。

そして全員との「神祭り!」『サイコー!!!』のコール、ステージの端から端まで歩き客席へ挨拶していく。(ちなみに右側端にいた自分の顔は円盤では確認出来ませんでした)

最後の最後にKEIGOのマイクを通さない「今日は本当に、ありがとうございました!!!」の声で、ライブは本当に終演を迎えた。

 

FLOWの15年の歴史を自分はほんのほんのほんの少ししか知らない身ではあるが、本当に「楽しい」を感じられたライブであった。まともに知っているのはアニタイのみの身ではあるが、初めて聴く曲も予習から外れていた曲も含めて楽しめたのは、やはり15年間FLOWとファンが築き上げてきたものがあってこそであろう。

本当に楽しい音楽についてはアニソンアーティストか一般のアーティストか、アニソンかそうでないかという壁は簡単に越えてしまうのであろう(最初のアニタイ云々?それはそれこれはこれで)

ちなみに円盤ではわからないが今回のライブ時間は、3時間ちょうどで始まり終わったのである。公式twitterに細かい時間配分がアップされているが、これをキープ出来た関係者の皆さんは本当に凄いと思いました(こなみ)

 

というわけで散々延期したFLOW武道館感想記事もこれでお開きです。無事6月中旬に書き上げられてよかったです。ありがとうございました。

・・・今は6月中旬だよ?(とおいめ

 

〇どのCDに入っているか知りたい人向けのセットリスト〇

 

01:Break it down(34thシングル)

02:JOY TO THE WORLD(10thアルバム「#10」収録)

03:7th Heaven(1stインディーズシングル「FLOW #0」収録)

04:Steppin'out (30thシングル)

05:赤いサイレン(5thアルバム「#5」収録)

06:Red Hot Riot(8thアルバム「FLOW THE MAX!!!」収録)

07:ブレイブルー(24thシングル)

08:COLORS(11thシングル)

09:メロス(インディーズ4thシングル)

10:常夏エンドレス(26thシングル)

11:音色(34thシングル)

12:Answer(12thシングル)

13:Shakys(10thシングルカップリング)

14:ONENESS(配信限定シングル、11thアルバム「TRIBALYTHM」収録)

15:Howling(33rdシングル、FLOW×GRANRODEO名義でのコラボシングル)

16:7 -seven-(28thシングル、FLOW×GRANRODEO名義でのコラボシングル)

17:愛愛愛に撃たれてバイバイバイ(27thシングル)

18:HERO~希望の歌~(25thシングル)

19:Sign(18thシングル)

20:風ノ唄(31thシングル)

21:GO!!!(4thシングル)

22:ANTHEM(5thアルバム「#5」収録)

23:Garden(3rdアルバム「Golden Coast」収録)

(以下アンコール)

24:PENDULUM(11thアルバム「TRIBALYTHM」収録)

25:ブラスター(1stシングル)

 

参考文献

・FLOW 15th Anniversary History Book(上記の「アニメ縛り」のパンフレット)

・FLOW THE BEST アニメ縛り(同名アルバム付属の冊子)